株式会社スクウェア・エニックスより2025年9月30日に発売された、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X/S、Switch、Switch2、PCに対応のシミュレーションRPG『ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズ』のメディアレビュー総まとめページです。
総合評価
SCORE
88
Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。
90 | 80 | 70 | 60 |
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神ゲー | 良ゲー | 凡ゲー | 問題あり |
本作は、1997年に発売されたシミュレーションRPGの金字塔を、現代のゲーム環境に合わせて再構築したリマスター版です。オリジナルの持つ奥深い戦略性とキャラクター育成の面白さをそのままに、フルボイス対応や多数の遊びやすさを向上させる機能を追加したことで、シリーズの未経験者と往年のファンの両方から高く評価されています。
その評価の理由は、物語への没入感を飛躍的に高める演出の強化にあります。本作の最も大きな変更点として、全ての主要な会話シーンが日本語と英語の音声付きになりました。声優陣の演技はキャラクターに新たな生命を吹き込み、階級社会や権力闘争をテーマにした重厚な物語をより分かりやすく、感情的に伝えています。また、登場人物や作中の出来事をいつでも確認できる「クロニクルメニュー」が追加されたことで、複雑な人間関係やストーリーの理解が容易になりました。
ゲームプレイの面では、オリジナル版で手間がかかった部分に多くの改善が加えられています。戦闘や移動のアニメーションを高速化する機能、常に行動順が表示されるUI、戦場全体を把握しやすくする「タクティカルビュー」などが追加されました。特に、レベル上げのためにマップ上を移動して戦闘の発生を待つ必要がなくなり、任意のタイミングで戦闘を起こせるようになった点は、育成の効率を大きく改善しています。
一方で、いくつかの点も指摘されています。リマスターに伴い更新されたグラフィックは、一部で質感の不均一さが見られますが、音声や便利な機能が追加されたモードでは、オリジナル版のドット絵グラフィックを選択することはできません。また、過去に発売されたPSP版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』で追加されたジョブやゲストキャラクターといったコンテンツは、本作には含まれていません。カメラの操作もオリジナル版に準拠しており、建物などの障害物でユニットが見えにくくなる場面が残っています。
結論として、『ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズ』は、不朽の名作の核となる魅力を損なうことなく、現代的な改善を施すことに成功した一作です。一部コンテンツの未収録といった点はありますが、物語の表現力とプレイの快適性を大幅に向上させたことで、この複雑でやりごたえのあるシミュレーションRPGを、これまで以上に多くのプレイヤーが楽しめる作品に仕上げています。
評価ポイント
リマスター版の大きな追加要素であるフルボイスの台詞は、日本語と英語の両方で声優陣の優れた演技が収録されています。キャラクターに新たな個性を与え、物語への没入感を高めています。政治的な陰謀が渦巻く複雑なストーリーも、声の演技によって、より深く、感動的に伝わるようになりました。
- 物語のテーマがより分かりやすくなった
- 階級制度や権力の腐敗といったテーマが、練られた会話と改訂された脚本によって明確に描かれ、物語を理解しやすくなっている。
- 英語音声の質が高い
- 英語音声はセリフの抑揚に合わせて再翻訳されており、声優の演技がキャラクターを生き生きとさせている。特に主人公ラムザの演技は評価が高い。
- 戦略性の高いバトルシステム
- シンプルながら奥深く、地形や行動順を考えた事前の計画と位置取りが勝利に繋がる、やりごたえのある戦闘が楽しめる。
- キャラクターのカスタマイズ性が高い
- 20種類以上のジョブと300種類以上のアビリティを自由に組み合わせ、自分だけの戦略で部隊を編成できる。
- プレイを快適にする機能が多数追加
- オートセーブ、戦闘の高速化、行動順や命中率の表示、ダンジョンからの途中離脱が可能になるなど、遊びやすさが大きく向上した。
- グラフィックとUIの改善
