『Silver Pines』はサバイバルホラーの緊張感を2.5Dメトロイドヴァニアに凝縮
『Silver Pines』は、限られた持ち物の管理や、あえて扱いづらくした戦闘といったサバイバルホラーの仕組みを、2.5Dメトロイドヴァニアの探索に巧みに組み込んだ作品です。IGNの筆者トリスタン・オギルヴィ氏は、全編で約12時間とされる物語のうち約5時間をプレイした段階ですが、謎に満ちた冒険に強く引き込まれています。最終的な評価にはまだ早いものの、序盤の手応えは非常に良好です。
横から眺めても薄れない恐怖と緊張感
近年は、容赦のない処刑表現が特徴のBlasphemousシリーズや、姿を変える怪物を操作するCarrionなど、ホラーを題材にしたメトロイドヴァニアが登場しています。その中でも本作は、本格的なサバイバルホラーの仕組みを、このジャンルに取り込む巧みさが際立っています。
Silent Hillやバイオハザードを思わせる恐怖と不穏さを、2.5Dの舞台で味わえるのが本作の魅力です。最初は小さく見える町も、新たな道具を手に入れて道を開くにつれ、探索できる範囲が広がっていきます。
オギルヴィ氏は、もともとサバイバルホラーとメトロイドヴァニアの両方を好んでいます。それでも、持ち物の制限や不自由な戦闘を横視点の探索と組み合わせれば、必ずうまくいくわけではありません。開発元のWych Elm Gamesは、その難しい組み合わせを、バイオハザードでグリーンハーブとレッドハーブを調合したときのように、力を与えてくれるものへと仕上げています。
視点が2.5Dになっても、サバイバルホラーとしての奥行きは失われていません。ボス戦では手持ちの弾薬を使い切り、敵を倒すまであとどれだけ攻撃が必要なのかも分からないまま、焦りが募ります。建物の別の階へ進むにも、壊れた機械を修理したり、番号錠を正しく合わせたりと、いくつもの謎を解く必要があります。
敵の種類も豊富です。四つんばいで不気味に追いかけてくる怪物や、ヒッチコック作品を思わせる、木々から襲いかかるカラスの群れが探索を脅かします。対抗する武器も、ショットガンやライフルなどが少しずつそろっていきます。
身近な道具が町の新たな道を開く
探索範囲を広げる手段には、定番の2段ジャンプやグラップリングフックを使っていません。代わりに、アメリカのどこにでもありそうな町にふさわしい、身近な道具が役立ちます。
オフィスで拾ったカッターナイフは近接武器になるだけでなく、工事区域を覆うビニールシートを切り裂くこともできます。その先の部屋では、捜索中の行方不明の歌手、Eddie Velvetにつながる手がかりを探せます。
大ハンマーは傷んだコンクリートの壁を壊し、下水道の鍵はマンホールを開けて、意外なほど広い地下トンネルへの道を作ります。拳銃も戦闘専用ではなく、門の南京錠や通気口のカバーを撃ち壊し、新たな通路を確保するために使えます。道具の用途と舞台設定が自然につながっている点が、探索の説得力を高めています。
セーブ用の硬貨にも悩まされる
細かな操作にも、よく考えられた仕組みが見られます。マップ各所にある公衆電話では、金属製のテンキーで番号を実際に入力し、電話をかけてセーブします。
Silent Hill: Townfallにも似た仕組みがありますが、本作はさらに、数少ない手持ちの硬貨を投入する必要があります。そのお金は、自動販売機で重要な救急キットや弾薬を買うためにも使えるため、セーブにも資源のやりくりが伴います。硬貨が尽きたときには、返却口に取り忘れの小銭がないか探すこともできます。
ゆっくりした動作が恐怖と休息を深める
オギルヴィ氏が特に気に入っているのは、ほぼすべての行動に、じっくり取り組む感覚があることです。暗がりから敵がよろめきながら近づく中、焦りを抑えてリボルバーに1発ずつ弾を込める時間は、恐怖を引き延ばします。
一方、警察署の休憩室では、コーヒーが抽出されるのを待ち、熱い1杯を飲んでスタミナゲージを増やせます。こちらの待ち時間は、まれに訪れる安らぎを十分に味わうためのものです。本作は、緊迫した場面でも静かな場面でも、必要な時間を惜しみません。
足を止めて眺めたくなる不気味な町
町の雰囲気も強烈です。オギルヴィ氏は、移動をゆっくりにするだけでなく、主人公をその場に立たせたまま、画面に満ちる空気を味わうこともあったといいます。
肩越しの視点や一人称視点ではなく、離れた位置から眺める画面でありながら、薄暗いゴーストタウンの不穏な雰囲気には、大規模な予算で作られた優れたサバイバルホラーに引けを取らない没入感があります。モーテルの部屋や廃アパートのテレビでは、Alan Wakeのように、ゲーム内の連続番組も流れています。
これがWych Elm Gamesのデビュー作で、中心となる開発チームもわずか5人とされていることを踏まえると、その作り込みは驚くべきものです。
2026年のお気に入り候補となる序盤
調査はまだ途中であり、作品全体への判断は保留です。それでも、序盤の素晴らしさをこの先も積み重ねられるなら、『Silver Pines』はオギルヴィ氏にとって、2026年で特に気に入ったゲームの1本になる可能性があります。現行のゲーム機世代でも、とりわけ遊ぶべき傑作が多いと感じている年だけに、これは大きな期待です。
こうした作品が増え、新たなメトロイドヴァニアの一分野として定着することにも期待が寄せられています。筆者がひとまず提案する呼び名は「サバイバルヴァニア」。本人も出来のいい名前とは思っていないようですが、今のところはこれで十分でしょう。
『Silver Pines』はPS5、Xbox Series X|S、PC、Switch、Switch 2で発売中です。