『The Last of Us Part 2』などでNvidiaのDLSS 5を検証 未完成AI技術が生む不気味な映像
Nvidiaが正式リリースしていないアップスケーリング技術「DLSS 5」が、流出したファイルをきっかけにPCゲーマーの手で複数のゲームへ試験的に導入されています。映像の鮮明さが向上する場面がある一方、顔や肌の表現が過度に加工され、キャラクターの印象まで変えてしまう例も確認されました。完成前の技術とはいえ、AIによる“美化”への批判が再燃しています。
未公開のDLSS 5がゲーム映像に適用される
DLSS 5は、NvidiaのRTX 50シリーズ向けに開発されているリアルタイム・ニューラルレンダリング技術です。まだ正式提供には至っていませんが、NBA 2K27の早期アクセス版から関連ファイルが見つかったとされ、プレイヤーや改造コミュニティが動作させる試みを始めました。現在出回っている映像は、製品版として一般向けに提供されることを想定したものではありません。
プレイヤーによる検証では、The Last of Us Part 2、Final Fantasy 7 Rebirth、The Elder Scrolls 5: Skyrim、Grand Theft Auto: San Andreasなどが対象になっています。比較映像では、森林や草木の多い場面で、DLSS 5を有効にしたほうが細部がくっきりし、色も鮮やかに見えるケースが示されています。従来のバージョンで指摘されていた、画面全体が過剰に“盛られる”傾向から改善したように見える例もあるとのことです。
顔や肌の表現に残る不自然さ
一方で、人間の顔や肌を処理する際には、DLSS 5特有の不気味さが目立ちます。人物が油で光っているように見えたり、画像加工アプリのビューティーモードを適用したような質感になったりする場面があり、輪郭や表情だけでなく、キャラクター全体のデザインが別物に感じられることもあります。
Skyrimの映像では、登場人物の顔立ちが現代的な美容加工を施したように変化し、作品本来の雰囲気から離れて見える例が紹介されています。San Andreasの主人公CJでは、より写実的になったとも受け取れるものの、元のキャラクターとは別人に近い印象になる結果が確認されました。単純な高画質化ではなく、AIが学習した特徴に基づいて人物の見た目そのものを補正しているように見える点が、議論を呼んでいます。
動画への反応として、ある視聴者はSkyrimの映像について、学習素材がプロによるHDR編集写真に偏っているため、自然な画像を使った場合よりも不自然になっているのではないかと指摘しました。その視聴者は、映像が極端に高コントラストで明るく、作られた青空の光を受けているように見えるとコメントしています。San Andreasの映像に対しては、Instagramの加工動画をプレイ可能にしたようだという意見も寄せられました。
Nvidiaが過去に受けたAI利用への批判
DLSS 5への懸念は、今回の流出以前から存在していました。Nvidiaが今年、Resident Evil Requiemなどの対応映像を公開した際、同社は技術がゲーム内のライティングを強化するものだと説明しました。しかしファンからは、照明だけでなくキャラクターデザインまで、一般的に“魅力的”とされる方向へ変えているのではないかという批判が出ています。
これに対してNvidiaは、ゲームスタジオから全面的な支持を得ており、DLSS 5は各作品の芸術的意図を正確に捉えていると反論しました。ところが、AI利用に批判的な姿勢で知られる複数のスタジオが、Nvidiaの計画を知らされていなかったと明らかにしたことで、この説明はかえって反発を招いたとされています。さらにNvidiaのCEOが、DLSS 5を拒否する批判者について「完全に間違っている」と発言したことで、技術に対する印象は一段と悪化しました。
未完成版ゆえに評価はまだ確定せず
今回プレイヤーが試しているのは、流出した未完成の技術です。Nvidiaが最終版で顔や肌の処理を改善し、意図しない外見の変更を抑えられる可能性は残されています。正式な提供時期は記事時点で示されていません。
ただし、今回の映像はNvidiaが公開内容を選別した公式デモとは異なり、実際のゲーム内でどのような結果になるのかをユーザーが直接確認できる形で広がっています。草木や環境表現の向上が評価される一方、人物を“美化”してしまう処理や、作品のデザインを変えてしまうように見える挙動は、単なる画質向上とは別の問題です。製品版で修正されたとしても、DLSS 5にはすでにAIによる過剰な加工技術というイメージが付きまとっていると、原文筆者は見ています。