【メタスコア】『Europa Universalis V』メディアレビュー

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2025年11月5日に発売の『Europa Universalis V』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Europa Universalis V』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。

80代半ばの好スコアに落ち着いた本作。Paradox Interactiveの四半世紀の集大成として高い評価を受けていますが、技術面の問題と圧倒的な学習コストには注意が必要です。購入の参考になれば幸いです。

パラドゲー四半世紀の総力戦、だけど覚悟は必要

85
Europa Universalis V Reviews – Metacritic 24時間更新

この『Europa Universalis V』は、歴史ストラテジーというジャンルの到達点に最も近い作品です。国家の運営、経済の循環、人口の動態、階級間の政治闘争——あらゆるものがかつてないレベルでシミュレートされていて、レビュアーの一人は「戦略の大聖堂」と表現しています。これまでのストラテジーが積み木遊びだったと思い知らされるような、圧倒的なスケール感。

ただし、その大聖堂は入口が見つかりにくい。UIは情報の迷宮だし、クラッシュは頻発するし、1回のキャンペーンに70時間以上かかることもある。「最初の1000時間はチュートリアル」というジョークが笑えないレベルです。良ゲーなのは間違いないけど、万人向けかと聞かれると、ちょっと考えてしまいますね。

人口グラフが語る「国の物語」

本作の最も注目すべき点はPOPシステムです。『Victoria』シリーズから輸入されたこのシステムは、世界の人口を文化・宗教・階級ごとに個別にシミュレートします。前作『EU4』では「開発度」という抽象的な数値で表現されていた国力が、今作では「誰がどこで何を生産しているか」に完全に紐づいている。

これが何を意味するかというと、例えばゲーム開始直後に襲ってくる黒死病。前作なら国力に一時的なマイナス補正がかかる程度だったのが、今回は農民や鉱夫のPOPが実際に死亡して労働力が消滅する。鉱山は止まり、畑は荒れ、物資が不足して経済が連鎖的に崩壊していく。あるレビュアーはペストの到来を「エレベーターの中の屁」と表現しています。逃げ場がなく、全員が即座に影響を受け、強烈な痕跡を残すと。なかなかのパワーワードですね。

戦争で徴兵すれば農民POPを畑から引き剥がすことになるから、食料生産と兵力のトレードオフがリアルに機能する。「人口グラフこそがこのゲームの命そのものだ」という評価は、大げさではありません。

「倉庫番」ではなく「君主」になれる自動化

システムがここまで複雑になると心配なのがマイクロマネジメント地獄ですが、本作はそこに強力な回答を用意しています。貿易・建設・徴税・軍事といったほぼすべての分野でAIへの委任が可能で、しかも「この品目の輸入だけは手動でロック」みたいな細かい指定もできる。

つまり、経済を全部AIに任せて自分は外交と戦争だけに集中する、というプレイスタイルが成立する。あるレビュアーはこれを「アイドリングゲームのように眺める楽しさ」と表現していて、国家全体を俯瞰する統治者としてのロールプレイが実現されています。全部自分でやりたい人は手動でいけるし、おおまかに任せたい人はAIに投げられる。この柔軟性はかなり評価されていますね。

「狂犬の耳を掴む」内政プレイ

国政はプレイヤーの独断では動かせません。貴族、聖職者、市民、農民といった階級との駆け引きがゲームのキモになっています。各階級には満足度があり、特権を与えれば喜ぶけど、与えすぎると政治的影響力が膨れ上がって国家の主導権を握られてしまう。

レビュアーの表現を借りると「狂犬の耳を掴んで押さえつけるようなもの」。安易にバフを積んでいくと、いずれ手痛いしっぺ返しが来るわけです。この緊張感は前作にはなかったもので、戦争より内政の方がスリリングだという声もあるくらい。

