【メタスコア】『Baby Steps』評価レビュー

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2025年9月24日に発売の『Baby Steps』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Baby Steps』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。

メタスコアは70点台後半と、評価がきれいに分かれる結果になりました。独自の歩行システムが生む圧倒的な達成感を称える声と、理不尽な落下ペナルティや悪趣味なユーモアに耐えられないという声がほぼ半々です。購入の参考になれば幸いです。

一歩がこんなに重いゲーム、初めてかもしれない

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Baby Stepsmetacritic.com

この『Baby Steps』は、「歩く」というただそれだけの動作を丸ごと1本分のゲーム体験にしてしまった、とんでもなく尖った歩行シミュレーターです。『QWOP』や『Getting Over It with Bennett Foddy』の開発者による最新作で、L2/R2トリガーで左右の足を持ち上げ、左スティックで体重移動するという操作でひたすら山を登っていきます。最初は打ち上げられたアザラシのように顔面から地面に突っ込む有様ですが、コツを掴んでくると平坦な道ならかなりのスピードで歩けるようになります。

この「自分自身の操作スキルだけが成長していく」感覚は、レビュアーの間でも「ソウルライクのカタルシスに匹敵する」と評価されていて、ハマる人にはとことんハマるタイプのゲームですね。ただし、一度足を踏み外すと泥や氷の斜面を一気に滑り落ち、何十分もの進行がゼロに戻るという過酷な設計でもあります。マップもコンパスもなく、似たような景色の中で完全に迷子になることも珍しくありません。「マゾヒストのための『デス・ストランディング』」という表現がぴったりくるような、人を極端に選ぶ作品です。

操作の手触りが想像以上に精密

本作の歩行システムは、見た目のバカバカしさとは裏腹に極めて精密な物理演算に支えられています。トリガーを引く強さで足を上げる高さが変わり、スティックの倒し具合で重心が左右に揺れる。理不尽なバグや不可解な挙動で転ぶことはなく、転倒の原因は常に自分の足運びのミスにあるため、何度失敗しても「もう一回」と思えるんですね。

「ただの木の板を渡るだけで心臓が止まるほどの緊張感」という表現もあったように、このゲームでは何気ない段差ひとつが真剣勝負になります。アップグレードや能力強化は一切なく、純粋にプレイヤーの腕前だけが上達していく。この潔さが本作最大の魅力だと思います。

自由に歩き回れるセミオープンワールド

前作『Getting Over It』が完全な一本道だったのに対して、本作は目的地までのルートが複数用意されたセミオープンワールドを採用しています。難しい斜面にぶつかったら、回り道をして別のルートからキャンプファイア(チェックポイント)を目指すこともできます。

落下しても川や泥のすべり台を経由して「少し前の安全なエリア」に流れ着く「見えざる安全網」が設計されていて、完全にゼロからやり直しにならない工夫も随所にあります。寄り道の先には「帽子」や「禁断の果実」といった収集アイテムが隠されていて、帽子を被ったままチェックポイントに到達すると、主人公ネイトの過去を描いた8ビット風の夢のミニゲームが遊べるのもモチベーションになりますね。

ダメ男ネイトの意外と深いストーリー

主人公のネイトは、実家の地下室で『ONE PIECE』を観ながら日々を浪費する35歳の引きこもりです。旅の途中で出会うNPCから靴や地図、ランタンといったプレイヤー視点では喉から手が出るほど欲しいアイテムを差し出されるのですが、社会的な気まずさからすべて拒否してしまう。このせいでゲーム内にはマップもコンパスも一切表示されません。

最初はただの不条理コメディに見えますが、物語が進むにつれて、何度転んでも歩みを止めないネイトの姿がメンタルヘルスや自己受容のメタファーとして浮かび上がってきます。『ボージャック・ホースマン』的なテイストと言えば伝わるかもしれません。

ただ、かなり覚悟がいります

落下ペナルティがあまりにも過酷

本作最大の問題点は、一度の踏み外しで何十分もの進行がすべて水の泡になることです。特に終盤の砂や泥のエリアでは、わずかな傾斜や小石につまずいただけで操作不能のラグドール状態になり、最下層まで何分もかけて滑り落ちてしまいます。ショートカットをアンロックする仕組みもないので、登り直しは純粋な苦行です。

さらに厄介なのが環境アセットの使い回しで、あるレビュアーは遠くに見える巨大な砂の城を1時間かけて目指した結果、それが自分がさっきいた場所と全く同じ構造物だったことに気づいて激怒しています。この辺りになると、失敗が「自分のミス」ではなく「意地悪なマップ設計のせい」に感じられてしまい、モチベーションが急激に下がります。

マップなし、ファストトラベルなし、セーブ巻き戻し不可

マップ、コンパス、ファストトラベルは一切ありません。オートセーブは「足が地面につくたび」に実行される徹底ぶりで、落下中にゲームを強制終了しても失敗を取り消すことはできない仕様です。クリア後に取り逃したアイテムを探索しようにもチェックポイントに戻る手段がなく、最初からやり直すしかないのは正直つらいですね。

グラフィックとバグの問題

グラフィックは「アセットストアからそのまま持ってきたような安っぽさ」「PS3/Xbox360時代」と評されるほど意図的に粗く作られています。泥や砂の茶色い色調が延々と続くため、視覚的な変化に乏しく迷子を誘発する一因にもなっています。

また、サイドクエストで持ち運ぶアイテムが岩の間にめり込んで回収不可能になるバグも報告されていて、長時間かけた努力が一瞬で消えるのは不当なフラストレーションです。

好き嫌いがはっきり分かれるポイント

BGMが「前衛的」すぎる

本作のサウンドトラックは、電子ピアノからアヒルの鳴き声、謎のクリック音、男の「ヒュッ」という声などがランダムに鳴り響くという、かなり攻めた構成です。少数の肯定派は「ゲームの奇妙な世界観に完璧にマッチしている」「難所でダイナミックに盛り上がる演出が狂気的で素晴らしい」と楽しんでいます。

