2025年6月5日に任天堂から発売された人気レースゲームの最新作『マリオカート ワールド』。本作に登場する新キャラクター「ウシ」のデザインを巡り、動物愛護団体「PETA」が任天堂に対して懸念を表明し、キャラクターの鼻に付けられた「鼻輪」の削除を求める事態となっています。
PETAは、この鼻輪が現実の畜産業において動物を管理するために使われる道具であり、動物虐待を想起させると主張。任天堂の古川俊太郎社長宛に公開書簡を送付し、ゲーム内でのデザイン変更を要請しました。
これに対し、2025年8月18日現在、任天堂からの公式なコメントは発表されていません。
論争の背景と各社の立場
問題となった「ウシ」の鼻輪
今回、PETAが問題視しているのは、『マリオカート ワールド』に新たにレーサーとして登場するキャラクター「ウシ」にデザインされている鼻輪です。このキャラクターは発売前から注目を集め、プレイヤーの間で人気を博しています。
PETAの主張:現実世界の動物虐待との関連性
PETAは、ゲーム内に登場する鼻輪が、現実の食肉・酪農産業でウシを制御し、時には屠殺場へ強制的に移動させるために使われる残酷な器具であると指摘しています。
PETAでマーケティングを担当するジョエル・バートレット上級副社長は、任天堂への書簡の中で「鼻輪はウシの敏感な鼻に突き刺され、持続的な痛みを引き起こすものです」と説明。『マリオカート ワールド』のような楽しいゲームの世界で、動物の苦しみを連想させる表現が使われるべきではないと訴えています。その上で、今後のアップデートを通じて、この鼻輪をデザインから削除するよう強く要請しました。
任天堂の対応
PETAからの要請に対し、2025年8月18日時点で任天堂は公式な声明を発表しておらず、静観の構えを見せています。
メディアの視点:真剣な訴えか、注目を集めるための戦略か
このPETAの行動について、メディアの報道には温度差が見られます。一部のメディアは動物福祉の観点から真剣な懸念として報じる一方、他のメディアでは、過去の事例から、これはPETAが動物愛護の理念を広く知らせるために行う、注目を集めるための戦略的な活動の一環ではないかとの見方を示しています。
これまでの経緯
過去のビデオゲームに関するPETAの活動
PETAがビデオゲームの表現に言及するのは今回が初めてではありません。過去にも様々な人気ゲームタイトルに対して、動物の扱いに関する懸念を表明してきました。
- 2007年:『スーパーマリオ』シリーズを題材にしたパロディゲームを公開。
- 2011年:『スーパーマリオ 3Dランド』に登場する「タヌキマリオ」が毛皮の着用を肯定するものだとして批判。
- 2012年:『ポケットモンスター ブラック・ホワイト2』を題材に、動物の戦いを批判するパロディゲームを公開。
これらの活動は、メディアの注目を集め、議論を喚起することを目的としていると見られています。
『マリオカート ワールド』を巡る動き
- 2025年5月21日:任天堂が開発者インタビューを公開。新キャラクター「ウシ」の参戦が、デザイナーのスケッチから決まったことを明かしました。
- 2025年6月5日:『マリオカート ワールド』が発売。
- 2025年8月14日:PETAが任天堂の古川俊太郎社長に対し、ウシの鼻輪に関する公開書簡を発表。SNSなどでも削除を求めるキャンペーンを開始しました。
- 2025年8月16日以降:国内外の複数のメディアがこの論争について報道。SNSや掲示板サイトでも、ユーザーの間で様々な意見が交わされる状況となっています。
- 2025年8月18日:現時点まで、任天堂からの公式な反応はありません。
『マリオカート ワールド』について
- 発売日:2025年6月5日
- 対応プラットフォーム:Nintendo Switch 2
- 開発・販売:任天堂
本件の主な関係者
- PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)動物の権利を擁護する国際的な団体。今回の論争では、任天堂にデザインの変更を要請しています。
- 任天堂株式会社『マリオカート ワールド』の開発・販売元。
- 古川 俊太郎 氏任天堂の代表取締役社長。PETAからの公開書簡の宛先となっています。
- ジョエル・バートレット 氏PETAのマーケティング担当上級副社長。公開書簡の署名者です。
関連用語のご説明
