2025年9月25日に発売の『Consume Me』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Consume Me』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
メタスコアは80台の良ゲー評価を獲得。摂食障害という重いテーマを独創的なゲームシステムで追体験させる意欲作として好評を博しつつも、終盤の物語展開や繰り返しの作業感にはしっかりとした批判も寄せられています。購入の参考になれば幸いです。
「痛くて笑えて、ちょっと泣ける」ダイエット地獄シミュレーター
この『Consume Me』は、摂食障害を抱えた女子高生ジェニーの日常を、テトリス風の食事パズルとメイド イン ワリオ風のミニゲームで追体験する、かなり攻めた半自伝的ライフシミュレーションです。開発者ジェニー・ジャオ・シア自身の実体験をベースにした物語で、2025年のIGF大賞(Seumas McNally Grand Prize)も受賞しています。
パステルカラーのポップなビジュアルと大げさなアニメーションで包まれていますが、その中身は「限られたフリータイムの中で幸福度・体力・Gutsの3つのステータスを維持しながら、毎週のタスクをこなす」というかなりシビアなリソース管理ゲーム。プレイしていると、気がつけば自分がジェニーに無理なスケジュールを押し付けている側になっていて、ゾッとするかもしれません。
全体的にはポジティブな評価が多いですが、終盤の物語展開とミニゲームの反復については明確な批判も寄せられています。かなりユニークな体験ができる作品なのは間違いなさそうですね。
テトリスでお弁当を詰める、最高に面白い食事パズル
本作で最も評価されているのが、食事を「一口(Bites)」という架空の単位で管理するシステムです。カロリーの代わりに「一口」という数値を使い、1日の上限は450一口。プレイヤーはテトリスのような形をした食材ブロックを、胃袋を模したグリッドに隙間なく敷き詰めていく必要があります。
ここが面白いのが、ヘルシーな野菜ブロックほど形がいびつで詰めにくく、ジャンクフードは扱いやすい形をしているというジレンマ。L字型のケールやS字型のトマトをうまく配置して、空いた1マスを卵で埋めるような工夫が求められます。レビュアーからは『バイオハザード4』のアタッシュケース整理に例えられていて、なかなか的確な比喩だと思います。
この食事パズルを軸に、エナジードリンクによる「負のループ」の設計がとにかく絶妙。夜更かしのためにカフェインを摂ると頭痛が発生し、頭痛を治すためにポテトチップスを食べると一口の上限を超過、それを消費するために貴重なフリータイムを運動に割く羽目になる……という不健全な悪循環の罠が仕掛けられています。
ドタバタミニゲームが重いテーマを救っている
摂食障害という重苦しいテーマを扱いながらも、日々のタスクが『メイド イン ワリオ』を彷彿とさせるスピーディーなミニゲーム集として表現されているのが本作の大きな強み。本から目を逸らさないようにマウスで視線を操作する「読書」、ラグドールのようにぐにゃぐにゃ動く手足をドラッグしてポーズを取らせる「エアロビクス」、犬のフンを避けながらお金を拾う「犬の散歩」など、クスッと笑えるアクションが次々に繰り出されます。
あるレビュアーは本作のプレイ体験を「速すぎるランニングマシンで走るようなもの」と表現しています。甘ったるいビジュアルのコラージュを浴びせられながら必死についていくしかない、と。パステルカラーの可愛らしい見た目の奥に「摂食障害」という醜い核心が潜んでいるコントラストが、多くのレビュアーに非常に効果的だと評価されていますね。
青春の痛みがシステムに染み込んでいる
十代特有の焦燥感の描写もかなり細やかです。遠距離恋愛中の彼氏オリバーからの連絡が途絶えると「毒ダメージ」のように精神が削られたり、彼氏の母親と初対面のシーンで「不安メーター」が出現したりと、誰もが覚えのある青春の痛みがゲームシステムに落とし込まれています。
毎朝選ぶコーディネートによって「本を読むスピードが上がる」「運動に必要なアクションポイントが減る」といったバフが得られるのも面白い。体重計の目盛りに数字を表示せず「親指を立てる/下げる」のアイコンだけで結果を伝える配慮など、トリガーを避けつつもテーマを掘り下げる丁寧な設計が随所に光っています。
ただし、終盤は要注意です
物語の着地が駆け足すぎる
多くのレビュアーが最も批判しているのが、最終章からエピローグにかけての展開です。ゲームの大部分を費やしてジェニーの苦しみをインタラクティブに描いておきながら、回復のプロセスはゲームプレイとして描かれず、モンタージュやメタ的な演出で済まされてしまいます。
摂食障害という最大の問題も「時間が経ってなんとなくやらなくなった」という形でフェードアウト。あるレビュアーはこれを「マリオが『ピーチ姫は別の城にいる』と知った後、クッパと戦うのではなく、エンドロールでクッパを倒すのをただ見ているようなもの」と痛烈に表現しています。プレイヤーが「敗北したまま終わらされる」フラストレーションは、かなり大きいかもしれません。
また、終盤に唐突に導入される「宗教への祈り」という要素も評判がよくありません。1日1回祈るだけでノーリスクでステータスが回復してしまい、それまでの「無理な自己管理」というゲームのテーマとシステム的に矛盾してしまっています。
ミニゲームの作業感とスキップ不可のカットシーン
日々のルーチンを繰り返すゲームの性質上、後半になるにつれて同じミニゲームの繰り返しが「作業感」に変わっていきます。特に失敗してリトライする際、カットシーンにスキップ機能がないのは大きなフラストレーション。すでに何度も見た演出をもう一度見せられるのは、なかなかキツいものがあります。