さらに、国家の方針を表す12種類の「価値観」スライダーも復活しています。集権vs分権、陸軍国vs海軍国みたいな軸があって、国の性格が一目で分かる。ただしスライダーをいじるだけでは変わらなくて、社会構造そのもの”階級の特権や人口比率”を変革しないと根本的なシフトはできません。海軍国のヴェネツィアを陸軍国にしたいなら、ヴェネツィアを海軍国たらしめている社会的要素全体を動かす必要がある。

経済は「風が吹けば桶屋が儲かる」

経済システムは『Victoria 3』に近い需要と供給ベースに刷新されています。市場価格がすべての活動に影響を与えるので、「なぜ艦隊の修理が進まないのか」を追いかけたら「水兵に必要な酒が市場で不足しているから港湾機能が麻痺している」という答えにたどり着いたりする。

日本でプレイしていて穀物が足りなかったから北海道に植民して供給源を確保し、市場価格を下げることで農民の購買力を底上げして国全体の経済を改善した…みたいな「風が吹けば桶屋が儲かる」的な連鎖を体験できるのは、このゲームならではです。

28,000のロケーションと「本を閉じる音」

マップの解像度は前作から大幅に向上しています。ロケーション(領地の最小単位)は前作の約2,500から28,000以上に激増。ズームすれば個々の建物や街道を行き交う荷馬車まで見える。プレイ可能な国家も1,523と前作の970から大幅に増えています。

音響面の評価も高くて、オーケストラBGMは数百年の歴史の重みを表現していると絶賛。地味に嬉しいのが操作音のこだわりで、ウィンドウを閉じるときの「本の表紙を閉じるような重い音」や羊皮紙が擦れる音が雰囲気を作っています。

じゃあマイナス面は何かというと

「月替わりの処理落ち」と終わらないクラッシュ

ここは正直に言ってかなり厳しいです。ハイエンドPCでも月替わりの処理で明確なラグが発生し、ゲーム後半や倍速プレイでは特に顕著になる。「数時間のプレイで15回以上落ちた」というレビュアーもいて、オートセーブの間隔を短くせざるを得ない状況。

CPU負荷が特に高く、6コア以上が必須。終盤になるとPCのファンが「離陸しそうなほど」回るという表現もありました。フラットマップモード(3D描画を排した2D表示)で負荷を軽減できるとはいえ、根本的な最適化はまだまだ足りていません。

ツールチップの中にツールチップ

UIが「情報の迷宮」になっているかもしれません。用語の説明を見るためにツールチップを開いて、その中の用語を知るためにさらにツールチップを開く…「マトリョーシカ人形」のような入れ子構造を延々とたどることになる。

テキストの重なり、消えない警告メッセージ、正しく動かない検索フィルターといった基本的なUIの不備も散見されます。進歩ツリーのUIに至っては「巨大な巻物」と形容されるほど広大で、必要な情報を見つけるだけで一苦労。

AIはまだ「大聖堂」に追いついていない

軍事AIの挙動はかなり課題が残っています。同盟国が圧倒的な兵力を持っているのに海岸で棒立ちして渡海しなかったり、輸送船を使わずに大軍を移動させようとして海戦で全滅したりする。

敵AIも大軍を補給の続かない山岳地帯や冬将軍の中に突っ込ませて自滅するケースがあり、世界最高峰のシミュレーションを動かすAIが「頭が追いついていない」状態です。ゲームシステム自体は歴史的必然を見事に再現しているのに、AIのおかげでプレイヤーへの脅威が薄くなっているのはもったいない。

「最初の1000時間はチュートリアル」

チュートリアルは改善されています。段階的にUIを導入する方式になったし、「アジェンダ」ウィンドウが次の一手を提案してくれる。ただ、ボタンの場所は教えてくれても「なぜその機能が必要なのか」は教えてくれない。

『Civilization VII』から移行したプレイヤーは「サメのいるプールで泳ぎを覚えるようなもの」と形容しています。シリーズ経験者ですら「初めてVictoriaに触れたときの衝撃に近い」とのことなので、覚悟はしておいた方がいいですね。

