『ダイイングライト:ザ・ビースト』メタスコア評価・メディアレビュー

Techlandより2025年9月18日に発売された、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X/S、PCに対応するオープンワールド・アクションホラー『Dying Light: The Beast (ダイイングライト:ザ・ビースト)』のメディアレビュー総まとめページです。

総合評価

『ダイイングライト:ザ・ビースト』
スコアについて

Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。

90807060
神ゲー良ゲー凡ゲー問題あり

『Dying Light: The Beast』は、シリーズの核となる要素を洗練させ、特に初代作品が持っていたサバイバルホラーの緊張感へ回帰した点が高く評価されています。

この評価の理由は、移動と戦闘システムにあります。パルクールは、滑らかでありながらも一歩間違えれば危険が伴う重みのある操作感に戻り、戦闘は新しいゴア表現によってより残虐で手応えのあるものになりました。また、主人公カイル・クレインが復讐のために使う新能力「ビーストモード」が、戦闘に新たな爽快感を加えています。

具体的には、スイスアルプスに着想を得た広大な世界「カスター・ウッズ」は、探索しがいのある作り込みがされています。特に夜間は、危険なヴォラタイルが積極的に出現し、昼夜の緊張感の差が明確になっています。一方で、ミッションの多くはアイテム回収などの単調な繰り返し作業になりがちです。また、ファストトラベル機能がないため広いマップの移動が負担になる点や、一部のクライミング操作が一貫性を欠く点、同じボスが何度も登場するといった課題も指摘されています。

これらの事実から、本作は革新性に大きく欠けるものの、シリーズの魅力であるパルクールと戦闘を初代の方向性で進化させた作品と言えます。一部のオープンワールドのデザインに単調さはあるものの、その中核となるサバイバル体験の完成度の高さが、ファンにとって満足のいく内容となっています。

評価ポイント

多くのメディアで評価されているポイント

本作のパルクールシステムは、非常に滑らかでスリリングな体験を提供し、シリーズで最も優れていると評価されています。屋根や障害物を飛び越える一連の動きは、単に効率的なだけでなく爽快感があります。特に、移動に重みが加わったことで、一歩間違えれば命取りになるという初代『Dying Light』の持つ緊張感が戻ってきました。このシステムは、プレイヤーが世界を軽快に滑空するのではなく、生き残るために必死に動き回る感覚を思い出させます。

  • 重厚で残虐性が増した近接戦闘
    • 戦闘は素早く、重みがあり、残虐ですが、理不尽ではありません。大きな両手武器は敵をよろめかせ、小さな片手武器は素早い攻撃ができます。新しいゴア表現により、顎を粉砕したり、腹部を切り裂くと内臓がこぼれたりと、暴力表現が危険性を高め、すべての一撃が記憶に残るものになっています。
  • 爽快感と物語性を両立した「ビーストモード」
    • 「ビースト」スキルを使うと、主人公は一時的に止められない力を持つ存在に変わります。敵を粉砕し、重い物を投げ、壁を突き破るなど、純粋な破壊を楽しむ爽快感があります。この能力はプレイヤーに力を与えると同時に、主人公から失われた人間性を感じさせ、物語に深みを与えています。
  • 探索が報われるワールドデザイン
    • 世界は広大で活気があり、細部まで作り込まれています。放棄された小屋や洞窟の隅々に秘密や宝が隠されており、探索するたびに報酬が得られるようにデザインされています。見える場所にはすべて行くことができ、退屈させません。
  • 緊張感を高める昼夜のサイクル
    • シリーズの特徴である昼夜のサイクルが、本作ではさらに効果的に使われています。夜になると感染者はより攻撃的になり、暗闇が息苦しい雰囲気を生み出します。特にヴォラタイルは非常に危険で、戦うよりも逃げることを選択させられますが、その分、夜はより良いアイテムや多くの経験値を得られます。
  • 主人公カイル・クレインの深みのある再登場
    • 主人公カイル・クレインの再登場は、単なるファンサービスではありません。彼は過去作とは異なり、長年の実験を経て怒りに満ち、復讐を求める人物として描かれています。彼の怒りが物語を進める力となり、暗い道を歩みながらも、根底にある思いやりや皮肉を言う一面がキャラクターの魅力になっています。
  • 感情に訴える質の高いサイドクエスト
    • サイドクエストは数が少ないものの、一つ一つの内容が濃く、質の高い脚本で書かれています。生存者たちの悲惨な物語に触れることで、主人公の人間的な側面が引き出され、プレイヤーの感情に訴えかけます。
  • 多様で実用的な武器
    • 戦闘を面白く保つため、大小さまざまな近接武器を状況に応じて使い分けることができます。火炎放射器やソーブレードランチャーといった新しい武器も豊富にあります。これまで弱点とされてきた銃器も、操作性が向上し、実用的な選択肢となりました。
  • 安定したPCでの動作
    • PC版は非常にスムーズに動作し、ゲームが止まったり、バグやクラッシュが発生したりすることはありませんでした。ゾンビが画面に溢れても、安定したパフォーマンスを維持しています。
  • スムーズな協力プレイ
    • 最大4人での協力プレイが可能で、いつでも自由に参加・離脱できます。ホストの進行状況が共有されますが、ゲストプレイヤーが獲得した経験値やアイテム、クエストの進行は個人のデータに保存されるため、全員が協力プレイの恩恵を受けられます。
  • 優れた音響効果とサウンドトラック
    • サウンドデザインは高く評価されており、音楽はアクションシーンと静かな場面の両方に溶け込んでいます。主人公の荒い息遣いや、夜の森に響く感染者のうなり声といった細かい音の演出が、プレイヤーに常に緊張感を与えます。