ランダムイベント(バスに水を跳ねられて着替えが必要になるなど)が綿密な計画を理不尽に破壊してくるのも、テーマの補強ではあるものの「安っぽい」と感じるプレイヤーもいるようです。
加えて、コントローラー操作への対応が非常に弱い点も要注意。本作のミニゲームはマウス操作前提で設計されているため、Steam Deckなどではまともにプレイしづらく、PC(マウス操作)でのプレイが強く推奨されています。
「リアルな結末」か「物語の放棄」か、評価が真っ二つ
本作で最も意見が割れているのが、物語の結末の評価です。
肯定派は、開発者の半自伝的作品であることを踏まえ、「時間が解決した」というリアルな結末に誠実さと希望を見出しています。精神的な回復は魔法のように起こるものではなく、静かに訪れるものだという描写が押し付けがましくなくて良い、という意見ですね。
一方で否定派は、ゲームが摂食障害の恐ろしさをシステムを通じてプレイヤーに叩き込んできたにもかかわらず、最終的に「ダイエットはいつでも簡単にやめられるもの」という誤った印象を与えかねない幕引きだと強く反発しています。あるレビュアーは「ゲームというより原作の日記の切れ端のようだ」と評し、物語としてのカタルシスが放棄されていると批判しています。
また、終盤の難易度設計についても賛否が分かれています。章が進むにつれて厳しくなるスケジュール管理を「完璧主義の罠を体感させる見事なデザイン」と絶賛する声がある一方、コツさえ掴めばペナルティなしで攻略できてしまい、主人公が感じているはずのプレッシャーが十分に伝わらないという指摘もあります。
メディアレビュー紹介
高評価メディア
Guardian — 100
テトリスブロック状の食材を胃に詰め込む秀逸なパズルや、カロリーを「Bites(一口)」と数える皮肉なシステムが素晴らしい。母親の厳しい洗面台チェックや遠距離恋愛を「毒ダメージ」と表現する妄想など、10代の重圧をブラックユーモアたっぷりに描き出す。笑いと涙で私の夜を文字通り「消費」させた傑作だ!
→ レビューを読むGamingTrend — 90
ティーンエイジャーの日常を、躍動感あふれるコミック風のアニメーションで見事に表現したインタラクティブ・ストーリーテリングの最高峰だ!Guts、Energy、Moodのゲージ管理や、日々のタスクと厳しい食事制限との狂気的なバランス調整に、思わず何度もリセットボタンを押すほど熱中させられた!
→ レビューを読むEndless Mode — 84
可愛らしいビジュアルの裏に潜む摂食障害の恐ろしさを、過酷なステータス管理を通じて容赦なく叩き込んでくる。限られた自由時間を削ってエアロビクスに励むうち、自分自身が破壊的な行動に依存していく過程を疑似体験させられる感覚は圧倒的だ。日記を覗き見ているかのような、生々しく傑出したプレゼンテーションである。
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低評価メディア
Siliconera — 70
本作のメッセージは重要だが、ゲームプレイがプレイヤーを罰しすぎている。『メイドインワリオ』風のミニゲームは当初こそ楽しいものの、後半は理不尽な乱数に左右され、失敗すれば過酷なチャプターの最初からやり直しを強いられる。現実の苦痛を再現した結果とはいえ、その徒労感とフラストレーションは許容範囲を超えている。
→ レビューを読むInverse — 70
主人公の強迫観念をゲームシステムで体感させる手法は見事だが、結末がすべてを台無しにしている。最も深く掘り下げるべきうつ病の時期を足早なモンタージュで済ませてしまう構成は致命的だ。深刻な摂食障害の葛藤を、単なる「一過性のフェーズ」としてあっさり片付けてしまう結末には、強い不快感を覚えざるを得ない。
→ レビューを読むEurogamer — 80
ティーンの重圧を奇妙なミニゲームで描く手法は魅力的だが、ゲームのペース配分には明確な問題がある。意図的とはいえ、終わりの見えない疲労感を伴うスケジュールのループは、短いプレイ時間の中でさえ間延びして感じられる。テーマを伝え終えた後も延々と続く苦痛の行軍は、余韻よりもただ退屈さを生み出してしまっている。
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まとめると
- テトリス風の食事パズルやメイド イン ワリオ風のミニゲームで、摂食障害の苦しみを「体験」として伝える独創的なシステムが最大の魅力
- パステル調のポップなビジュアルとコミカルなアニメーションが、重いテーマを絶妙に中和している
- エナジードリンクの悪循環や服装のバフ効果など、細かいシステムの作り込みが秀逸
- 十代特有の恋愛や人間関係のストレスが、ゲームシステムに見事に落とし込まれている
- 終盤の物語が駆け足で、摂食障害の回復プロセスがほとんど描かれないのが最大の不満点
- ミニゲームの反復が後半は作業的になり、カットシーンのスキップ機能がないのもストレス
- 終盤に導入される「祈り」によるノーリスク回復がゲームのテーマと矛盾している
- コントローラー操作への対応が弱く、PC(マウス操作)でのプレイが強く推奨される
- 物語の結末を「リアルで誠実」と取るか「カタルシスの放棄」と取るかで評価が大きく分かれる
製品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | Consume Me ~私のバカ痩せ青春日記~ |
| ジャンル | ライフシミュレーションRPG |
| 発売日 | 2025年9月25日 |
| 対応機種 | PC(Steam) |
| エンディング | 13種類以上(多くはバッドエンド) |
| 受賞 | IGF(インディペンデント・ゲーム・フェスティバル)大賞 |








