Polygon筆者が語る、『American Truck Simulator』のDLC「Road Trip」がForza Horizonを超えるドライブ体験になった理由
Polygonの筆者は、トラック運転シミュレーター『American Truck Simulator』に追加されたDLC「Road Trip」について、ロードトリップを楽しむゲームとして理想に近いと評価しています。同作は車と観光要素を加えたもので、筆者はForza Horizonシリーズが長年担ってきた「ゲーム内の観光ドライブ」の座を譲る存在になったと見ています。
「Road Trip」で加わった車と観光要素
「Road Trip」は、『American Truck Simulator』に車と観光の2つの要素を追加するDLCです。現時点で使える車はフォード製のみで、現行のF-150とBronco、クラシックな1967年型Mustang Fastback、1998年型Crown Victoriaが用意されています。Crown Victoriaは、映画に登場するタクシーやパトカーの定番として紹介されています。DodgeとRamのパックも近日中に登場する予定です。
観光面では、現在ある21州のうち7州にTourist Board(観光案内所)が設けられました。ここへ車で向かうと、地元の名所を巡る行程表が解放され、訪れた場所を消していけます。たとえば北カリフォルニアでは、Sierra Crossingのボードがレイク・タホ、エルドラド国有林、ヨセミテ国立公園などへ案内します。Golden HorizonのボードにはAlcatraz、ゴールデン・ゲート・ブリッジ、サンタクルーズの海岸などが含まれます。名所同士はかなり離れており、1つのボードの見どころを回るだけで、1時間以上、ゲーム内では数日かかることもあります。
Forza Horizonに感じていた物足りなさ
筆者はForza Horizonシリーズを優れたレースゲームと認めています。地中海沿岸、スコットランド高地、アウトバック、東京など、実在の地域をモデルにした舞台を巡る観光ドライブも楽しんでおり、全作品の景色の良いドライブコースを地図にまとめたガイドを作ったほどです。
ただ、マップがテーマパークのように凝縮されている点には違和感があったといいます。コッツウォルズの村からスコットランド高地まで5分で行けてしまい、場所から場所へ旅をしている感覚が得られないという指摘です。Xbox 360の『Test Drive Unlimited』は、オアフ島とイビサ島を1対1のスケールで再現しており、この点では優れていたものの、島という条件上、地形の変化や長距離の冒険感には限界があったとしています。
トラックシムのスケールが旅の実感を生む
筆者は、この課題の答えをSCS Softwareの『Euro Truck Simulator 2』と『American Truck Simulator』に見ています。両作は約1対20のスケールで大陸規模のマップを再現しており、DLCとして地域を追加しながら拡大を続けています。フィンランドのウプサラからスペインのマラガ、テキサス州ガルベストンからワシントン州シアトルといった長距離も走れます。数日かかる行程が数時間に縮まるものの、ゲーム内の時計も同じ比率で進むため、日が暮れて星が出る様子を眺められます。休憩や給油の計画も必要です。
一方で、トラックで向かう先は景勝地ではなく工業団地の物流施設が中心でした。筆者はこれに日常的な味わいがあるとしつつ、感動には欠けると述べ、これがSCSのトラックシムを究極のロードトリップゲームにできなかった唯一の要因だったとしています。「Road Trip」は、そこを埋める内容だという位置づけです。
現実さながらの再現度と、ゲームならではの段取り
名所の描写はForza Horizonのような劇的な演出ではなく、写実的です。それでも、ルートや立ち寄り先を考え、風景の変化を見ながら進むため、到着したときの感動は大きいと筆者は述べています。レースのように走ることもできますが、法規違反や破損による罰金は少額にとどまります。トラックシム流の楽しみ方は、制限速度でクルーズコントロールを入れ、流れる景色を眺めることだそうです。筆者は、究極のポッドキャストゲームかもしれないとも付け加えています。
再現度についても筆者は高く評価しています。実際にラスベガスからアリゾナ州フラッグスタッフまで、フーバーダムに寄りながら運転した経験があり、ゲーム内では所要時間が約20分の1になるものの、一目で分かる風景だといいます。空の表現、昼夜の移り変わり、天候の演出も、その場にいる感覚を高めています。
トラックシムらしい現実感は、旅の始め方にも表れています。筆者は新規セーブでアリゾナ、ネバダ、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州が使える状態から始め、訪れたことのあるフラッグスタッフを拠点にしました。ただし、すぐには観光できず、車を買う資金が必要でした。そこで運送の仕事をこなし、Crown Victoriaを買えるだけの資金とガソリン代を貯めています。
その後、最寄りのTourist Boardがあるデスバレーへ出発しました。到着までに一晩かかり、モーテルで休憩しています。さらに丸1日以上かけて荒涼とした景色を巡り、ダッシュボードに飾れるポストカードを獲得しました。資金が尽きたところで休暇は終わり、再びトラックの仕事に戻ったそうです。筆者は次の旅行の前に、Crown Victoriaの内装を張り替える資金を貯めたいと書いています。
『American Truck Simulator』では、ドライバーを雇って自分の運送会社を大きくすることもできます。しかし筆者は、次の休暇を目標に働く流しのトラック運転手という役割を演じており、それで満足していると述べています。
残る課題と今後への期待
筆者は「Road Trip」によって、『American Truck Simulator』は理想のロードトリップゲームにかなり近づいたと評価する一方、2つの欠点を挙げています。1つは、車の出来は十分に説得力があるものの、トラックほど運転が楽しくないことです。もう1つは、道路網がトラック輸送を前提に作られているため、景色の良い曲がりくねった道よりも、主要な州間高速道路が中心になっていることです。
それでも筆者は、こうした懸念はマップの魅力で吹き飛ぶとしています。テーマパークではなく、現実を精密に縮小した模型であり、利用できる範囲のごく一部しか巡れていないそうです。開発チームは10年を経た今も東へ向けて拡張を続けており、現在はイリノイ州とルイジアナ州まで到達しています。筆者は、果てしなく広がる地平線が探索を待っていると述べ、これ以上のものがあるだろうかと締めくくっています。