EAがサウジアラビア政府系ファンドとプライベートエクイティ企業に買収され非公開化、レバレッジド・バイアウトで巨額負債を背負うことに。今後の経営戦略やゲーム開発への影響、サウジアラビアのゲーム産業戦略の中核となる可能性が浮上
2026年08月13日 | #ゲーム #発売 #イベント | Eurogamer
先週、大手ゲームパブリッシャーであるエレクトロニック・アーツ(EA)が、プライベートエクイティ企業とサウジアラビア政府系ファンドの共同所有により非公開化されたことが明らかになりました。この買収は、同社の歴史における重要な節目となるでしょう。特筆すべきは、買収方法としてレバレッジド・バイアウト(LBO)が用いられた点です。EAはモルガン・スタンレーから約200億ドルを借り入れ、年間約10億ドルの利息返済が課せられることになります。この巨額の負債が、今後のEAの経営に大きな影響を与える可能性が指摘されています。
EAの経営戦略に変化の兆し
今回のLBOによる負債は、EAの経営戦略に大きな変化をもたらすと見られています。ダブリン大学の金融学教授であるエイドリアン・フェルナンデス=ペレス氏は、買収された企業は負債返済が最優先課題となり、新規ゲーム開発や研究開発といった他の計画が後回しになる可能性を指摘しています。EAは、収益性の高いライブサービス型ゲームに注力することで、この負債を返済しようとするでしょう。同社の直近の四半期決算では、総収益の大部分がライブサービスから得られており、今後はさらにこの傾向が強まることが予想されます。つまり、ニッチなシングルプレイ作品よりも、大ヒットが見込めるタイトルに開発リソースが集中する可能性が高いとのことです。
サウジアラビアのゲーム産業戦略の中核へ
サウジアラビア政府が今回の買収に関与している背景には、同国の「ビジョン2030」という国家戦略があります。これは、2030年までにゲーム産業で510億サウジアラビア・リヤル(約130億ドル)の経済価値を創出し、3万9000人以上の雇用を生み出すという目標を掲げています。ビデオゲーム業界と政府の関与に詳しい専門家であるジョージ・オズボーン氏は、EAの買収がこの目標達成を「超加速」させると見ています。EAは年間約70億ドルの純収益を上げ、約7億人のユーザーにリーチしており、特にeスポーツや競技ゲームといったサウジアラビアが注力する分野に合致しています。
サウジアラビアへの事業展開の可能性
オズボーン氏は、EAがサウジアラビア国内に事業拠点を設ける可能性が高いと推測しています。具体的には、商業拠点としてリヤドを中東・北アフリカ地域の主要ビジネス拠点と位置づけたり、eスポーツ関連部門の一部を移転したりする可能性があるとしています。また、EAが事業効率化のために人員削減を行う場合、米国など高コストな地域から削減し、サウジアラビアの優秀な人材を低コストで採用する可能性も指摘されています。
『FIFA』ブランドとの再統合の可能性
EAは現在、人気サッカーゲームのシリーズ名を『EA Sports FC』に変更していますが、サウジアラビアが2034年のワールドカップ開催を控えていることもあり、今後5年以内に『EA Sports FC』と『FIFA』ブランドが何らかの形で公式ライセンス契約を結び、例えば「公式FIFAワールドカップモード」のような形で融合する可能性も示唆されています。今回の買収には、JPモルガンやジャレッド・クシュナー氏など、FIFA関連のビジネス提案に関わる企業や人物も関与しており、この点も注目されます。