伝説のスタジオ「38 Studios」と、その傑作RPG『Kingdoms of Amalur: Reckoning』の光と影に迫る!革新的な戦闘と壮大な世界観で魅了した作品の軌跡とスタジオの突然の終焉
2026年03月24日 | #ゲーム #発売 | Polygon
かつて、メジャーリーグの伝説的投手カート・シリング氏が設立したゲーム開発スタジオ「38 Studios」は、ゲーム業界に大きな足跡を残すはずでした。同スタジオが唯一リリースした作品『Kingdoms of Amalur: Reckoning』(以下、本作)は、その革新的な戦闘システムと壮大な世界観で多くのゲーマーを魅了しましたが、スタジオ自体はゲーム発売後わずか数ヶ月で突然の閉鎖に至り、その野心的な挑戦は終わりを告げました。本作に同梱されていたデモ版からその魅力に気づき、後にスタジオが計画していたMMORPG「Project Copernicus」の存在を知った筆者が、本作の魅力を振り返るとともに、38 Studiosの波乱に満ちた物語を改めて掘り下げます。
『Kingdoms of Amalur: Reckoning』の魅力と革新性
本作のデモ版は、「死体として始まり、謎の実験によって蘇る」という強烈な導入でプレイヤーを引き込みました。多くのハイファンタジーRPGが「選ばれし者」の予言や使い走りから始まるのに対し、本作の設定はより異質でダークであり、運命に抗うことの意味を深く問いかけるものでした。そして、何よりもプレイヤーを惹きつけたのは、その「戦闘」です。武器を振るう最初の瞬間から操作がしっくりと手に馴染み、まるでアクションゲームのような流れるような攻撃、回避、素早い武器切り替え、そして重みのあるアビリティが特徴でした。現代ではアクション志向のRPGは一般的ですが、本作の戦闘は当時の他のRPGと一線を画す速さ、派手さ、そして高い満足度を誇っていました。スタジオには「戦闘ピット」と呼ばれる専門チームがあり、戦闘の感触を反復的に改良していたとのことです。
38 Studiosの栄光と挫折
2010年、ロードアイランド州は、州都に新たな技術セクターを創出するべく、38 Studiosを誘致するために巨額の融資保証を行いました。数百もの高給職と急成長する産業への足がかり、そして小さな州がその存在感を高めるチャンスとして、その計画は有望に見えました。シリング氏自身もスタジオに多額の投資を行い、スタジオは急速に拡大していきます。本作は批評家から高い評価を受け、発売からわずか90日で122万本を売り上げるなど、合計で約150万本を販売し、パブリッシャーであるEAの楽観的な予測をも上回る好調な売れ行きを見せました。しかし、ゲーム発売から3ヶ月後、38 Studiosは重要なローン返済を滞納し、2012年5月24日、全従業員が解雇され、スタジオは破産申請しました。当時のロードアイランド州知事リンカーン・チャフィー氏は、本作が「失敗した」と述べ、専門家によれば損益分岐点に達するには300万本の販売が必要だったと説明しています。結果として、ロードアイランド州の納税者は、利息を含めると1億ドル以上の負債を抱えることになり、これは同州の歴史上最も悪名高い経済開発案件の一つとして記憶されています。
『Project Copernicus』の幻と『Re-Reckoning』
本作の成功は、その世界観を共有するMMORPG「Project Copernicus」への期待を大きく高めました。当時のMMORPGの戦闘システムに不満を抱いていた筆者にとって、『Kingdoms of Amalur: Reckoning』の戦闘システムを継承したMMORPGはまさに「次の大きな波」となるはずでした。しかし、スタジオの閉鎖とともに「Project Copernicus」は幻となり、その残骸は数年間、最後の従業員によってサーバーが維持されていましたが、彼が亡くなった後、最終的にシャットダウンされました。2016年、THQ Nordicが『Amalur』の権利を獲得し、2020年9月にはリマスター版『Kingdoms of Amalur: Re-Reckoning』がリリースされましたが、評価は賛否両論でした。これは、この「死んだフランチャイズ」がいかに堅実なものであったかを思い出させるものに過ぎず、その魅力は「当時の時代」に限られていたのかもしれません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リマスター版発売日 | 2020年9月8日 |
| オリジナル版発売日 | 2012年2月7日 |
| オリジナル版販売本数 | 約150万本 |