2025年9月18日に発売の『Arctic Awakening』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Arctic Awakening』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
全体的には厳しめの評価が多く、雪景色やサウンドトラックに光る部分はあるものの、進行不能バグやナビゲーションの問題が足を引っ張った作品という声が大半です。購入の参考になれば幸いです。
美しい雪原だけでは遭難から救えなかった
この『Arctic Awakening』は、アラスカの極寒の大地を舞台にしたウォーキングシミュレーターです。飛行機の墜落事故を生き延びた主人公カイが、行方不明の副操縦士ドノヴァンを探して雪原をさまようという物語。裁判所命令で同行することになったセラピーロボット「アルフィ」を相棒に、放棄された研究施設や不気味なSF的建造物が点在する世界を歩いていきます。
雪に覆われたツンドラのビジュアルとアンビエントなサウンドトラックは本当に素晴らしいです。ただ、それ以外の部分がなかなか厳しい。進行不能バグが各チャプターで頻発し、サバイバル要素は形だけ、主人公の演技も平坦と、器の美しさに中身が追いついていない印象かもしれません。
ドアが開かない、イベントが始まらない——バグとの戦い
一番の問題は、進行不能バグの多さです。ドアが開かない、特定の会話が始まらないといったトリガー系のバグが各チャプターで発生しています。広いマップの中を「これはバグなのか、自分が見落としているのか」と悩みながら歩き回った挙句、結局チェックポイントの再読み込みで解決するしかないというパターンが繰り返されます。
最終エピソードではゲームの動作が極端に重くなり、再起動したらセーブデータが飛んで1時間分の進行を失ったという報告まであるそうです。せっかく雰囲気に浸っていても、バグで現実に引き戻されてしまうのはかなり痛いですね。
雪の中をあてもなく歩かされる辛さ
ウェイポイントや目的地マーカーが表示されない仕様自体は、雰囲気を重視した設計として理解できます。ただ、環境による道標が機能していない箇所がそれなりにあって、今歩いている方向が正しいのかどうか分からないまま雪原をひたすら歩く場面が出てきます。
あるレビュアーは「ビーチサンダルとスポーツコートだけで南極をナビゲートしているような気分」と表現していましたが、まさにそんな心細さ。発電所のセクションなど、視覚的にわかりにくいパズルもあって、探索が徒労に終わりやすいのは残念なところです。
緊張感のないサバイバルと石積みの隣でしかできない瞑想
空腹度と正気度(ストレス)というサバイバル要素がありますが、食料や水はそこら中に落ちていて、インベントリの容量制限もないため、緊張感はほぼゼロです。限界に達すると走れなくなり画面の色が失われますが、実質的なペナルティはそれだけ。
特に不自然なのが、ストレスを回復するための瞑想システム。マップ上に点在する石積み(ケルン)の隣に座らないと深呼吸ができないという仕様になっていて、「リラックスできる唯一の場所が石積みの隣だと言われると、現実感が台無しになる」というツッコミは的を射ていると思います。サバイバルの緊張感を出すどころか、テンポを悪くする足かせになってしまっている。
危機感が伝わらない主人公カイ
飛行機の墜落事故を生き延びたばかりだというのに、主人公カイの声は終始落ち着き払っていて、死の危険に直面している緊迫感がほとんど伝わってきません。「退屈そうに聞こえる」という評価もあるほどです。副操縦士ドノヴァンとは長年の戦友という設定なのに、会話のトーンが「気まずい出会いをナビゲートしようとする見知らぬ二人」のようで、背景にある絆が感じられないのも問題。
放棄された研究施設などを探索する過程で手に入る背景情報(ロア)も決定的に不足しています。マップ上にPC、本、ホワイトボード、メモなどが大量に配置されているにもかかわらず、ほとんど読むことができません。長時間歩き回って探索しても見返りが乏しく、物語へのモチベーションを保ちづらい構造になっています。
ただ、光る部分もあります
雪景色とサウンドトラックだけは一級品
ここまで厳しい話が続きましたが、環境構築とサウンドトラックの出来は間違いなく本物です。『Firewatch』の様式美と『The Long Dark』の過酷なバックカントリーを併せ持った「凍てつくツンドラの孤独」とも評される独特の世界観。アラスカの大自然の中に無機質な巨大パラボラアンテナがそびえ立つコントラストは、「不気味で不安を煽ると同時に美しい」と表現されています。
焚き火のそばに座って雪景色の冷たい空気感を吸い込みたくなるようなビジュアルで、吹き荒れる風の音や足元の雪を踏みしめる音もしっかり作り込まれています。
サウンドトラックも非常に高い評価を得ていて、ピアノ、ギター、グロッケンシュピール、シンセサイザーなどを組み合わせたアンビエント楽曲が場面ごとにシームレスに移行します。「孤立した山の頂に住む修行僧のような禅の境地で聴きたくなる」と絶賛するレビュアーもいたほど。手作りのウクレレを用いたシーンは、ゲーム内でも特に美しい瞬間として挙げられています。
脇役たちの演技と物語は光っている
主人公カイの演技には課題がありますが、通信越しに登場する相棒ドノヴァンの音声演技は秀逸で、直面している苦悩や混乱が生々しく伝わってきます。また、探索中に出会う二人の女性HollyとNaomiのストーリーテリングと音声ログも素晴らしく、政府の暗躍を疑う陰謀論めいた展開が物語に緊張感を与えています。
