2025年10月23日に発売の『Farthest Frontier』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Farthest Frontier』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
メタスコアは80代半ばの良ゲー評価。中世の村づくりシミュレーターとして、農業や生産チェーンの圧倒的な作り込みが高く評価されていますが、UIの不親切さや序盤のテンポの悪さなど気になる点もしっかり指摘されています。購入の参考になれば幸いです。
泥臭い中世の村づくり、その沼は深い




この『Farthest Frontier』は、中世の荒野に降り立った入植者たちの村を一から育て上げていくシティビルダーです。ただし、よくあるシティビルダーとはちょっと毛色が違います。土壌のミネラルや雑草を気にしながら畑を耕し、食料が腐らないように保存方法を確立し、壊血病やネズミの被害と戦いながら、中世の生活そのものをシミュレーションするタイプのゲームですね。
桃のジャムを作るために砂の採掘からガラス瓶の製造まで何年もかかるような気の遠くなる生産チェーンや、「カブなんてもういい、今年はネギに全振りだ!」と叫びたくなるほど奥深い農業システムは、このジャンルが好きな人にはたまらないと思います。一方で、UIがかなり不親切だったり、序盤の待ち時間が長かったりと、手放しで万人にオススメとは言いづらい部分も。良質だけど、人を選ぶ作品かもしれません。
桃のジャムを作るのに何年もかかる、それが最高
本作の一番の魅力は、何と言っても生産チェーンの圧倒的な深さです。たとえば果樹園で収穫した桃を保存食にしようと思ったら、まず砂を採掘してガラス工場で瓶を作り、その瓶を作るために重装備が必要だから鍛冶屋を建てて、鍛冶屋には鉄のインゴットがいるから鋳造所を建てて、鉱石を掘るために鉱山を建てて……という果てしない工程が待っています。あるレビュアーは「桃のジャムを作るのに何年もかかった」と語っていますが、この途方もないプロセスを一つずつクリアしていく達成感は格別です。
しかも、ただ数字が動くだけではなくて、住民が実際に荷車を押して資材を運んだり、鶏を一羽一羽見ると色や大きさが違っていたりと、「生きた村」を眺める楽しさがしっかり用意されています。ベリーの採集から始まって、農業、牧畜、チーズなどの加工食品まで多彩な食料が登場し、バランスよく食べさせないと壊血病になってしまう。食料が腐るからたる詰めや燻製の設備も必要で、ネズミや野生動物が保管庫を荒らす。この泥臭いリアリズムの積み重ねが、「自分の村を守り育てている」という手応えを強く感じさせてくれます。
農業だけで別ゲーが作れるレベルの作り込み
農業システムだけで一本のゲームが成立するんじゃないかというくらい、作り込みが異常です。10種類の作物を選び、畑のマスに作物のサイズを考慮して配置する「バイオハザードのインベントリ管理のような」空間パズル要素があり、さらに土壌の石の多さ、ミネラル成分、雑草、輪作、霜への耐性まで考慮しなければなりません。
こんなの面倒なだけじゃないかと思うかもしれませんが、最適な土壌ブレンドを模索しているうちに「カブなんてもういい、今年はネギに全振りだ!」と声に出してしまうくらい、気づいたら夢中になっているタイプのシステムです。加えて、食料の腐敗を防ぐための保存設備や、石鹸を作って衛生を保つ仕組みなど、「中世の暮らし」を隅々まで再現しようとする開発の執念が感じられますね。
ずっと眺めていたくなるビジュアルと音楽
グリッドベースの建築でありながら、建物のバリエーションやテクスチャの馴染み方が自然で、見とれるほど美しい景観を作ることができます。カメラを最大まで寄せてもモデルのディテールが崩れず、「鶏すらコピペではなく一羽ずつ違う」という細部への尋常じゃないこだわり。
サウンドトラックも素晴らしくて、哀愁漂うフィドルの音色やフォークミュージックが、村人たちの営みを完璧に彩ります。ゲームを終えた後もメロディを口ずさんでしまうくらい耳に残る音楽ですね。難易度設定も柔軟で、過酷なサバイバルから平和主義者モードまで幅広く選べるので、自分のペースで楽しめるのも大きなポイントです。
ただ、ちょっと注意点があります
UIの不親切さが結構キツい
せっかくの奥深いシステムなのに、UIの使い勝手がかなり悪いです。建築メニューはマウスホイールでスクロールできず手動スライダー操作が必要で、上位カテゴリを閉じないと下位カテゴリにアクセスできないという煩わしい階層構造。失業者の数みたいな重要な情報が一目で確認できないHUDデザインも問題ですね。
物流の最適化に関するツールチップもほとんどなく、効率を求めるプレイヤーは手探りでシステムを解明しなければなりません。チュートリアルに至っては「すでに専門家である人向けに書かれた工学論文のようなアクセシビリティ」と酷評されるほどで、初心者への導線がほぼないに等しい。仕組みを理解する前に村が壊滅するケースも珍しくないようです。
序盤のテンポと軍事面はもう一歩
序盤は人口が少なく、ただ倍速で画面を眺めるだけの時間が発生しがちです。人口増加は自然な出生率と移民に完全に依存しており、プレイヤーが直接介入できる手段がありません。次の施設を建てたいのに労働力が足りなくて待つしかない、という膠着状態に陥ることも。
