2025年10月23日に発売の『ゼンシンマシンガール』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『ゼンシンマシンガール』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
全体としては厳しめの評価が多く、アイデアの良さは認められつつもゲームとしての完成度に課題が残る一作です。それでも刺さる人にはしっかり刺さる要素もあるので、購入の参考になれば幸いです。
設定は最高、でもゲーム部分が追いついていない




この『ゼンシンマシンガール』は、昭和164年の「大日本合衆国」を舞台に、悪徳企業メターナルジョブズが支配するブラック企業社会で、サイボーグJKがゾンビ化した社畜兵「ワーキングデッド」をなぎ倒していくローグライトアクションです。
設定とユーモアのセンスは文句なしで、「死してなお働かされるサイボーグ社員をオフィスごとぶっ壊す」というコンセプトだけなら相当キャッチーだと思います。ただ、ローグライトとしての設計に根本的な問題を抱えていて、良いアイデアを活かしきれていない惜しさが全体を覆っている印象ですね。スコアは60台後半で、「素材は一級品なのに調理が雑」という評価に落ち着いています。
繰り返しが前提なのに、繰り返しが苦痛
最も多くのメディアが指摘しているのが、「エレベーターキー」の消耗品仕様です。ボスを倒すと手に入るこのキーを使えば次回は高層階からスタートできるんですが、なんと1回使ったら消えてしまいます。つまり、21階のボスに負けたら、もう一度1階から30分かけて登り直さないといけません。
ローグライトというジャンルは「何度もやり直す」ことが前提なのに、やり直すたびに退屈な低層階を延々と消化させられるのは、単なる時間稼ぎと言われても仕方ないかもしれません。あるメディアはこの仕様を「致命的な設計欠陥」とまで言い切っています。
100階あるのに景色が変わらない
「100階建てのタワー」という設定はスケール感があるんですが、実際に登ってみると似たようなオフィスの廊下と部屋がひたすら続くだけで、探索の驚きがほとんどないようです。フロアはランダム生成されるものの、見た目の変化が乏しく、あるメディアは「フォートナイトのファンメイドゲーム(Fortnite fan game)」のようだと皮肉っています。
BGMの曲数も極端に少なく、同じトラックがループし続けるため、視覚と聴覚の両面で飽きが加速してしまう構造になっています。
ビルドの深みが足りない
『Hades』や『Dead Cells』のように、周回ごとにプレイスタイルが劇的に変わるような化学反応もありません。入手できるアップグレードの多くは「HPアップ」「スタミナ回復速度上昇」といった地味なステータス補正に留まっていて、新しい武器を拾っても「数字が高いだけの同じ武器」ということが多いようです。
戦闘そのものについても、「味付けされていない鶏肉のようだ(Unseasoned chicken-coded combat)」という辛辣な表現が出てくるほど、深みが不足しているという指摘が目立ちます。基本的にはボタン連打や引き撃ちで解決できてしまい、駆け引きが薄いと。
カメラと敵配置のストレス
カメラの旋回速度がデフォルトで遅く、画面外からの攻撃で理不尽にダメージを受ける場面が多いとのこと。天井に張り付く「スパイダーボット」や部屋の隅のタレットなど、視認しづらい敵が乱戦に混ざると状況把握が困難になります。ロックオン機能がないのもボス戦でのストレスになっているようですね。
ただ、光る部分もある
ブラック企業風刺のキレは本物
厳しい評価が並ぶ中でも、世界観とユーモアのセンスだけは文句なしという声は一貫しています。エナジードリンクを過剰摂取する敵、ハムスターの回し車で動力を生み出すサイボーグ社員、獲得報酬から謎の「経費」が天引きされる序盤の仕様──ブラック企業あるあるをゲームに落とし込む姿勢は見事です。
ゲーム開始時に表示される「このゲームは過酷な労働環境なしで開発されました」というメッセージも、業界のブラック体質への皮肉として効いています。ロメロ監督の『ゾンビ(Dawn of the Dead)』になぞらえて、死してもなお会社に出勤してしまう「ワーキングデッド」を資本主義批判として評価する声もありました。
脳を空にして楽しめる戦闘ループ