「没頭」するか「仕事」と感じるか、評価が分かれるところ

ここは買う前に知っておいてほしいポイントです。

本作のシミュレーションの深さについては、「Paradox史上最も野心的で、歴史ストラテジーの到達点」と絶賛する声がある一方で、「システムが多すぎてゲーム進行が遅く、仕事のように感じる」という意見も根強い。1回のキャンペーン完走に100時間近くかかることもあって、前作のような「マップ塗り絵」の爽快感を求める人にはテンポの遅さがきつく感じるかもしれません。

自動化が充実しているので好きな分野に集中はできるけど、そもそもの学習コストが膨大。「数百時間費やしても表面をなぞった程度」という感想が複数のレビュアーから出ています。逆に言えば、その深さにハマれば一生遊べるゲームではあります。

もうひとつ、歴史イベントの自由度について。局勢システムで百年戦争や宗教改革に文脈が生まれて物語を体験できるのは好評ですが、特定の国が歴史どおりに強くなりすぎたり、インドや中国の国境線がぐちゃぐちゃのまま放置されたりする点は批判されています。歴史の再現とIFのバランスは、今後のアップデートで調整の余地がありそうです。

メディアレビュー紹介

高評価メディア

DualShockers — 9.5 / 10
国家構築のための詳細なオプションが強烈。フラットマップモードの追加や優れた音楽も高評価。RPG的な要素やシステム要件の厳しさには注意。
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游民星空 (GamerSky) — 9.5 / 10
P社ゲームの集大成。自動化システムにより初心者でも経済覇権を築ける設計。豊富なプレイ目標と深い経済・内政システムが魅力。バグやクラッシュは存在。
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TheGamer — 4.5 / 5
信じられないほど深く緻密なシミュレーション。POPシステム導入と自動化機能が秀逸。パフォーマンス問題と険しい学習曲線は覚悟が必要。
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低評価メディア

Game8 — 84 / 100
コンテンツ密度は圧倒的で複雑な相乗効果が理解すると快感。ただし要求される読書量が膨大で、低スペックPCでは動作困難。エンジンの最適化不足が目立つ。
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Stevivor — 8 / 10
ジャンルへの素晴らしい入門書で創発的な物語が魅力。一方で特定のシステムの説明不足、非常に頻繁なクラッシュ、先住民の不在が気になる。
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Metro — 8 / 10
ゲームデザインとしての達成は驚異的。完全に自由な歴史シミュレーション。ただしインターフェースが笑えるほど難解で、AIの挙動とパフォーマンスに問題あり。
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まとめると

  • POPシステムの導入で、国力の基盤が「人間」に紐づき、疫病・戦争・経済が連鎖的にリアルに動く
  • 貿易・建設・徴税などの自動化システムが柔軟で、大局的な統治者プレイが可能
  • 階級との政治的駆け引きが戦争以上にスリリング。特権の与えすぎは国家の主導権喪失に直結
  • 需要と供給ベースの経済で、物資不足が連鎖的に影響する「風が吹けば桶屋が儲かる」的なリアリティ
  • 1,523の国家、28,000以上のロケーション、1337年から500年の歴史とボリュームは圧倒的
  • ハイエンドPCでも月替わり処理のラグとクラッシュが頻発し、安定性に大きな課題
  • UIが「情報の迷宮」化しており、ツールチップの入れ子構造は改善が必要
  • 軍事AIが複雑なシステムに追いついておらず、同盟国・敵国ともに挙動が不安定
  • 学習コストが膨大で「最初の1000時間はチュートリアル」レベルの難解さ

製品情報

項目内容
タイトルEuropa Universalis V
ジャンル歴史グランドストラテジー
発売日2025年11月5日
対応機種PC(Steam)
プレイ人数1人(マルチプレイ対応)

メタスコアについて

Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メタスコアは大きく変わる機会は少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。

9080706050
神ゲー良ゲー凡ゲー低評価爆弾持ち