『Dispatch』メタスコア評価・メディアレビュー

AdHoc Studioより2025年10月23日に発売。PlayStation®5、PCに対応のアドベンチャー、ストラテジー、アクション、ナラティブジャンル『Dispatch(ディスパッチ)』のメディアレビュー総まとめページです。

総合評価

『Dispatch』
スコアについて

Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メディアスコアは大きく変わることは少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。

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神ゲー良ゲー凡ゲー低評価爆弾持ち

本作は選択によってストーリーが大きく変わる体験と、質の高い演出が光る作品となっている。ただし、ゲームプレイの管理パートについては中盤以降にバランスの問題が指摘されている。

プレイヤーの選択がストーリーに与える影響は非常に明確で、些細なプロットだけでなく重要な部分が本当に左右されると評価されている。数秒しか考える時間がない重大な選択では、思わず声を出してパニックになるほどの緊張感があったという声もある。全エピソード完結後すぐに2周目をプレイしたいと思わせるほど、選択の影響力が大きい点が高く評価されている。一方で、いくつかの主要な選択肢をリプレイして変えてみたところ、プロットではなく数行のセリフが変わるだけに留まり、選択の影響に疑問を感じたという意見も存在する。また、Telltaleの旧作にあった「沈黙する」オプションがなく、制限時間内に選ばないと自動選択されてしまう点が残念だったとの指摘もある。

脚本の質は総じて高く、Aaron PaulやLaura Baileyをはじめとするキャストが、ウィットとユーモアを見事に表現している。本心から笑ってしまうようなギャグが含まれており、ユーモアの質が高いと評価されている。シリアスさとユーモアのバランスが絶妙で、ペース配分やトーンが正確に保たれているという声がある。ただし、キャラクターが自然さを出すためにセリフにつまずいたり口ごもったりする演出が多用されており、時にイライラさせられたという意見もある。

アニメーションの品質は非の打ちどころがなく、表情豊かで鮮やかで滑らかな動きが芸術的だと評価されている。アクションシーンの映像は他のスーパーヒーローアニメーション作品と比較しても見劣りしないどころか、はるかに優れているように見えるという声もある。キャスティングは今年最高かもしれないとの評価で、特にAaron Paul演じるロバートの静かな温かさや、Laura Bailey演じるInvisigalの皮肉的な演技、Erin Yvette演じるBlonde Blazerのクールな佇まいなど、誰一人として演技に穴がないと絶賛されている。

ヒーローの指令を出すディスパッチセクションはテンポが速く、緊急コールが間断なく押し寄せるため迅速な判断を迫られるのが非常にスリリングだったという声がある。シフトが終了した時に「もう一シフトやりたい」と心から願うほど中毒性があったという評価や、D-padで8桁のコードを制限時間内に推測するパズル要素でかつてないほどのパニックを経験したという声もある。ストーリーに戻るためだけに急いで終わらせたいと思うか懸念していたが、実際にはこの管理ゲーム自体が楽しく、シフトが終わるのが寂しく感じられたという意見もある。しかし、エピソード3以降は緊急の要請が街中に溢れかえり、すべてのコールに対応できなくなってバランスが崩壊し大混乱になってしまったという指摘がある。多くの要請がレベルの高いヒーローを必要とするが、チームのスキルを十分上げる機会がないため、管理パートが中盤から非常に消耗する作業に変わってしまい、早く終わって物語パートに戻りたいと願ってしまったという声もある。

アクションシーンにおけるQTE(クイックタイムイベント)は総じてパンチ力に欠け、アクションを盛り上げるには物足りなかったという意見がある。PC版ではV-syncをオンにしていても画面のティアリングが発生した他、激しいシーンでオーディオの同期ズレが発生し集中力が途切れてしまったという技術的な問題も報告されている。また、最初の2つのエピソード(全8話中)は導入部として内容が薄く、ゲームが本格的に面白くなり始めた瞬間に次のエピソードへの配信待ちが発生してしまうという指摘もある。

選択による影響力の大きさと質の高い演出・キャスティングが魅力的な作品である一方、管理パートのバランス調整や技術的な問題、エピソード配信のペースについては改善の余地があるという評価になっている。

評価ポイント

多くのメディアで評価されているポイント

本作で最も評価されているのは、著名な俳優陣による演技の質です。アーロン・ポール氏やローラ・ベイリー氏といった豪華なキャストが、アニメーションで描かれるキャラクターたちに活気ある声を提供しています。各キャストの優れた演技により、キャラクターの個性と感情が効果的に表現されています。

