2025年10月30日に発売の『ARC Raiders』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『ARC Raiders』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
80代半ばという高スコアが示すとおり、脱出シューターとしては異例の完成度を誇ります。ただし手放しで絶賛というわけでもなく、気になるポイントもいくつかあります。購入の参考になれば幸いです。
ゴミを拾って死ぬゲームが、ここまで気持ちいい




『ARC Raiders』は脱出シューターの中で最もとっつきやすく、かつ最も雰囲気がいいタイトルかもしれません。
舞台は2180年の地球。宇宙から飛来した機械生命体「アーク」に追いやられた人類が、地下の仮設都市「スペランザ」に籠もって暮らしている世界です。プレイヤーは「レイダー」と呼ばれる命知らずの回収屋として地上に出て、物資を漁り、生きて帰ってくる。やることはシンプルですね。
ただ、このシンプルな構造に乗っかるグラフィック、音響、AIの質が尋常じゃない。UE5を使ったゲームの中でも最適化が飛び抜けていて、DLSSに頼らなくても安定して動くと複数のレビュアーが驚いています。レトロフューチャーなアートスタイル——錆びた機械にブラウン管モニター、粗削りな溶接痕——が70〜80年代SF映画のジャンクヤードみたいな独特の空気を作っていて、見ているだけで世界に引き込まれるタイプの作品です。
音が聞こえたら、もう手遅れかもしれない
このゲームで最も評価されているのがサウンドデザインです。ただのBGMや効果音の話ではなく、音そのものがゲームプレイで重要な要素になっています。
遠くで銃声が聞こえたとき、そのリズムで「あれはプレイヤー同士の撃ち合いだ」「いや、アークに撃ってる」と判断できる。接近するドローンの駆動音で種類がわかる。自爆してくるポップなのか、マシンガンを撃ちまくるワスプなのか。「鳥の群れが飛び立つ音や金属探知機のビープ音だけで心拍数が上がる…」あるレビュアーはそう表現しています。
簡単に言えば、耳で索敵するゲームです。ヘッドホン推奨どころか、ヘッドホン必須と言っていいかもしれません。環境音が作り出す緊張感はホラーゲームに近いものがあって、「ストレンジャー・シングス」的な不穏さがずっと漂っています。ただし良い音ゆえに位置がわかりにくいという厄介な特徴もあります。
撃ち落としたドローンが墜落する快感
敵の「アーク」が本当によくできています。ただHPを削って倒すだけの的じゃない。
飛行型ドローンのワスプやホーネットは、プロペラを撃ち落とすとバランスを崩して制御不能になり、墜落して爆発する。この部位破壊がとにかく気持ちいい。巨大なクモ型ロボットのリーパーは建物を飛び越えてプレイヤーを押しつぶしに来るし、超大型のロケッティアに至ってはエリアごと爆撃してくるので、その場にいる全員が一時休戦して協力せざるを得なくなる。
あるレビュアーはソロで巨大アークと対峙する感覚を「ワンダと巨像」に例えていましたが、体格差のある敵を知恵と道具で攻略する手触りは確かに近いものがあります。
死んでも「ゼロ」にならない親切設計
脱出シューターというジャンルの最大のハードルは「死んだら全部失う」ことですが、『ARC Raiders』はここにかなり配慮しています。
まず無料ロードアウトという装備を失うリスクなしで支給品だけ持って出撃できる装備セットが始めから準備されています。高級な装備は持っていけないけど、マップを覚えたり素材を拾ったりする分には十分です。初心者がいきなり全財産を溶かすような悲劇が起きにくい設計になっています。
さらにユニークなのが拠点にいるニワトリのスクラッピー。このマスコットにフルーツや雑貨を与えて育てると、プレイヤーがいない間に自動でスクラップを集めてくれる。つまり全滅して手ぶらで帰ってきても、スクラッピーが最低限の素材を確保してくれているわけです。完全な「ゼロ」にならない。これだけで心理的なハードルがかなり下がります。
「撃たないで」が通じる世界
ソロプレイで最も印象的なのが、見知らぬプレイヤーとの即興的な関係性です。
このゲームにはキルログがありません。誰が誰を倒したかも表示されない。その代わり、レイダーがダウンすると信号弾が上がって位置が全員にバレる仕組みになっている。だから無闇に撃つとかえって危険なんです。
結果として生まれたのが「撃たないで」エモートによる交渉文化。言葉の通じない相手が首を縦に振ってジャンプし、一緒にアークの群れを撃退して、終わったら手を振って別れる。あるレビュアーはこれを「近年で最も心温まるマルチプレイ体験」と呼んでいます。
もちろん、協力した直後に背中を撃たれるリスクは常にある。「遊星からの物体X」の血液検査シーンみたいな疑心暗鬼がずっと続くわけです。でもそれがスパイスになっている。
じゃあ何がマイナスなのかというと
ゴミの分別が面倒すぎる
ここからはマイナス面です。最も多く指摘されているのが拠点でのインベントリ管理のストレス。