刀やチェーンソーで斬り込みつつ、スタミナが切れたら弾数無限の銃撃に切り替えてリロード中にスタミナを回復する──この近接と射撃のサイクルは、慣れると「あと1回」と思わせる中毒性があるようです。『地球防衛軍』や『お姉チャンバラ』に通じる「大量の敵を理屈抜きでさばく楽しさ」はちゃんと備わっています。
また、作中の配信サイトで視聴者から無茶ぶりミッション(ナゲチャ)が飛んでくるライブ配信ギミックも好評でした。「40秒以内に敵を全滅させろ」「回復せずにクリアしろ」といった条件を自ら引き上げて報酬を倍増させる「ダブル・オア・ナッシング」の駆け引きは、単調になりがちな道中に緊張感を与えてくれます。
「愛すべきバカゲー」か「ただの作り込み不足」か
開発元のYuke’sとD3Publisher特有の「粗削りなB級感」をどう受け取るかで、このゲームの印象は大きく変わります。
ファン層からは、物理演算で敵が変な方向に吹き飛んだり、大味なバランスで無双できたりすることも含めて、PS2時代の愛すべきバカゲーの系譜として歓迎されています。『God Hand』や『Lollipop Chainsaw』と同じ空気を感じ取っている人もいて、「完璧じゃないけど、それがいい」というスタンスですね。
一方で、『Returnal』や『Hades』といった現代のローグライトの水準を知っているプレイヤーからは、挙動の怪しさやUIの不親切さを単なる技術力不足として厳しく見られています。あるメディアは本作を「アニメ風味の『Returnal』」と呼んでいますが
また、強化担当NPCの葉加瀬博士まわりのお色気演出についても意見が割れています。シリーズ特有の悪ノリとしてB級映画的な「お約束」を楽しむ人がいる一方、現代の感覚では不快に感じるという声も。衣装を「宇宙時代の素材で作られたプロフェッショナルなビキニ」と皮肉るメディアもありました。この辺りは完全に好みの問題かもしれません。
メディアレビュー紹介
高評価メディア
Tech-Gaming — 80%カオスと自信に満ちた、PS2時代の良質なアクションを彷彿とさせる一作。欠点はあるが、その不完全さすら魅力に変えている独特の存在感がある。→ レビューを読む
Digitally Downloaded — 80%ロメロの映画のようにB級の皮を被った鋭い社会風刺作品。EDF: World Brothersのような「思考停止で楽しめる」良質なループがある。→ レビューを読む
Video Chums — 7.9 / 10現代の労働環境を風刺した、大げさで笑えるアクションゲーム。中毒性はあるが、短時間のプレイ向き。→ レビューを読む
低評価メディア
ZTGD — 5.5 / 10テーマやビジュアルは魅力的だが、ローグライクとしての深みが不足しており、価格に見合う満足感を得るのが難しい。→ レビューを読む
Nintendo Insider — 6 / 10土台はしっかりしているが、技術的な問題と時間稼ぎのような演出が多い。アップデートを待つのが賢明。→ レビューを読む
Shacknews — 6 / 10ユーモアと雰囲気は最高だが、肝心のゲームプレイが凡庸。素晴らしい前提条件を活かしきれていないのが惜しまれる。→ レビューを読む
まとめると
- ブラック企業風刺の設定とユーモアのキレは抜群で、世界観だけなら高得点
- 「エレベーターキー」の消耗品仕様が繰り返しプレイの苦痛を大幅に増幅させている
- マップの単調さとBGMの少なさで、長時間プレイが作業になりやすい
- 近接と射撃を切り替える戦闘ループ自体には中毒性がある
- ビルド構築の浅さやカメラワークなど、ローグライトとしての基礎設計に課題あり
- 「PS2時代のB級バカゲー」として愛せるかどうかで評価が大きく分かれる
- ライブ配信のナゲチャギミックはリスクとリターンの緊張感を与えてくれる
- 風刺コメディが好きで、ゲームの粗さを許容できるなら楽しめるかもしれない
製品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | ゼンシンマシンガール(Full Metal Schoolgirl) |
| ジャンル | アクションシューティング |
| 発売日 | 2025年10月23日 |
| 対応機種 | Nintendo Switch 2 / PlayStation 5 / Steam / Epic Games Store |
| 開発 | 株式会社ユークス |
| 発売 | 株式会社ディースリーパブリッシャー |