  • 高水準なアニメーションとアクション演出
    • アニメーションは非常に滑らかで、世界的なレベルにあると評価されています。アクションシーンの出来栄えは、他の著名なスーパーヒーローアニメ作品と比較しても優れています。
  • 「プレイ可能なアニメシリーズ」という仕組みの実現
    • プレイヤーがカットシーンや会話の選択を通じて物語に影響を与える、という意図が成功しています。対話でストーリーの流れを変えられるため、インタラクティブなアニメを視聴している感覚でプレイできます。
  • 選択によって物語が明確に分岐する設計
    • プレイヤーが下す選択の影響が非常に分かりやすく現れます。会話や状況での選択がヒーローとの関係性や物語の経路に影響するため、異なる展開を見るために繰り返しプレイする価値が高く設定されています。
  • 要請が殺到するディスパッチ(指令)の緊張感
    • ディスパッチのゲームプレイはスリリングです。要請が容赦ない勢いで発生し、手遅れになる前に迅速な対応が求められます。都市の地図上にインシデントを示すアイコンが絶えず点滅し、制限時間内での対処が必要なため、高い緊張感が続きます。
  • 1回10〜12分で終わるテンポの良いディスパッチ任務
    • ディスパッチのゲームプレイは、1回あたり10分から12分程度で構成されています。この短時間で終わる区切りが、ディスパッチャーとして「もう1回だけ」とプレイを続けたくなる魅力を持っています。
  • ヒーローの長所・短所を考慮した配備戦略
    • 各ヒーローの長所と短所を踏まえ、要請に適した人材を選ぶ戦略が求められます。複数人を派遣すれば成功率は上がりますが、対応ユニットが不足するリスクも発生し、このバランス取りを考える必要があります。
  • 物語パートと管理シミュレーションが連動するゲーム構成
    • ゲームは、選択ベースの物語パートと、ヒーローの管理シミュレーション(ディスパッチ)という2つの要素で構成されています。ディスパッチでの行動や結果が、物語パートのカットシーンに影響を及ぼす形で、2つの要素は相互に連動しています。
  • レベルアップやヒーロー間の関係性による成長要素
    • ミッションを成功させるとヒーローがレベルアップし、スキルポイントで能力を改善してチームをカスタマイズできます。また、ヒーロー間の関係性がミッション結果に影響するシナジー(相乗効果)も組み込まれています。
  • プレイヤーを積極的に関与させるための設計
    • 開発スタジオは、プレイヤーをゲームに積極的に関与させることを目指して設計しています。映画的な表現と管理シミュレーション要素を組み合わせ、従来の作品よりも操作や判断の機会を増やすことに成功しています。
  • 選択の結果がすぐにフィードバックされる設計
    • 下した選択の影響が明確に分かり、その結果が継続的に物語の展開に反映されます。例えば、ディスパッチで不適切なヒーローを選ぶと負傷して一時的に使用不能になるなど、決定がすぐに結果として返ってきます。

不評ポイント

多くのメディアで不評なポイント

最も多く指摘されているのは、管理パートのバランスです。エピソード3以降、街からの要請が急激に増え、すべてに対応することが困難になります。要請を解決するには高い能力が必要ですが、チームのレベルアップが追いつかないため、管理セクションが単調な作業のように感じられがちです。結果として、管理パートを早く終えてストーリー部分に戻りたい、という感覚になりやすくなっています。

  • PC版の技術的な不具合
    • PC版では、V-sync(垂直同期)を有効にしても画面がずれるティアリングが発生するという問題が報告されています。また、アクションシーンなど負荷が高い状況で、音声が映像とずれてしまう不具合も発生します。
  • アクションシーンのQTE(クイックタイムイベント)の物足りなさ
    • アクションシーン中に発生するQTEは、迫力に欠けるとの指摘があります。また、QTEが実装されている回数自体が少なく、盛り上がりに欠ける要因となっています。
  • コントローラー操作の不安定さ
    • コントローラーでの操作感が、時折ぎこちなく、スムーズに動かせないと感じられることがあります。
  • 序盤の展開の遅さ
    • 序盤のエピソード(1〜2)は内容が少なく、物語の進行が遅いと感じられます。物語が本格的に動き出そうとする直前で区切られるように構成されています。
  • 序盤の選択肢の影響が分かりにくい
    • 序盤の選択肢は、物語にどのような影響を与えているのかが分かりにくいです。選択を変えてもセリフがわずかに変わる程度で、選択による違いが明確ではありません。
  • 会話で「沈黙」を選べない仕様
    • 会話の選択肢に「沈黙」を選ぶ項目がありません。制限時間内に選択しないと、ゲーム側が自動で選択肢を実行するため、プレイヤーが意思決定する重要性が下がっています。
  • 自然な会話を意識したセリフ回し
    • 自然な会話を表現するために、キャラクターがセリフにつまずいたり、途中で途切れたり、独り言をつぶやいたりする演出が多用されています。このセリフ回しが、人によってはわずらわしく感じられる場合があります。

メディアレビュー

製品情報

項目概要
タイトル (日本語)Dispatch(ディスパッチ)
タイトル (英語)Dispatch
ジャンルアドベンチャー,ストラテジー,アクション,ナラティブ
開発元 (Developer)AdHoc Studio
販売元 (Publisher)AdHoc Studio
発売日2025年10月23日
プラットフォームPlayStation 5,PC
プレイ人数1人
日本語(インターフェース)対応
日本語(字幕)対応