操作面では、岩登りや隙間のジャンプがボタンクリックのみで自動処理されるシンプルな設計も、雰囲気とストーリーに集中したいプレイヤーにとっては好印象だったようです。
セラピーロボット「アルフィ」は相棒か、お荷物か
評価が大きく分かれているのが、常に傍らを飛び回る球体型のセラピーロボット「アルフィ」の存在です。
肯定的な意見としては、『Firewatch』のDelilahのようなトランシーバー越しの声ではなく、物理的にそばにいる存在として描かれている点を評価する声があります。孤独な雪山での沈黙を埋めるコミックリリーフとして始まり、時に反発し、時に支え合うことで関係性が変化していく過程が魅力的だという意見ですね。
一方で、セラピストとしてのプログラムが中途半端で、共感よりもお節介なアドバイスや批判が多いと感じるプレイヤーも少なくありません。道に迷った時にナビゲーションのヒントを出してくれないのも不満の種で、『The Last of Us』のエリーや『Portal』のコンパニオンキューブのような、ゲーム史に残る愛される相棒たちと比べると、愛着が湧きにくいという指摘です。
もうひとつ評価が割れているのがエピソード形式の構成。全5章がそれぞれ約2時間で、1晩に1章ずつ遊べる「一口サイズ」のフォーマットとして遊びやすいという声がある一方、全チャプターが一挙配信されているのにエピソード形式を採用する意義が薄いという批判が多数派です。道中の選択が最終盤まで意味を持たない「Life is Strange症候群」に陥っているとも指摘されていますし、暗転を挟む場面転換が唐突で没入感を削ぐという声も。『What Remains of Edith Finch』のようなシームレスなトランジションとは対照的で、洗練さに欠けるという評価です。
メディアレビュー紹介
高評価
ZTGD — 70
極寒のアラスカに墜落した絶望的状況から始まる本作は、息を呑むような雰囲気作りが秀逸だ!お喋りなセラピーロボット「Alfie」との絆は、名作『Firewatch』を彷彿とさせる。厳しいサバイバル管理を省き、純粋に謎解きと美しい雪景色の探索に没頭できる、最高に魅力的なアドベンチャー体験である。
→ レビューを読むAdventure Game Hotspot — 67
雪に覆われた極寒の大自然を歩き回る、リラックスした探索体験がたまらない!球体のセラピーロボット「Alfie」とのやり取りは時にコミカルで、徐々に深まる絆に心温まる。ピアノやシンセサイザーを用いた美しい音楽が場面の雰囲気を完璧に引き立てており、ウォーキングシム好きなら絶対にプレイすべき良作だ。
→ レビューを読むLoot Level Chill — 65
声優陣の素晴らしい演技と美しい音楽が、アラスカの凍てつく孤独な世界へプレイヤーを深く引き込んでくれる!主人公KaiとセラピーロボットAlfieが織りなす友情の物語は実に感動的だ。ドローンや天候操作が絡む謎多きストーリー展開も秀逸で、一度ハマれば抜け出せない極上のミステリー体験がここにある。
→ レビューを読む
低評価
GAMINGbible — 60
魅力的な物語を、進行不能になるほどの致命的なバグが完全に台無しにしている。道案内が不親切で雪原を無駄に彷徨う上、5章のエピソード構成も全く活きていない。最後の選択肢だけが意味を持つ「Life is Strange症候群」に陥っており、道中の選択が結末に反映されない見掛け倒しの分岐は致命的な欠陥だ。
→ レビューを読むFinger Guns — 60
音楽とビジュアルは一級品だが、肝心の物語とゲームプレイが期待外れだ。特に終盤の展開は拍子抜けで、声優の演技にもバラつきが目立つ。さらに、環境の道標が不十分なため、目印のない雪原を当てもなく歩かされる苦痛な時間が頻発する。無意味に存在する空腹や正気度メーターも、煩わしさを助長するだけの蛇足である。
→ レビューを読むLoot Level Chill — 65
ウォーキングシムの美点である簡潔さを無視し、8〜10時間も無駄に引き延ばした構成は退屈そのものだ。沈黙のまま歩かされる時間は苦痛でしかない。さらに、進行不能バグや会話の不具合が頻発し、終盤には処理落ちでデータが飛ぶ始末。本作の魅力である謎解きも、これら劣悪な技術的問題によって完全に潰されている。
→ レビューを読む
まとめると
- アラスカの雪景色とアンビエントなサウンドトラックの出来は一級品
- 進行不能バグが各チャプターで頻発し、プレイの勢いを大きく損なう
- ウェイポイントなし+不十分な道標で、雪原をあてもなく歩かされる場面がある
- サバイバル要素は形だけで緊張感がなく、瞑想システムがテンポを悪化させている
- 主人公カイの演技が平坦で、危機的状況の緊迫感が伝わりにくい
- 背景情報(ロア)が少なすぎて、探索に対する見返りが乏しい
- セラピーロボット「アルフィ」の評価はプレイヤーによって大きく分かれる
- エピソード形式の構成は間延びの原因として批判が多い
製品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイトル | Arctic Awakening(アークティック・アウェイクニング) |
| ジャンル | ナラティブ・アドベンチャー / サバイバル・ミステリー |
| 開発 | GoldFire Studios |
| 発売日 | 2025年9月18日 |
| 構成 | 全5章(各章約2時間) |








