『Chicory: A Colorful Tale』:リリースから5年経っても色褪せない感動体験!絵筆で世界を彩るインディーゲームの魅力と「特別な存在」でなくても良いというメッセージに迫る
2026年06月25日 | #ゲーム #発売 | Polygon
インディーゲーム『Chicory: A Colorful Tale』が、2021年のリリースから5年経った今もなお、その感動的な体験でプレイヤーを魅了し続けています。開発者のGreg Lobanov氏とパブリッシャーのFinjiが手掛けた本作は、Nintendo Switch、Mac、PlayStation、Windows PC、Xboxでプレイ可能で、見た目はゼルダライクな2D見下ろし型アドベンチャーですが、その実態は「塗り絵」のような独特の世界観を持っています。環境パズルを解きながら新しい能力をアンロックし、マップを探索していく点は共通していますが、戦闘の要素はほとんどなく、ひたすら絵筆で世界に色を塗っていくという、実験的な創造性に満ちた作品です。
絵筆が織りなすユニークなゲームプレイ
本作の主人公は、お気に入りの食べ物の名前が付けられた可愛い犬(デフォルト名は「Pizza」)です。ひょんなことから絵筆を手にし、色が失われた世界「Picnic」を再び彩る旅に出ます。ゼルダシリーズでは火の棒で松明を灯したり、フックショットで谷を越えたりしますが、『Chicory: A Colorful Tale』では、暗い洞窟を夜光塗料で照らしたり、絵筆で木々や花を成長させて新しい道を作り出したり、隙間を飛び越えたりします。パズルは決して簡単ではありませんが、プレイヤーを騙そうとする意図はなく、探索し、絵を描き、何が起こるかを見守ることで進行していきます。ボス戦以外では敵対的なモンスターと遭遇することはなく、絵筆での「攻撃」は、飛んでくる弾を避けながら行う独特なものです。
プレッシャーと自己肯定感を問いかける物語
ゲーム序盤、プレイヤーは何のプレッシャーもなく世界を自由に彩ることができます。アートアカデミーで「喜び」を表現する絵を描く場面では、他の動物たち(これも可愛い食べ物の名前が付けられています)が、プレイヤーの絵を心から褒めてくれます。これは、キャラクターが純粋に喜びを感じているからであり、プレイヤー自身もゲームを楽しんでいるからこそ生まれる感動的な瞬間です。しかし、ゲームのタイトルにもなっているChicoryは、かつての師や自分自身、そして絵筆からくる期待の重圧に苦しみ、うつ病を患っています。このゲームは、絵筆を扱うことの重荷と「自分にその価値があるのか」という問い、そして偽物症候群というテーマを深く掘り下げています。この世界を脅かす「Corruption」は、担い手が抱える疑念、恐怖、不安の具現化として描かれ、色あせた世界を侵食しようとします。
「特別な存在」でなくても良いというメッセージ
多くのゲームが、プレイヤーを「帝国の継承者」「最強の戦士」「選ばれし者」といった特別な存在として描く中、『Chicory: A Colorful Tale』は、そうではないことについて深く語りかけます。このゲームは、自分自身を証明することではなく、証明する必要がないことを教えてくれます。素晴らしい芸術家である必要も、優れた反射神経を持つ必要もありません。ボス戦には即時リスポーン機能や「無敵モード」があり、戦闘を完全にスキップすることも可能です。リスクの低いゲームプレイと奥深いストーリーを求めるプレイヤーには最適な一本と言えるでしょう。
短いプレイ時間と豊かな体験
本作は、10時間以内でクリアすることも可能です。しかし、塗り絵をハイスピードで終わらせる人はいないでしょう。急いで進めることは、世界を彩る機会や、生き生きとしたNPCたちとの交流、そして『Celeste』の作曲家としても知られるLena Raine氏による美しいサウンドトラック(最近、Resonant Unionによる新しいアレンジアルバムも登場しました)をじっくりと味わう機会を奪ってしまいます。このゲームの真髄を体験するには、立ち止まって花を「描く」ことが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プラットフォーム | Nintendo Switch, Mac, PlayStation, Windows PC, Xbox |