Microidsより2025年9月25日に発売された、Nintendo Switch、PC (Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X|Sに対応のアドベンチャーゲーム『アガサ・クリスティ – ナイルに死す』のメディアレビュー総まとめページです。
総合評価
SCORE
74
Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。
90 | 80 | 70 | 60 |
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神ゲー | 良ゲー | 凡ゲー | 問題あり |
『アガサ・クリスティ – ナイルに死す』は、古典的なミステリー小説を大胆な解釈で再構築し、独自の捜査システムを導入した意欲的な作品です。原作の物語に新たな視点を加える試みは評価されていますが、一方でゲームプレイの設計や技術的な完成度には課題が残るという評価を受けています。
評価される理由として、物語の舞台を1930年代からディスコ文化が流行した1970年代に変更した点や、原作の探偵ポアロに加えてオリジナルの私立探偵ジェーン・ロイスという第二の主人公を登場させた点が挙げられます。これにより、原作を知るプレイヤーにも新鮮な体験を提供しています。また、集めた手がかりを視覚的に結びつけて推理を進める「マインドマップ」や、事件の全容を時系列で再現する「タイムライン再構築」といった謎解きシステムも、探偵としての体験を深める要素として機能しています。
しかし、ゲームプレイの途中に挿入されるパズルは、物語の本筋とは関係が薄く、単に時間を引き延ばしているだけだと感じられることがあります。特に、手がかりのない状態でジュークボックスの曲を一つずつ試すといった冗長な作業は不満点として指摘されています。さらに、操作が効かなくなる、先に進めなくなりゲームの再起動が必要になるなどの技術的な不具合も複数報告されています。キャラクターの見た目が不自然であったり、口の動きとセリフが合っていなかったりする点も、物語への没入を妨げる要因となっています。
結論として、本作は独創的なアイデアと推理を補助する優れたシステムを備え、原作の新たな魅力を引き出す可能性を持っています。しかし、その体験は、単調なゲーム進行や技術的な問題によって損なわれる側面も持ち合わせています。
評価ポイント
謎解きを進めるための中心的な仕組みである「マインドマップ」が、プレイヤーに集めた手がかりを結びつけ、自分自身の結論を導き出すことを促す、よく考えられたシステムとして評価されています。この機能は、入手した事実や情報を整理し、筋道を立てて推理するための画面として役立ちます。また、各事件の終わりには、容疑者たちの行動を時系列に沿って並べ直す「タイムラインの再構築」があり、事件の全体像を理解する上で、達成感のある締めくくりとなっています。
- 1970年代のディスコ文化を取り入れた美術や色彩が新鮮で、ゲームの雰囲気を高めている
- 物語の舞台を1970年代に設定したことで、当時のファッションや建築、色使いがゲームの各所に見られます。活気があり、カラフルな雰囲気はプレイヤーを引き込み、ディスコやベルボトムが特徴的な時代を背景に物語が展開します。
- 二人の主人公を切り替えて進めることで、物語の理解が深まり緊張感が増す
- ベテラン探偵の「ポアロ」と、オリジナルの新人探偵「ジェーン・ロイス」の視点を交互に操作します。これにより、有名な原作の物語に新しい視点が加わります。二人の物語は別々に進みながら終盤で一つになり、異なる立場から事件を見ることで物語に深みと緊張感を与えています。
- 原作を尊重しつつ、新たな物語を追加して事件を広げ、謎が続く魅力的な話になっている
- 原作の大きな流れを大切にしながら、オリジナルキャラクターであるジェーン・ロイスの物語を追加することで、話がより豊かになっています。これにより、原作の事件が終わった後も新しい調査が続き、複数の謎が複雑に絡み合うことで、プレイヤーの興味を引きつけ続けます。
- 蒸気船の配管修理など多彩なパズルがあり、難易度設定やヒント機能で遊びやすい
- 壊れた配管の修理やジュークボックスの修理、錠前破りなど、様々な種類のパズルが用意されています。これらが探偵パートの合間に挟まれることで、ゲームプレイが単調になるのを防いでいます。パズルの難易度は調整でき、ヒント機能もあるため、誰でも自分のペースで楽しめます。
- エジプトの墓といった舞台や光の使い方が美しく、細かい環境の探索が楽しい
- 特にエジプトの墓などの舞台は魅力的で、光の使い方が美しい映像を作り出しています。世界は生き生きと描かれており、細かく作られた様々な場所を探索することは、収集アイテムを探すプレイヤーにとってやりがいがあります。
- テンポの良い脚本と的確なキャラクター描写、良い声の演技で会話シーンが面白い