しかし圧倒的多数のレビュアーは「気が狂いそうになる」と酷評していて、落下した瞬間に動物の鳴き声とドラムビートが鳴り響く仕様を「ゲームに嘲笑されているようだ」と表現しています。「後半はゲームの音をミュートにして、ポッドキャストを聴きながらプレイした」という声が後を絶ちません。

下品なユーモアの是非

ゲーム内には下半身を露出した擬人化されたロバの男たちが何度も登場してネイトに絡んできます。検閲バー(モザイク)のオンオフ機能はありますが、「賢さやメタファーの欠片もなく、ただ悪趣味」と感じるプレイヤーも多いようです。一方で「Adult Swim的な不条理コメディとして最高」と評価する声もあり、ユーモアのセンスが合うかどうかで体験がまるで変わってきます

そもそも「自分で遊ぶゲーム」なのか問題

本作に対する最も根本的な意見の対立がここです。肯定派は「プレイヤーの忍耐と限界を試す芸術的な修行」として、苦痛を伴うプロセスそのものに価値があると擁護しています。一方で否定派は、「ストリーマーが苦しむ姿を視聴者が笑うための”怒り誘発ゲーム”にすぎない」と冷ややかです。「自分がプレイするより、他人が苦しむ配信を見る方がよほど楽しい」と結論づけるレビュアーが多数存在していて、このゲームの立ち位置そのものが問われています。

メディアレビュー紹介

高評価メディア

Loot Level Chill — 90
単なる歩行シミュレーターを超えた見事な社会風刺と感動の旅だ。ニートのネイトが案内人ジムたちと繰り広げる不器用な会話は爆笑必至である。泥や砂地での理不尽な転倒に激怒しつつも、動物の鳴き声で構成された狂気の音楽が奇妙な没入感を生み出す。苛立ちと爆笑、思いがけない感動が交錯する最高にクレイジーな名作だ。
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TheGamer — 90
類を見ない唯一無二の傑作だ。両トリガーを駆使して7万歩を刻む過酷な旅路は絶望を伴うが、カエルの帽子を求めて塔を登るような自由な探索がたまらなく魅力的である。奇妙な住人との即興的な会話劇や、動物の鳴き声が響く音楽のセンスも抜群だ。苛立ちさえ計算し尽くされた、全てが秀逸に絡み合う奇跡の体験である。
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Stevivor — 90
本作はベネット・フォディの狂気的な哲学の最終形態だ。トロッコとレール橋の極悪な障害物や、憎き砂地での滑落に幾度も正気を失いかけた。しかし、絶望の試練を乗り越え、帽子を集めてネイトの過去に迫る8ビットの夢を見た時のカタルシスは筆舌に尽くしがたい。圧倒的な苦痛の先に比類なき達成感をもたらす至高の傑作である。
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低評価メディア

DualShockers — 40
本作は配信者向けの安直な怒り誘発ゲームに過ぎない。同じ砂の城をループさせる悪意あるマップや、無意味な250階建ての螺旋階段は完全に時間の無駄である。全裸のロバ男による悪趣味な下ネタや、狂気を煽る不快な環境音には嫌悪感しか湧かない。プレイヤーを愚弄するだけの意地の悪いゲームデザインは到底擁護できない。
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TheSixthAxis — 60
序盤のユーモアは評価できるが、すぐにただの苦痛な作業に成り下がる。地図を拒むネイトの会話は笑えるものの、一度歩行のリズムを崩すと数分間転び続ける仕様は不快だ。泥に沈んだ遊園地などの奇妙な世界も、過酷な後戻りの徒労感のせいで探索する気力は完全に削がれてしまう。自分で遊ぶより、他人が苦しむ配信を見るのが正解である。
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Game Informer — 60
本作はプレイヤーを笑い者にする悪ふざけである。靴の支援すら拒む主人公や、巨大な女に抱かれるシュールな光景には呆れる。特に劣悪なマップ設計は致命的で、道を見失い無意味な岩壁を理不尽に登らされるのは許しがたい。耳障りな動物の鳴き声の音楽も相まって、コントローラーを破壊したくなるほどの激しい怒りしか湧かない。
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まとめると

  • L2/R2トリガーと左スティックで歩行を制御する操作は精密な物理演算に支えられていて、転倒は常に自分のミス。試行錯誤に納得感がある
  • セミオープンワールドで複数ルートが選べるため、難所を避けて回り道できる自由度がある
  • 帽子や果物などの収集要素と、8ビット風の夢のミニゲームが探索のモチベーションになる
  • 引きこもりの主人公ネイトの物語は、不条理コメディから自己受容のメタファーへと深みを増していく
  • 一度の踏み外しで何十分もの進行が消し飛ぶ落下ペナルティが過酷すぎる
  • マップ、コンパス、ファストトラベル、手動セーブが一切ない
  • 動物の鳴き声で構成されたBGMは大半のレビュアーが「不快」と評価している
  • 下品なユーモアや裸体描写が合わない人には厳しい
  • 「自分で遊ぶより配信で見る方が楽しい」という声が多く、ストリーマー向けの側面が強い

製品情報

項目情報
タイトルBaby Steps
ジャンル歩行シミュレーター
発売日2025年9月24日
開発Bennett Foddy & Lasse Midttun

メタスコアについて

Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メタスコアは大きく変わる機会は少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。

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神ゲー良ゲー凡ゲー低評価爆弾持ち