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ニューヨーク州がValve社を提訴、ゲーム内ルートボックスが「違法ギャンブル」にあたるか? 弁護士が語る訴訟の行方とプレイヤーへの影響とは

2026年03月09日 | #ゲーム #ニュース | Eurogamer

ニューヨーク州がValve社を提訴、ゲーム内ルートボックスが「違法ギャンブル」にあたるか? 弁護士が語る訴訟の行方とプレイヤーへの影響とは

ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官が、Valve社に対し、ゲーム『Counter-Strike 2』と『Dota 2』におけるルートボックス(ガチャ)の実装を巡り訴訟を起こす意向を表明しました。この件について、ゲーム業界を専門とするニューヨークの弁護士ジャスティン・ジェイコブソン氏に話を聞き、今回の訴訟がValve社とプレイヤーにどのような影響を与える可能性があるのかを探ります。ジェームズ司法長官は、ルートボックス機能がスロットマシンに似ており、「違法なギャンブル」に子どもも大人も晒されているとして、Valve社をカジノに例えています。

訴訟の核心:デジタルアイテムの「価値」

今回の訴訟の焦点は、デジタルアイテムに「実際の価値があるか」という点です。過去の類似訴訟では、仮想アイテムは美的価値しかなく、それ以上の価値はないと判断されるケースが多かったとジェイコブソン氏は指摘しています。しかし、ニューヨーク州の法律は他州と異なり、ギャンブルに関する規制が独特です。ニューヨーク州のギャンブル法は、アイテムが公認されたマーケットプレイスで自由に取引可能であるという要件を設けていません。このため、Valve社がスキンに価値を持たせることで、鍵の購入やコミュニティマーケットプレイスでのアイテム売買から収益を得ているという点が問題視される可能性が高いとのことです。

ニューヨーク州の法律がもたらす可能性

ニューヨーク州の法律は、利用規約に書かれている内容よりも「実際に何が起こっているか」を重視する傾向にあります。ジェイコブソン氏によると、司法長官は内部メモやアカウントの凍結解除、さらには捜査員がゲーム内でアイテムを購入し、最終的にSteam Deckを現金化して電子機器店に売却できた事実を提示しているそうです。これは、Valve社が意図的かどうかにかかわらず、スキンの取引を容易にしており、他のゲームとは一線を画していると指摘されています。過去には、EA社の『FIFA』のルートボックスがカナダの裁判所でギャンブルと認定されたケースもありますが、Valve社のルートボックスエコシステムはより独特な性質を持っており、さらなる精査が必要になる可能性があります。

政治的背景と「価値」の解釈

今回の訴訟には政治的な側面も存在します。ジェームズ司法長官は、ルートボックスが子どもたちのギャンブル依存症を引き起こす可能性があることにも言及しており、カジノのスロットマシンを模倣したメカニズムが、プレイヤーの射幸心を煽るように設計されている点を問題視しています。また、訴状には、Valve社が暴力的なゲームを奨励していることが銃暴力の蔓延に拍車をかけているという記述も含まれており、世論への影響も考慮されていると考えられます。ワシントン州の判例「Kater vs Churchill Downs」では、仮想チップが「価値のあるもの」と認定され、違法ギャンブルと判断されました。この判例のように、ニューヨーク州がデジタルアイテムに「価値」を見出すかどうかが注目されます。

Valve社への潜在的な影響

もし裁判所が仮処分命令を出した場合、Valve社はニューヨーク州でのアイテム販売を一時的に禁止される可能性があります。これにより、同社は多額の収入を失うことになりかねません。特に欧州連合(EU)全体でルートボックスがギャンブルと判断された場合と比較すれば、ニューヨーク州単独での影響は小さいかもしれませんが、それでもSteamユーザーのゲーム購入やマイクロトランザクションに大きな影響が出る可能性はあります。