不評ポイント

多くのメディアで不評なポイント

広大なオープンワールドにもかかわらず、ミッションの種類が少なく、ゲームプレイが単調になりがちです。特にサイドクエストは、アイテムを回収するだけといった繰り返しの作業が多くなっています。さらに、ファストトラベル機能がないため、プレイヤーは広いマップを車で移動したり、長い距離を往復したりする必要があり、移動の手間が作業の単調さをさらに強めています。

  • パルクールやクライミングの操作性が一貫しない
    • パルクールの動きは概ね良好ですが、特に壁などを登るクライミングの操作がスムーズではなく、移動の勢いが失われることが頻繁にあります。登れそうに見える場所が登れなかったり、届くはずの足場を掴み損ねたりと、操作に一貫性がありません。
  • ファストトラベルがなく移動が面倒
    • ファストトラベル機能がないため、移動に大きな負担がかかります。その結果、広いマップを車で移動する時間が長くなりますが、車は遅く、改造もできません。移動があまりに大変なため、わざと倒されて最寄りの安全な場所に戻る方が早いと感じることさえあります。
  • ボスの種類が少なく使い回しが多い
    • ボスとの戦い自体は手応えがありますが、全体的に仕組みが同じように感じられます。ボスは「大きいタイプ」と「速いタイプ」の2種類しかおらず、特に面白味のないボスがゲーム中に何度も登場します。
  • 敵の攻撃が理不尽に感じられる
    • ゾンビは予期せぬタイミングで掴みかかってくるため、反応が間に合わずイライラさせられます。また、攻撃が当たっているはずなのに敵にダメージが入らなかったり、逆に安全な場所にいるのに敵の広い攻撃範囲によってダメージを受けたりすることがあります。
  • 狭い場所での集団戦で何もできずに倒される
    • 狭い場所で大勢の敵と戦う際、敵が一斉に襲いかかってきて何もできずに倒されてしまうことがあり、非常にストレスが溜まります。
  • 前作からの目新しさがなく後退しているように感じる
    • シリーズの基本的な面白さはありますが、新しい要素に乏しく、大きな変化がありません。ゲームプレイの中心は前作とほぼ同じで、「ビーストモード」が唯一の新しい要素です。全体的に無難な作りで、続編というより『Dying Light 1.5』、あるいは後退したようにさえ感じられます。
  • 敵が強くなるためレベルアップしても成長を実感しにくい
    • すべての敵がプレイヤーのレベルに合わせて強化されるため、レベルアップしても強くなった実感が湧きにくいです。手に入る装備も性能が少ししか上がらないため、自分が強くなっていく楽しみを感じられなくなります。
  • ありきたりな物語と魅力のないキャラクター
    • 物語はゾンビものの決まりきった表現に頼っており、驚きが少ないです。また、話の都合でキャラクターの行動に一貫性がなくなる場面も見られます。主人公以外のキャラクターにあまり魅力がなく、物語を支えきれていません。
  • 助けた生存者がすぐに死んでしまい無駄骨になる
    • 生存者のAIが賢くないため、せっかく助けたり治療したりしても、すぐに戦闘に突っ込んで死んでしまうことがあります。その結果、助けるために使った時間やアイテムが無駄になったと感じられます。
  • 銃撃戦が平凡で特徴がない
    • 銃撃戦は問題なく遊べますが、特に面白い点もなく平凡です。撃った際の反動や手応えもあまり感じられず、単純な作りになっています。
  • アイテムを拾う作業が面倒
    • クラフトに使う素材を集めるのに時間がかかりすぎます。アイテムを拾う際にボタンを長押しする必要があるため、作業が面倒です。素材は常に不足しがちなため、ロッカーや死体を一つ一つ探す作業がすぐに退屈になります。
  • アクセシビリティ(遊びやすさ)の設定が少ない
    • ゲームを遊びやすくするための設定項目が限られており、より多くのサポート機能を必要とするプレイヤーにとってはプレイが難しい可能性があります。

メディアレビュー

製品情報

項目概要
タイトル (日本語)Dying Light: The Beast (ダイイングライト:ザ・ビースト)
タイトル (英語)Dying Light: The Beast
ジャンルアクション, RPG, アドベンチャー, ホラー, オープンワールド
開発元 (Developer)Techland
販売元 (Publisher)Techland
発売日2025年9月18日
プラットフォームPlayStation 5, PlayStation 4, Xbox Series X/S, PC
プレイ人数1人(シングルプレイヤー)、最大4人(オンライン協力プレイ)
対応言語 (テキスト)英語, 日本語, フランス語, イタリア語, ドイツ語, スペイン語, アラビア語, 繁体字中国語, 簡体字中国語, チェコ語, 韓国語, ポーランド語, ポルトガル語, ロシア語, トルコ語(全17言語)