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『Exit 8』実写映画化の舞台裏を川村元気監督が語る!ゲームと映画の境界線を曖昧にする挑戦とは?

2026年04月11日 | #ゲーム #発売 #イベント | Polygon

『Exit 8』実写映画化の舞台裏を川村元気監督が語る!ゲームと映画の境界線を曖昧にする挑戦とは?

話題のホラーゲーム『Exit 8』の実写映画化について、監督の川村元気さんがその制作秘話を語っています。本作は、ゲームの持つ不気味な雰囲気を踏襲しつつ、映画ならではの深い物語が展開されるとのこと。ゲーム版をプレイしていなくても楽しめるように、独立した作品として構成されており、通勤中に見知らぬ男(二宮和也さん演じる「失われた男」)が駅の通路で無限ループに閉じ込められるという、シンプルながらも心を揺さぶる設定が特徴です。元恋人からの妊娠報告と、それに対する彼の決断が、この終わりのない回廊と恐ろしい現象に反映されており、まさに自身の精神状態からの脱出を試みる「脱出ゲーム」のような映画体験となっています。

ゲームの枠を超えたストーリーテリング

川村監督は、ゲームと映画という異なるメディアの境界線を曖昧にすることを目指したと語っています。ゲーム版『Exit 8』では、プレイヤーが白い回廊の迷宮で「異変」を探すという体験が中心で、主人公の背景や迷宮に閉じ込められた理由については一切明かされません。しかし、映画では脚本家の平瀬健太郎さんと共に、主人公の状況が物理法則を無視した世界を正当化するような、しっかりとした物語とキャラクターを作り上げたとのこと。監督は、ゲームにおけるプレイヤーとキャラクターの重なりが、映画化においては足かせになることが多いと指摘し、単純な翻案ではなく、それぞれのメディアが持つ表現の可能性を追求したかったとしています。

宮本茂氏の哲学と「観客としてのプレイヤー」

川村監督は、任天堂の宮本茂氏との対談で「本当に素晴らしいゲームは、プレイヤーが楽しんでいるのはもちろん、そのプレイを見ている人も楽しませるべきだ」という言葉に感銘を受けたと話しています。この哲学は、『Exit 8』の映画制作において、観客を「プレイヤーの視点」と「Twitchのライブ配信を見ているような観客の視点」の両方に立たせるという試みに繋がったそうです。この二つの視点を映画内で共存させることで、ゲーム原作映画がこれまであまり踏み込んこまなかった領域に挑戦し、ゲーム業界全体で起きている「ゲームをプレイする人」と「ゲームを見る人」という現象を一つの映画体験に凝縮しようとしたとのこと。

映画化に至るまでの徹底的なリサーチ

川村監督は脚本執筆前に、数多くの『Exit 8』のゲーム配信を視聴し、プレイヤーたちがどのようにゲームと向き合い、解釈しているかを研究したといいます。ゲームのシンプルなデザインが、プレイヤーに自分自身の期待を重ね合わせる余地を与えていたため、「オンラインの配信と同じくらい多くの物語があった」と語っています。また、東京での自身の通勤体験から、満員電車の中で人々がスマホに没頭し、周囲との関わりを断絶している状況にインスピレーションを得たとのこと。こうした「利己的な泡」の中にいることによる小さな罪悪感や罪が、もし回廊という空間で具現化されたらどれほど恐ろしいか、という発想が物語の原点となり、ダンテの『神曲』における煉獄の概念にも着想を得ているそうです。

NPCにも焦点が当たる物語の深掘り

ゲーム内で声を持たないNPC「歩く男」にも、映画では不穏な物語が与えられています。川村監督は、「私たちが生きる世界では、誰もが主人公であり、他者はNPCとして現れるが、逆もまた真実だ」というゲーム的な思考から、もし「歩く男」が主人公だったらどんな物語になるだろう、という視点で脚本を執筆したとのこと。さらに、監督自身が国際的なベストセラー作家でもあることから、映画の小説版も執筆し、キャラクターの背景をさらに掘り下げているそうです。また、『君の名は。』『すずめの戸締まり』など、数々の大ヒットアニメ映画を手がけてきたアニメプロデューサーとしての経験も、『Exit 8』の実写化に大きく影響していると話しています。

項目 内容
公開中 映画『Exit 8』