← 最新記事一覧

元任天堂幹部が2000年代の携帯ゲーム機戦争とスキャンダルに着想を得たビジネススリラー小説『GameTrap』を刊行、当時の業界の心理を深く描く一冊

2026年06月01日 | #ゲーム #発売 | VGC

元任天堂幹部が2000年代の携帯ゲーム機戦争とスキャンダルに着想を得たビジネススリラー小説『GameTrap』を刊行、当時の業界の心理を深く描く一冊

元任天堂幹部であるデビッド・ヤーントン氏が、2000年代の携帯ゲーム機競争と実際のスキャンダルに触発されたスリラー小説「GameTrap」を刊行しました。この作品は、任天堂DSが台頭していた2005年頃のゲーム業界を舞台に、架空の携帯ゲーム機「Vantix」と任天堂が激しい競争を繰り広げる金融スリラーとして描かれています。ヤーントン氏自身が2003年から2012年まで任天堂UKのジェネラルマネージャーを務めていた経験から、当時の業界の雰囲気や人々の心理を深く掘り下げています。

携帯ゲーム機戦争の裏側を描く

「GameTrap」は、現実世界の失敗作として知られる「Gizmondo」というスウェーデン製携帯ゲーム機にインスパイアされています。Gizmondoは、親会社から巨額のプロモーション費用が投じられたにもかかわらず、利益を出すことなく、最終的には役員が組織犯罪に関与していたとの報道によってその影が薄れていきました。このGizmondoは2005年にイギリスとアメリカでNintendo DSに対抗して発売されましたが、2006年にはGizmondo Europeが清算され、デバイスの生産も停止しています。特に、Gizmondo Europeのトップであったステファン・エリクソン氏はスウェーデンの犯罪組織に関与していたと報じられ、後にカリフォルニアで希少なフェラーリ・エンツォを衝突させる事故を起こした後、アメリカから強制送還され、投獄されたという経緯があります。

現実の経験と創造が融合したビジネススリラー

ヤーントン氏は、「GameTrap」を「現実に根ざしたビジネススリラー」と表現しており、機密保持契約(NDA)の制約なしに、当時の「感情的および心理的現実」を捉えるためにフィクションとして執筆することを選んだとのことです。2000年代初頭のゲーム業界は、テクノロジー企業に莫大な投資が集まり、ハードウェアの発売が世界的なエンターテイメントイベントとなるなど、何でも可能だと感じられるほど刺激的で野心的な時代でした。DSやWiiの発売時代に高い役職で働いていたヤーントン氏は、業界の規律ある側面と、チェックされない誇大広告という無謀な側面の両方を目の当たりにしてきたと述べています。本書では、架空のキャラクターであるイザベラ・リンドストロムが「Vantix」の発売を追跡し、その親会社の背後にある犯罪計画を発見するという展開です。ヤーントン氏は、この本が単なる成功と失敗の物語ではなく、人間の本質、野心、貪欲、革新、プレッシャー、そして好況期における人々の行動という普遍的なテーマを探求しているとしています。

項目 内容
書籍名 GameTrap
著者 デビッド・ヤーントン
設定時代 2005年頃