Nvidiaの次世代画像強化技術『DLSS 5』がゲーム保存の現場に新たな課題を提示、博物館キュレーターが警鐘を鳴らす
2026年03月23日 | #ゲーム #ハード・周辺機器 | VGC
AI技術の進化がゲーム業界に大きな影響を与えている中、Nvidiaが発表した次世代画像強化技術「DLSS 5」がゲーム保存の現場で新たな課題を生み出す可能性があると、博物館のキュレーターが警鐘を鳴らしています。この技術は、ゲームのグラフィックを向上させる一方で、オリジナルとは異なる見た目を作り出すことが指摘されており、将来的にどのバージョンを保存・展示すべきかという問題に直面するとのことです。
DLSS 5がもたらす保存のジレンマ
シドニーのパワーハウス博物館でプログラムキュレーターを務めるクロエ・アップルビー氏は、DLSS 5のようなAIおよび機械学習技術がゲームに追加されることで、ゲームの保存と展示において複雑な問題が生じると述べています。プレイヤーのハードウェア環境や個人の好みに応じてDLSSのオン・オフが選択できるため、どのバージョンが「本来のゲーム体験」を代表するのか、判断が非常に難しくなるとしています。DLSS 5が適用されたバージョンがプレイヤー間で一貫しているかどうかも不透明であり、これが集団的な体験をどのように定義するのかという疑問も投げかけられています。
オリジナルビジョンとプレイヤー体験の衝突
アップルビー氏は、AI技術がゲームのアートチームが意図したオリジナルのビジョンを損なうリスクがあるだけでなく、ユーザーごとにゲームの見え方が異なる結果になると強調しています。これは、将来博物館でゲームを展示する際に問題となる可能性があり、来場者それぞれのゲームに対する記憶が、彼らがプレイした際のセットアップによって異なってしまうためです。展示の文脈でこの技術をゲームと共にどのように提示すべきか、作り手の意図と観客の集合的記憶のどちらを優先するべきかという、キュレーションにおける正当性と解釈に大きな影響を与えるとのことです。また、クイーンズランド工科大学のブレンダン・キーオ博士は、DLSS 5がゲーム開発にそこまで大きな変化をもたらすとは考えておらず、「見た目のひどさに対する大きな反発を考えると」とコメントしています。