2025年9月25日に発売の『Silent Hill f』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Silent Hill f』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
メタスコアは80代半ばの好スコアを記録しました。竜騎士07氏が手がけた重厚なストーリーと唯一無二のアートディレクションが高く評価される一方、近接メインの戦闘システムには厳しい声も集まっています。良ゲー寄りの評価となった本作のレビューをまとめましたので、購入の参考になれば幸いです。
彼岸花に彩られた地獄の美しさ、けれどその手触りには棘がある




この『Silent Hill f』は、1960年代の日本の架空の町「戎ヶ丘(えびすがおか)」を舞台にしたサイコロジカルホラーで、シリーズの伝統だったアメリカの霧の町を完全に捨て去った大胆な一作です。『ひぐらしのなく頃に』で知られる竜騎士07氏が手がけたシナリオは、女子高生・深水雛子の視点を通じて家父長制や社会的抑圧といった重厚なテーマを真正面から描き切っていると絶賛されています。Unreal Engine 5で描かれた町の美しさと、伊藤潤二作品を彷彿とさせるクリーチャーデザインの醜悪さが生む異様なコントラストも圧巻。
ただし、近接メインの戦闘システムについては評価が大きく割れています。鉄パイプや包丁を振るう操作感の重さや、回避アクションの不自然さに強い不満の声があり、「物語は最高なのに戦闘が足を引っ張る」という意見がかなり目立ちますね。総合的には「良ゲー」と呼べる水準ですが、手放しで万人に勧められるかというと、少し注意が必要かもしれません。
竜騎士07の真骨頂——「考察したくなる」物語の引力
本作のストーリーは、レビュアーから「少女から大人への移行を嫌悪感と恐怖で探求するホラーテキストの殿堂に加わる」と評されるほど高い評価を受けています。主人公の雛子が綴る「ジャーナル(日記)」は、画面上の出来事と彼女の主観のズレを読み解くための重要な手がかりになっていて、プレイヤーの考察欲を刺激する仕掛けが随所に散りばめられています。
物語のテーマ性も見事で、1960年代の日本における女性への抑圧や社会規範の息苦しさが、ゲーム内の霧やクリーチャーの造形として巧みに表現されています。「リスクを恐れず真の芸術作品のように振る舞った」という声もあるくらいで、ストーリーだけで言えばシリーズ最高傑作と呼ぶレビュアーも少なくありません。M・ナイト・シャマラン監督のように伏線が最初から目の前に隠されていて、後になって衝撃的な事実に気づかされる構成も巧みですね。
おぞましくも美しい——彼岸花とクリーチャーの衝撃
ビジュアル面の評価も非常に高いです。霧の奥から姿を現す真っ赤な彼岸花、不気味な植物に侵食されていく町並みは「美しさの中に恐怖を見出す」と表現されています。クリーチャーのデザインは「伊藤潤二の漫画からそのまま抜け出してきたような悪夢」と形容されるほど強烈。胸のような嚢胞に覆われたナメクジ状の怪物や、陶器の人形がムカデのように這い回る怪物など、「過去作のピラミッドヘッドが大人しく見える」レベルのインパクトです。
サウンド面でも、山岡晃氏らが手がけた雅楽とインダストリアルノイズの融合が「プレイヤーをトランス状態に陥らせる」と絶賛されています。敵の接近を知らせる不気味な喉歌は「鳥肌が立つ」とレビュアーを震え上がらせていますね。
和風テイストが光るシステムとパズル
戦闘とパズルで難易度を個別に設定できるのは嬉しいポイントです。パズルは「ペンと紙が必要になるような本格的なもの」が用意されていて、不気味なカカシのギミックなど日本の風習に根ざした謎解きがプレイヤーの知的好奇心を刺激します。
また、祠にアイテムを奉納して「功徳」を貯め、ランダムな「お守り」を引いてパッシブスキルを得るガチャ風のシステムや、フィールドで拾える「絵馬」による永続強化など、和風テイストをゲームシステムに落とし込んでいる点はユニークだと思います。
ただ、看過できない問題もあります
「泥の中をスイングする」ような戦闘の重さ
本作で最も批判を集めているのが近接メインの戦闘システムです。銃器は一切登場せず、鉄パイプや包丁の耐久度、持久力、精神力、見切り回避・反撃と、要素がかなり詰め込まれています。多くのレビュアーがこの戦闘を「泥の中をスイングしているような鈍重さ」と表現していて、狭い日本家屋ではカメラが壁に引っかかり、敵が突然距離を詰めてくるため理不尽にダメージを受けやすいのが難点。
さらに、普通の女子高生である雛子が「『ドラゴンボール』の悟空のように瞬時にダッシュ回避する」動きは世界観から浮いていると指摘されていて、「Zack Snyderの『エンジェル ウォーズ』を思わせる、大人向けの物語と完璧な回避行動を両立させようとした勘違いの産物」とまで言われてしまっています。
敵の少なさと周回の苦痛
ボスを除くとザコ敵は実質4種類程度しかおらず、中盤以降は使い回しが目立ちます。倒してもリスポーンするエリアや、全滅しないと先に進めない場面が増えるため、恐怖感が薄れて「ただの障害物」に感じられがちですね。
また、真のエンディングに到達するには複数回の周回プレイが必須ですが、1周目(約10〜15時間)のエンディングは「壁に激突したように唐突に終わる」と評されるほど不完全燃焼。周回してもマップやパズルに大きな変化がないため、苦痛な戦闘を何度も繰り返す構造が「プレイヤーのモチベーションを削ぐ致命傷」になってしまっています。PS5 Proの「Enhanced」モードでもスタッタリングが頻発するパフォーマンスの問題も指摘されていますね。