- キャラクターの描写が的確で、多くの登場人物が記憶に残ります。声優の演技も良く、特に主人公ポアロの声は高く評価されています。脚本はテンポが良く気の利いているため、会話シーンが魅力的です。
- 全8章とプロローグに収集要素も加わり、十分なボリュームでやり込みも楽しめる
- 本編はプロローグと8つの章で構成されており、クリアするには十分な時間が必要です。各章には隠された収集アイテムも豊富に用意されているため、隅々まで探索したいプレイヤーも楽しめます。
不評ポイント
謎解きを進める上でのゲームの作りが古く感じられたり、進行を妨げる技術的な問題が起きたりする点が指摘されています。特に、パズルが物語の流れと関係なく、唐突に挿入されていると感じられることがあります。例えば、ある人物と話すために、手がかりがない状態でジュークボックスの曲を一つずつ聴き、その度にコインを取りに戻るという、面倒で時間のかかる場面があります。また、推理の要となる「マインドマップ」の画面が操作を受け付けなくなる問題や、特定のパズルで先に進めなくなり、ゲームを再起動しなければならない深刻な不具合も報告されています。
- 70年代を表現した見た目が、濁った色合いで平面的に見える
- 70年代の雰囲気を出すために茶色が多く使われていますが、それが泥のような色合いになり、画面全体がくすんで暗い印象を与えています。結果として、見た目が平面的で味気なく感じられます。
- 主人公ポアロと70年代の舞台設定が合っておらず、場違いな印象を与える
- 几帳面な探偵であるポアロが、ミラーボールの光るディスコのような場所にいることに違和感があります。キャラクターと時代設定がうまく合っておらず、ちぐはぐに見える場面があります。
- パズルの作りが分かりにくく、操作も不便で時代遅れに感じられる
- パズルの仕組みが分かりにくかったり、操作が不便だったりする場面があり、昔のアドベンチャーゲームからあまり進化していないように感じられます。例えば、鏡を使った光のパズルでは、アイテムを置ける場所が多すぎるのにヒントがなく、何度も付け外しを繰り返す必要があり面倒です。
- キャラクターの見た目が不自然で質が低く、声の演技も不安定
- キャラクターの見た目は魅力的ではなく、人形のように不自然に動きます。また、声の演技も質が低い部分があり、ゲームへの没入感を妨げています。
- キャラクターの口の動きとセリフが合っていない
- 会話シーンで、キャラクターの口の動きと話している内容が合っておらず、違和感があります。
- 音楽に一貫性がなく、場面に合わない曲が流れることがある
- 場面によって音楽の雰囲気が大きく変わり、ジャズが流れたかと思えば、ロックやエレベーターで流れるような曲に変わるなど、一貫性がなく雰囲気を壊していることがあります。
- ゲームの仕組みが昔ながらで単調に感じられる
- ゲームの進め方が昔ながらで、目新しさがありません。設定の面白さが薄れると、単調な作業に感じられ、このジャンルに慣れていない新しいプレイヤーを引き込むのは難しいかもしれません。
- 物語の構成がまとまっておらず、話の流れが中断されやすい
- 主人公の一人であるポアロの調査が盛り上がってきたところで、もう一人の主人公ジェーンのパートに切り替わるため、話の流れが中断されて散漫に感じられます。二人の物語がもっと早く絡み合えば、より自然に感じられたかもしれません。
- 謎解きが単純で、推理の緊張感が薄い
- マインドマップなどの謎解きシステムは、答えを一つずつ試す「総当たり」でも進めてしまいます。そのため、じっくり考えて推理するという緊張感が薄くなっています。
メディアレビュー
- Video Chums[81]
- GameSpew[80]
- Impulsegamer[80]
- TheSixthAxis[70]
- Gaming Nexus[60]
- The Escapist[tbd]
製品情報
項目 | 概要 |
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タイトル (日本語) | アガサ・クリスティ – ナイルに死す |
タイトル (英語) | Agatha Christie – Death on the Nile |
ジャンル | アドベンチャー,ミステリー,探偵ゲーム |
開発元 (Developer) | Microids Studio Lyon |
販売元 (Publisher) | Microids |
発売日 | 2025年9月25日 |
プラットフォーム | Nintendo Switch、PC (Steam)、PlayStation 5 、Xbox Series X |
希望小売価格 | ¥ 4,400 |
プレイ人数 | 1人 (シングルプレイヤー) |
対応言語 (テキスト) | 英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、簡体字中国語 |
対応言語 (音声) | 英語、フランス語、ドイツ語 |