軍事面も経済や農業の作り込みに比べると明らかに薄く、「タワーディフェンスの域を出ない」という評価です。敵AIは「裏庭の家畜レベル」と酷評され、防壁と監視塔を建てれば脅威にならないため、戦闘に戦略性を求めるプレイヤーには物足りないかもしれません。技術ツリーも「靴の生産速度が12%アップする」といった数値バフの羅列で、ワクワク感に欠けるとの声があります。
この容赦のなさ、ハマるか折れるか
本作で最も評価が分かれているのが、容赦のないサバイバル要素です。
肯定派にとっては、猛暑、火災、赤痢の蔓延、そして「殺人熊(murder-bear)」の襲撃といった予測不能な事態が次々と優先順位を覆すダイナミズムこそが本作の醍醐味。冬の寒さや飢饉を乗り越え、貧しい村から石畳の街へと発展させた瞬間の達成感は何物にも代えがたいものです。住民一人一人の運搬を眺めながらサプライチェーンのボトルネックを解消していく緻密な管理も、「社会の歯車が噛み合い始める至福の時間」として絶賛されています。
一方で否定派は、些細なミス(種まきのタイミングの遅れなど)が数時間かけた村を完全崩壊させる「デス・スパイラル」の理不尽さを指摘しています。一度崩壊が始まるとリカバリーが極めて困難で、数シーズン前のセーブに戻るしかありません。木や石の採集も自動化できず、資源が枯渇するたびに手動で範囲指定をやり直す必要があるため、「住民のベビーシッターをしている気分」になるという声も。この歯ごたえを楽しめるかどうかが、本作の評価を大きく左右しそうです。
メディアレビュー紹介
高評価メディア
Region Free — 100
本作は今年登場したシミュレーター界の真の傑作である。190種以上の建物や140もの技術ツリーが織りなす圧倒的な深みは、Age of EmpiresやFrostpunkの愛し子と言える。過酷な冬や疫病でコロニーが崩壊する絶望感すらも心地よい。シミュレーションファンを長年魅了し続ける大傑作だ。
→ レビューを読むGameSpace — 90
Grim Dawnの開発陣が放つ、中世都市のリアルな生活を極限まで再現した傑作だ。出生率に依存する人口増加や、食料の腐敗がもたらす疫病など、息を呑むほど緻密なシステムが光る。ズームしても鶏一羽一羽の模様が違うほどの異常な作り込みには脱帽するしかない。奥深い都市建設の魅力に完全に溺れてしまう。
→ レビューを読むPC Gamer — 85
巨大なクマの襲撃で街が大パニックに陥る危機感と、土壌の粘土比率や雑草まで管理する狂気的な農業システムがたまらない。ガラス工房や鉄の鋳造を経て「桃のジャム」を作るために数年を費やす複雑な生産チェーンは、信じられないほどの達成感をもたらす。市民の動きを眺めているだけで時間が溶ける極上の体験だ。
→ レビューを読む
低評価メディア
CD-Action — 70
経済や農業の過剰なリアリズムに固執するあまり、他の重要な要素が犠牲になっている。軍事面は単調なタワーディフェンスの域を出ず、敵AIは家畜レベルの愚かさだ。さらに、角ばったモデルや単調なテクスチャなど、ビジュアル面は全く洗練されていない。大作『Anno』の洗練されたプレイ感には遠く及ばない。
→ レビューを読むTry Hard Guides — 80
複雑な経済システムは素晴らしいが、UIの酷さと不親切な説明がプレイ体験を台無しにしている。失業者の数すら一目で分からず、物流システムも理解不能なままだ。さらに、技術ツリーが「靴の生産が12%速くなる」といった単調な数値の羅列に終始しており、アンロックのワクワク感が完全に欠如している点は致命的だ。
→ レビューを読むPC Gamer — 85
序盤の展開が絶望的に遅く、少ない住人が木を切り倒すのを早送りで眺めるだけの退屈な時間が続くのは苦痛だ。また、盗賊の襲撃タイミングが理不尽で、火事の最中や金庫を移動させた直後を正確に狙ってくるのは不自然極まりない。人口が500人を超えて経済が安定すると、途端に新たな目標を見失い虚無感に襲われる。
→ レビューを読む
まとめると
- 農業・生産チェーンの作り込みは圧巻で、桃のジャム一つ作るのに鉱山の建設から始まる果てしない工程が中毒的な達成感を生む
- 食料の腐敗、壊血病、ネズミの被害など中世の生活を徹底再現した泥臭いリアリズムがこのゲーム最大の個性
- 建物やキャラクターのビジュアルが美しく、フォーク調のサウンドトラックも村の雰囲気と完璧にマッチしている
- 平和主義者モードから過酷なサバイバルまで、難易度設定の幅が広く自分好みのプレイが可能
- UIの視認性が低く、チュートリアルも不親切で、新規プレイヤーが仕組みを理解するまでのハードルが高い
- 序盤は人口が増えるのを待つだけの退屈な時間が発生しやすい
- 軍事面は経済・農業に比べて明らかに薄く、敵AIも賢くない
- 些細なミスから村が崩壊する「デス・スパイラル」を楽しめるかどうかで評価が大きく分かれる
製品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | Farthest Frontier |
| ジャンル | シティビルダー / サバイバルシミュレーション |
| 発売日 | 2025年10月23日 |
| 開発 | Crate Entertainment |
| 対応機種 | PC(Steam) |
| 日本語対応 | あり |










