スクエニのミステリーADV『パラノマサイト 廻星のマーメイド』、成功の秘訣はインディーゲーム市場の盛り上がりか?クリエイターが語る伝承と現代が交錯する深遠な物語
2026年05月05日 | #ゲーム #発売 | Polygon
スクウェア・エニックスのミステリーアドベンチャーゲーム『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の続編となる『パラノマサイト 廻星のマーメイド』について、クリエイターの石山貴也氏が、インディーゲーム市場の盛り上がりがシリーズの成功に繋がっていると語っています。近年、Steamだけでも年間約2万本のゲームがリリースされるなど、インディーゲームが埋もれがちになる中で、本作は高い評価を得ており、スクウェア・エニックスが「量より質」を重視する方針を打ち出した2024年以降において、続編が制作されたことは異例と言えます。石山氏は、高品質なインディーゲームの台頭が、自身の作品のような小規模なタイトルにも注目を集めるきっかけになっていると分析しています。
伝承と現代が交錯する新たな物語
『廻星のマーメイド』では、実在する亀島を舞台に、カタストロフィー的な洪水と人魚の出現、そして不老不死を巡る物語が展開されます。作中ではフィクションとされていますが、殺人や失踪事件、悲劇的な愛と喪失の物語が、過去と現在を巧みに織り交ぜながら描かれるとのこと。前作『本所七不思議』と同様に、本作も伝統的なアドベンチャーゲームの形式を踏襲しており、さまざまな場所を探索し、人々から情報を集め、論理的なパズルを解いていくのが主なゲームプレイとなっています。石山氏は、「パラノマサイトシリーズは、目新しいことや画期的なことを目指しているわけではなく、むしろ伝統的なゲームを丁寧に作り込み、純粋に面白いものにすることに焦点を当てています。その魅力がうまく伝わったと思っています」と語っています。
過去の伝承から生まれる深みのある世界観
不老不死を巡る人魚の物語
石山氏は、本作の物語を際立たせるために、ストーリーテリングと独自の視点を重視しています。例えば、前作の主人公たちが恐ろしい犯罪に関与していたように、本作の主人公たちも、抜け目のない主婦探偵や、小さな島社会でよそ者として忌み嫌われる女性の子供など、一風変わった視点から物語を紡ぎます。また、石山氏は自身の歴史への関心から、遥か昔の過去に目を向け、物語に意外な角度を加えています。特に、数千年前の古代の物語には強い神秘性と冒険心を掻き立てられるとのことです。
日本の伝承と人魚のイメージを再構築
本作の根幹には約1,000年前の歴史があり、政治的に不安定だった平安時代の平家一族の史実と、負の感情や出来事を増幅させる「呪い石」といった超自然的なフィクションが融合しています。これは、平家に関する地域の実際の民話や伝説と同じ系統のものであると、作中の百科事典で解説されています。石山氏は、「実在する民話に基づいた物語の魅力は、リアリズムを高め、物語をより信憑性のあるものにすることだと思います。プレイヤーが『もしかしたらこんなことが本当にあったのかもしれない』と思う時、それは彼らが世界に真に没入し、物語に完全に引き込まれている証拠です」と述べています。人魚の物語についても、日本のオカルトフィクションやポップカルチャーで人気のあるテーマですが、石山氏は西洋的な解釈とは異なる視点から、過去の伝承や高橋留美子氏の『人魚の森』、手塚治虫氏の『火の鳥 異形編』といった作品からインスピレーションを得て、一般的なイメージを覆すような物語を構築したとのことです。