- 鼻輪
現実の畜産業において、ウシを制御するために鼻に取り付けられることがあるリング状の器具。 - タヌキマリオ
『スーパーマリオ』シリーズでマリオが変身する姿の一つ。過去にPETAが毛皮の着用を助長すると批判した事例があります。
今後の焦点
今回のPETAの要請に対し、任天堂が今後どのような対応を取るのかが最大の焦点となります。過去の事例では、任天堂が外部からの指摘に対して直接的なコメントを出すことは稀であったため、今回も静観を続ける可能性が指摘されています。
また、この一件がゲームの表現と社会的メッセージの関係について、プレイヤーや開発者の間で新たな議論を生むきっかけとなるかもしれません。今後の動向が注目されます。
情報源
- AUTOMATON「動物愛護団体PETA、『マリオカートワールド』のウシの鼻輪が「かわいそう」とクレーム。任天堂に削除を求める」
- The Express Tribune「Nintendo’s ‘Mario Kart’ faces PETA criticism over cow character」
- ファミ通.com「『マリオカート ワールド』6週連続でソフトランキング首位を獲得! 『パワプロ2025』も好調なセールスを記録【ソフト&ハード週間販売数】」
- GIGAZINE「動物愛護団体PETAが任天堂に「マリオカート ワールドのウシの鼻輪を削除して」と要請」
- PETA「Inside the PETA ‘Mario Kart World’ Controversy With Nintendo」
- Reddit「動物保護団体PETA「マリオカート ワールドのウシの鼻輪がかわいそう」とクレーム、いつもの団体「ウシ好きゆえに」」
- Togetter「「ウシのケツが汚い」マリオカートワールドで新登場のウシ、畜産経験者から「非常にリアルで牛愛がある」と称賛される」
- Togetter「動物愛護団体PETA、マリオカートワールドの牛の鼻輪に「動物虐待を想起させる」とクレーム」
- Wikipedia「PETA satirical browser games」
ニュースに対するリアクション
否定的 | 中立 | 肯定的 |
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73% | 23% | 4% |
- ゲームの世界に現実の価値観を持ち込むのはやりすぎ。もっと他に目を向けるべきことがあるのでは?
- キャラクター表現は自由であるべきで、ゲームの世界観まで制限されるのはおかしい。
- 牛の鼻輪は昔からのアイコンみたいなもので、キャラクターデザインの一部。虐待と結びつけるのは極端すぎる。
- どうせまた注目を集めたいだけでしょ。毎度の話題作りにしか見えない。
- そもそもレースで危険運転させてることの方が問題じゃないの?
- 今回の件で、現実の牛が鼻輪で痛みを感じていることを初めて知った。啓発としては意味があったかも。
- そんなに問題なら、鼻輪のあり・なしを選択できるようにすれば、誰も文句を言わないのでは?
- こういう過剰な抗議は、かえって活動への反発を招いてイメージを悪くしていると思う。
- 一部のメディアが面白おかしく煽っていて、それが対立を大きくしている気がする。
- 晴れの舞台なんだから、牛だっておしゃれしたいだろうに。
- 個人の鼻ピアスは良くて、牛のキャラクターはダメっていうのもよく分からない。
- 現実とゲームの区別がついていないみたい。威力業務妨害に近いものを感じる。
- 動物愛護は大事なことだけど、これはさすがに度が過ぎている。
- この抗議を認めたら、他の動物キャラクターのデザインにも影響が出てしまう。
リアクションまとめ
今回のニュースへの反応を見てみると、ほとんどの方が「ゲームと現実は別」と考えていて、団体さんの行動を少しやりすぎだと感じているようでした。キャラクターのデザインにまで口を出すのはおかしい、という意見がとても多かったです。
ただ、中には「選択式にすればいいのでは?」といった解決案を出す人や、この件をきっかけに「動物のことを考える機会になった」という人もいて、一概に否定的な意見ばかりではないことも分かりました。全体としては、ゲームは自由に楽しみたいという気持ちが強い印象です。
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