戦闘は「メタファー」か「設計ミス」か、割れる評価
本作の戦闘システムについては、解釈そのものが対立していて面白いです。
肯定派は少数派ですが、戦闘の手触りの悪さを「生きるための必死の闘い」の表現として好意的に受け止めています。雛子が怒りを込めて鉄パイプを振り回す姿は「理不尽な状況へのフラストレーションを解放するメタファー」という解釈ですね。
一方の否定派は多数派で、その擁護を「不完全な解釈だ」と一蹴しています。「本のページで指を切っても物語が面白くなるわけではなく、ただ血で汚れるだけ」という痛烈な一言に象徴されるように、テーマ性が優れていても不快な操作感は正当化できないという立場。こちらの声がかなり強いです。
また、シリーズのアイデンティティについても意見が分かれています。多数派はアメリカから昭和の日本への舞台変更を「シリーズに新たな命を吹き込んだ大胆な再出発」と歓迎し、『2』に匹敵する傑作になり得ると称賛。少数派は「『零(Fatal Frame)』や『SIREN』のようなJホラーの模倣になった」と感じ、「Silent Hillの名を冠した別のゲーム」だと批判しています。
メディアレビュー紹介
高評価
Dexerto — 100
1960年代の日本を舞台にした本作は、『サイレントヒル2』に匹敵、あるいは凌駕する大傑作だ。女子高生・雛子を操作し、持久力や精神力を管理するシビアな戦闘がスリリング。伊藤潤二作品のような醜悪で美しいクリーチャー群や、狐面の男が誘う異界の恐怖は、シリーズの新たな到達点である。
→ レビューを読むInverse — 100
竜騎士07氏の脚本が光る、シリーズ最高傑作だ。昭和期の日本を舞台に、ジェンダーロールの抑圧という重いテーマを鋭くえぐる。陶器の人形が連なるムカデのような怪物との死闘や、「精神力」を消費して敵の脈拍を見極める戦闘システムも見事。恐怖と美しさが融合した、極めてタイムリーなホラー体験である。
→ レビューを読むRetcon — 100
『サイレントヒル2』以来の真の傑作だ。戎ヶ丘を覆う霧の中、鉄パイプを振るう戦闘は持久力と精神力の管理が鍵となる。祠で功徳を貯めてお守りを引く強化システムも斬新だ。霧の畑での「カカシの謎解き」の恐怖や、トラウマやフェミニズムを問う竜騎士07の重層的な物語が、プレイヤーの心に深く突き刺さる。
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低評価
WellPlayed — 60
芸術的な美しさを持つ半面、最悪の戦闘システムが全てを台無しにしている。雛子の不器用な近接攻撃と、過剰な持久力管理のアクションが全く噛み合っていない。祠のお守りガチャも世界観を損なうノイズだ。周回プレイを重ねるほど、女性のトラウマという繊細なテーマが陳腐化していく点も非常に残念である。
→ レビューを読むKonsoliFIN — 60
竜騎士07の脚本による重厚な物語は素晴らしいが、ゲームプレイは前時代的で苦痛だ。操作性は硬く、武器の耐久度システムや古いセーブ方式は即刻ゴミ箱に捨てるべき代物である。さらに、絶望的で陰鬱な物語を12時間以上かけて5回も周回させられる構成は、プレイヤーに対する単なる嫌がらせとしか思えない。
→ レビューを読むTechRadar Gaming — 60
傑出した物語と演出を持つが、戦闘がシリーズ最悪レベルの惨状だ。鉄パイプを振るうだけの戦闘に持久力や武器の耐久度など不要なシステムを詰め込みすぎている。雛子の動きは泥沼をもがくように重いのに、回避アクションだけが「孫悟空」のように瞬間移動するアンバランスさには失笑を禁じ得ない。極めて苦痛な体験だ。
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まとめると
- 竜騎士07氏による重厚なシナリオは、ジェンダーロールや社会的抑圧を鋭く描いたシリーズ屈指の物語
- 彼岸花と肉塊が共存する異様なアートディレクションとクリーチャーデザインは圧巻
- 雅楽とインダストリアルノイズが融合したサウンドデザインが恐怖を増幅させる
- 功徳・お守り・絵馬など和風テイストをシステムに落とし込んだ独自の強化要素がユニーク
- 戦闘とパズルの難易度を個別に設定できる柔軟さ
- 近接メインの戦闘は操作感が重く、回避アクションの不自然さに不満が集中
- ザコ敵のバリエーションが少なく、中盤以降は戦闘が単調な作業になりがち
- 真のエンディングには周回必須だが、1周目の結末が不完全燃焼で周回のモチベーションを保ちにくい
- PS5 Proでもスタッタリングが発生するパフォーマンスの最適化不足
製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | SILENT HILL f(サイレントヒル f) |
| ジャンル | サイコロジカルホラー |
| 発売日 | 2025年9月25日 |
| レーティング | CERO Z(18才以上対象) |
| 開発 | NeoBards Entertainment |
| シナリオ | 竜騎士07 |
| コンポーザー | 山岡晃 / xaki / dai / Kensuke Inage |