- キャラクターや背景が高解像度でより綺麗になった。新しい視点「タクティカルビュー」で戦場の状況が分かりやすくなり、UIも現代向けに新しくなった。
- 物語の理解を助ける要素の追加
- キャラクターや出来事をまとめた「クロニクルメニュー」が追加された。また、新しい会話によって仲間キャラクターや物語の背景がより深く描かれている。
- キャラクターの育成がしやすくなった
- 好きなタイミングで戦闘を発生させられるようになり、レベル上げの効率が良くなった。
- 難易度が選べるようになった
- 初心者から上級者まで楽しめるように、複数の難易度設定が用意されている。
- オリジナルの名曲はそのまま収録
- 評価の高いオリジナル版の楽曲が、変更なくそのまま収録されている。
不評ポイント
新しいグラフィックは、一部の背景がぼやけて見えたり、キャラクターを拡大すると粗さが目立ったりと、品質にばらつきがある。また、音声や改善された機能が使える「Enhanced」モードでは、この新しいグラフィックが強制される。オリジナル版のドット絵を好むプレイヤーでも、便利な機能を使うためには新しいグラフィックを受け入れるしかなく、遊び方と見た目の選択が制限されている。
- PSP版の追加要素が収録されていない
- PSP版『獅子戦争』で追加されたキャラクター、ジョブ、マルチプレイモード、カットシーンなどが含まれていないため、完全版とは言えない。
- 戦闘中のカメラ操作が不便
- カメラは90度ずつしか回転できず、地形や敵が物陰に隠れて見えなくなることが多い。状況を確認するために視点を切り替える手間がかかる。
- 初心者には不親切な部分がある
- ステータスの意味や特殊なシステムの説明が少なく、育成方針を間違えると、その後の戦闘で詰む可能性がある。
- ゲームバランスが悪く、テンポが遅い
- 序盤は難しくレベル上げが必要だが、後半に強力な仲間が加わると簡単になりすぎる。また、戦闘とキャラクター管理に時間がかかり、物語がなかなか進まない。
- クラシックモードには便利な機能が少ない
- オリジナル版を再現したクラシックモードでは、オートセーブ以外の便利な機能が使えない。特に戦闘の早送り機能がない点が不便。
- 対応言語が少ない
- ポルトガル語の字幕に対応していないため、一部の地域のプレイヤーは複雑な物語を理解するのが難しい。
- 早送り機能の操作が面倒
- 戦闘の早送りはボタンを押し続けないと機能しない。オンとオフを切り替える方式ではないため、操作が煩わしい。
- 追加された読み物コンテンツの質が低い
- 追加された物語は本編と関係がなく、構成も分かりにくい。ゲームの世界観とも合っておらず、物語への没入を妨げる。
メディアレビュー
- Gematsu[92]
- Game Informer[90]
- GameSpot[90]
- Destructoid[90]
- Everyeye.it[90]
- VideoChums[90]
- TheSixthAxis[90]
- GameReactor[90]
- GameSurf[90]
- PlayStation Universe[90]
- Eurogamer[100]
- CGMagazine[100]
- Hardcore Gamer[100]
- Saudi Gamer[100]
- Eurogamer Germany[100]
- Impulsegamer[100]
- RPG Fan[99]
- Critical Hits[95]
- PSX Brasil[95]
- DualShockers[95]
製品情報
項目 | 概要 |
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タイトル (日本語) | ファイナルファンタジータクティクス – イヴァリース クロニクルズ |
タイトル (英語) | FINAL FANTASY TACTICS – The Ivalice Chronicles |
ジャンル | シミュレーション,RPG |
開発元 (Developer) | Square Enix |
販売元 (Publisher) | Square Enix |
発売日 | 2025年9月30日 |
プラットフォーム | PlayStation 5,PlayStation 4,Xbox Series X/S,Switch,Switch2,PC |
プレイ人数 | 1人 (シングルプレイ) |
対応言語 (テキスト) | 英語,フランス語,ドイツ語,日本語 |
対応言語 (音声) | 英語,日本語 |