地上で拾ってきた大量のアイテムを整理し、何を残して何をリサイクルするか選別する作業がとにかく面倒。ソート機能や検索機能が不十分で、何百ものアイテムをいちいち確認しなければならない。ある比喩を借りれば「ダイナマイトの導火線に火がついている横で、ポケモンのカードパックを開封するようなもの」。あの緊張感と高揚感の後に待っているのが、延々とメニュー画面と格闘する時間というのはちょっとキツい。
特にコンソール版(コントローラー操作)では、カーソル移動やタブ切り替えが直感的じゃなくて、ボタン配置も最適化されていません。「メニュー画面と戦っている時間のほうが長い」という声が出るレベルです。
AI音声の違和感が惜しい
NPCのボイスに生成AIが使われているんですが、これがかなり微妙です。
あれだけ作り込まれた世界観と圧倒的なグラフィックに対して、AI音声特有の平坦で感情のない演技が釣り合っていない。緊迫したシーンでも淡々としていて、雰囲気をぶち壊すとまでは言わないにしても、かなり惜しいポイントです。
あるレビュアーの指摘が痛烈で、「人類が機械に追いやられた世界を描くゲームで、人間の声優を機械に置き換えるのは皮肉が過ぎる」と。これは正直、返す言葉がないですね。
2人組だと割を食う
マッチメイキングにも課題があります。ソロはソロ同士で比較的穏やかにマッチングされるんですが、デュオ(2人組)だとトリオ(3人組)の分隊と同じサーバーに放り込まれることが多い。
2対3は単純にキツいです。特に室内戦では数の暴力で押し切られがちで、戦術やスキルでカバーしきれない場面が出てくる。デュオ専用のプレイリストが欲しいという声は、かなり根強くあります。
クエストがお使い
世界観の設定は魅力的なのに、実際にプレイヤーが受けるクエストは典型的なお使いです。特定の敵を倒す、特定のアイテムを納品する、の繰り返し。物語的な演出がほとんどなく、中盤以降はどうしても作業感が出てきます。
背景にある「アークはなぜ来たのか」「スペランザの真実は何なのか」といった謎は気になるのに、それがゲームプレイを通じて語られることはあまりない。設定は深いのにストーリー体験が薄い、というもどかしさがあります。
評価が真っ二つに割れるところ
「全ロスト」は快感か苦痛か
脱出シューターの核心である「死んだら全部失う」ルールについては、評価が真っ二つです。
肯定派は明快で、「失う恐怖があるからこそ脱出時の達成感が桁違いになる」と。20分かけて慎重に物資を集め、アークの群れを避け、他のプレイヤーの気配に怯えながら脱出ポイントにたどり着いた瞬間の快感は、このルールなしでは成立しないと言います。
一方で否定派も同じくらい明快です。「20分かけて集めた成果が、脱出口の出待ちスナイパーの一撃で無になるのは時間の無駄」。特にまとまったプレイ時間が取れないカジュアル層にとっては、この仕様自体がストレスの根源になっています。
※しかし、率先してプレイヤーキルする人は同じグループにマッチングさせる仕様があるため、長期的に見れば出待ちの機会は減っていきます。
PvPモードか、PvEモードか
もうひとつ割れているのが、PvP要素そのものの是非です。
「他のプレイヤーという予測不可能な存在がいるからこそ、アークとの戦いにも張りが出る」という支持派がいる一方で、「世界観もアートも戦闘も最高なのに、理不尽に撃ち殺されるせいで全部台無し」と感じている層もいます。後者からは「友人とロボット退治だけを楽しめるPvEモードが欲しい」という声が根強く上がっています。
無料ロードアウトの存在やソロマッチングの配慮で敷居は確かに下がっているんですが、それでもPvPの洗礼を完全に避けることはできません。ここが許容できるかどうかで、このゲームの評価はかなり変わってくるかもしれません。
まとめると
- UE5を使ったゲームの中でもトップクラスの最適化とグラフィック
- レトロフューチャーなアートスタイルが唯一無二の世界観を構築
- サウンドデザインがゲームプレイの核。音で索敵し、音で生き延びる設計
- 敵アークのAIと部位破壊が秀逸で、倒す手触りが気持ちいい
- 無料ロードアウトとスクラッピーの存在で脱出シューターの敷居を大幅に下げている
- 「撃たないで」エモートによる即興的な協力と裏切りのドラマが面白い
- 拠点でのインベントリ管理がかなり面倒。特にコンソール版はUIの最適化不足
- AI音声の違和感が、作り込まれた世界観に対して釣り合っていない
- デュオのマッチメイキングが不利で、専用プレイリストが欲しい
- クエスト内容がお使いの繰り返しで、ストーリー体験が薄い
製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ARC Raiders(アーク・レイダーズ) |
| ジャンル | サードパーソン脱出シューター(PvPvE) |
| 発売日 | 2025年10月30日 |
| 対応機種 | PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S |
| プレイ人数 | 1〜3人(オンライン専用) |










