Epic Gamesのティム・スウィーニー氏が『Unreal Engine 6』について語る。AI統合で開発効率を向上させ、ゲーム間でのアセット共有による新たなエコノミー創出を目指す。多プラットフォーム対応とソーシャル機能の強化にも注力。
2026年06月24日 | #ゲーム #発売 #アプデ #ハード・周辺機器 | IGN
Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOと開発担当EVPのマーカス・ワスマー氏が、次世代ゲームエンジン「Unreal Engine 6(UE6)」について語りました。2027年末に早期アクセス開始を予定しているUE6は、開発の効率化とゲームエコノミーの変革を掲げています。特に注目されるのは、AIツールの統合と、ゲーム間でのアセット(アイテムやキャラクターなど)共有による新たな経済圏の創出です。
UE6でゲーム開発はどう変わる?AIとVerse言語が鍵に
UE6は、ゲーム開発の効率を大きく向上させるとのこと。ゲームは年々大規模化し、開発も複雑になっていますが、UE6のアーキテクチャはこれをスムーズにすると言います。特にAIを活用したクリエーションフローは、これまで開発者が費やしてきた手間のかかる作業を大幅に削減し、クリエイティブな部分に集中できるようにすると期待されています。 また、プログラミング言語には「Verse」が導入されます。これは『フォートナイト』で培われたスクリプト言語で、UE6ではゲームプレイコード開発の主要な方法となるようです。これにより、UnityやGodotのような手軽な開発環境と、UE6が持つAAAタイトル向けの高度な機能が両立され、開発者はチュートリアルに時間を費やすことなく、直感的にコンテンツを作成できるようになるとのことです。スウィーニー氏は「以前のエンジンが持っていた魔法のような感覚を取り戻せるだろう」と語っています。
プレイヤー体験の向上と課題への取り組み
UE6は開発者だけでなく、プレイヤーにも恩恵をもたらします。ワスマー氏は、小規模なチームでも非常に印象的な作品を生み出せるようになると指摘しており、実際に「Claire Obscur: Expedition 33」や「No Law」といったタイトルがその可能性を示しているとのこと。 また、ゲームエコノミーの接続も大きな機会とされています。様々なゲーム間でエモートやキャラクターといったコスメティックアイテムが共有できるようになれば、プレイヤーが購入したアイテムの価値が飛躍的に高まります。これにより、ゲーム内で獲得したものが永続的な価値を持つエコシステムが形成され、プレイヤーはより満足度の高い体験を得られるようになるとのことです。 一方で、ミドルレンジからローエンドのハードウェアでのパフォーマンス問題も重要な課題として認識されています。UE5では携帯ゲーム機での動作に課題がありましたが、UE6ではUE5.7や5.8で取り組んできた最適化をさらに推し進め、モバイルからハイエンドPCまで幅広いデバイスで快適に動作することを目指しています。特に、動的なグローバルイルミネーションを提供するLumenライトのコスト削減や、Nanite(ポリゴン削減技術)を搭載しないプラットフォームへの対応など、効率的な描画技術の開発が進められています。
AIの活用とクリエイティブの保護
UE6におけるAIの役割は、開発者の補助ツールとして位置づけられています。コード生成やクラッシュ分析など、手間のかかる作業をAIがサポートすることで、開発者はより重要な業務に集中できるようになります。Epic Gamesは特定のAIモデルに限定せず、開発者が好みのツールをUnreal Engineに統合できるようなMCPサーバーを構築しています。 AIの活用にあたって懸念されるアートの意図の保持については、Unreal Engineのパイプラインは「最大限にアートの意図を維持する」ように設計されているとのこと。AIが生成したものは、開発者が自由に調整できるUnrealのシーンとして扱われ、プロンプト入力だけで完結するのではなく、最終的には人間のクリエイターが細部にこだわり、手作業で調整できるようになっています。
ゲーム業界の構造的変化と多プラットフォーム対応
スウィーニー氏は、ゲーム業界が直面している構造的変化についても言及しています。開発費の高騰やAAAスタジオの閉鎖など、厳しい状況が続いていますが、これは過去にも起こった業界の変革期と捉えられています。 特に、ゲームが「買うもの」から「ゲーム内で買うもの」へと変化し、マルチプレイヤーやソーシャル要素が重要になっている現状を指摘。人気ゲームにプレイヤーが集中する「勝者総取り」の現象が起き、新規参入が難しい状況にあると言います。 この課題を乗り越えるためには、ゲーム開発の効率化だけでなく、ゲームエコノミーの相互接続や、多プラットフォーム間でのシームレスなソーシャル体験が不可欠です。Epic Gamesは『フォートナイト』などで多プラットフォーム対応のソーシャルエコシステムを構築してきましたが、業界全体としてプラットフォームホルダーや大手ゲームメーカーが協力し、クロスプラットフォームでのソーシャル機能を実現する必要性を強調しています。