Mick Gordonが『Warhammer 40,000: Boltgun 2』のラスボス戦を大げさで派手な音楽に仕上げる
Mick Gordonが『Warhammer 40,000: Boltgun 2』のラスボス戦のために作曲したのは、ゲームの規模に合わせた大迫力の楽曲です。制作ではプレイ映像を見ながらゲームのテンポに合う速さを探ったといいます。Gordonが楽曲の制作過程や、プレイヤーの行動に応じて変化するゲーム音楽への考えを語りました。
1作目を気に入り、続編のラスボス曲を担当
ゲーム音楽を約20年手がけてきたGordonは、2016年のDoomや2020年のDoom Eternalで知られる作曲家です。1作目のWarhammer 40,000: Boltgunを遊んだ後、自ら開発チームに連絡し、ドット絵の一人称視点シューティングとWarhammer 40Kの世界を組み合わせた点や、遊びの楽しさを称賛しました。
その後、続編の開発チームから、1作目にはなかった規模の巨大なラスボス戦に合わせた音楽を作らないかと声がかかりました。大げさで派手、少しばかばかしいくらいの曲を求められたGordonは、以前からWarhammerの世界に関わりたいと思っていたこともあり、喜んで引き受けたそうです。
作品ごとに音楽の個性を探る
Gordonは、過去の曲からリフを持ち込むのではなく、作品ごとに固有の音楽を作ることを大切にしています。自分の好みや作風が完全に消えるわけではないと認めつつ、開発チームと協力し、その作品ならではの特徴を音楽で際立たせるのが仕事だと説明しました。
映像を見てゲームのテンポを探る
開発中のゲームは頻繁に更新され、安定したビルドを用意するのが難しいため、Gordonは実際にプレイする代わりに、QAチームが撮影したゲーム映像やスクリーンショット、コンセプトアートを受け取ります。特に映像を重視しており、スタジオでテレビに映し、手には接続していないコントローラーを持って、初めて遊ぶプレイヤーのつもりで眺めるそうです。
その映像に合うテンポを見つけるため、スマートフォンのメトロノームを使い、たとえば「このステージは1分間に99拍、こちらは138拍、次は216拍」といった具合に試した数値をノートに書き留めます。音楽が速すぎるとプレイヤーを疲れさせ、設定で音量を下げたり、曲をオフにされたりする恐れがあります。遅すぎれば、ゲームの動きまで鈍く感じられることがあります。まず適切なテンポを決め、それを基準に曲を組み立てていくといいます。
開発チームと試しながら形にする
制作の開始時点では何も決まっておらず、Gordonはさまざまな案を試します。失敗を恐れずに提案できるチームと働くことを重視しており、極端な案や突飛な案も出しながら、どれを採用するかを一緒に探っていきます。
選択肢が無数にあるため、A案、B案、C案のどれにするか、作品を長く知る開発者に意見を尋ねることもあります。チームの人たちが音楽に関わることで、彼らの意見が曲全体を形作っていく過程も好きだと話しました。
ラスボス戦の曲では、普段の自分の中にある「部屋でいちばん傲慢で、うるさい人間になりたい」という一面を発揮できるとGordonは語ります。プレイヤーの体験を最大限に盛り上げる場面だからこそ、音楽も思い切り大きくできるそうです。
一部のプレイヤーだけが聴く曲にも意味がある
ラスボスまでたどり着く人は限られます。Gordonは、Steamの実績などを見ると、ボス戦に到達するのはプレイヤーの約6%という場合もあると話しました。それでも、少数の人だけが聴く曲を作ることを気にしていません。ゲームで隠しエリアや秘密を見つけたときのように、作品と自分だけの特別なつながりが生まれると考えているからです。
たとえばDoomの「Rip & Tear」は全体で約28分ありますが、アルバムに収録された版は3分ほどです。ゲーム内には、特定の条件でしか聴けない音楽もあります。Gordonは、そうした曲を見つけたプレイヤーと、ほかの人にはない関係を築けることを特別に感じています。
プレイヤーの動きと音楽が生む勢い
Gordonが理想としているのは、音楽がプレイヤーの行動に寄り添い、ゲームを前へ進める「勢い」を生むことです。ゲームでは、プレイヤーが操作して初めて作品が成り立ちます。そのため、プレイヤーとゲームの間には絶えず影響し合う関係があると考えています。
ゲーム音楽は、3時間、4時間、あるいは5時間に及ぶ1つの曲のようなもので、複数の短いパートに分けられています。プレイヤーの体力や進行状況、ボスとの戦闘、プレイの調子、チュートリアル中かどうか、友人と遊んでいるかなどに応じて、それらのパートが組み替わります。プレイヤー自身が音楽を導く指揮者のような存在になることを、Gordonは常に意識しているといいます。