2025年10月23日に発売の『Bounty Star』のメディアレビューが公開されMetacriticのメタスコアが集計されました。このページではMetacriticへ寄稿された『Bounty Star』に対する海外ゲームメディアのレビューを翻訳してまとめています。
スコアは70点台の中盤で、評価はかなり割れています。物語や雰囲気は文句なしに魅力的だけど、ゲームプレイの反復感や粗さが足を引っ張っている……という構図です。購入の参考になれば幸いです。
メカと農業、野心的だけど噛み合わない歯車




この『Bounty Star』は、荒廃したアメリカ南西部を舞台に、メカに乗って賞金稼ぎをしながら農業や基地建設もこなすという、かなり欲張りなジャンルミックスの作品です。パブリッシャーはAnnapurna Interactive。主人公は過去に大きな失敗を犯した退役軍人の賞金稼ぎ・クレムで、彼女の贖罪と再起を描く物語が軸になっています。
好意的な評価が集中しているのはストーリーとキャラクター造形、そしてメカのカスタマイズ性。一方でミッションの単調さ、農業パートの浅さ、操作の硬さといった批判がほぼ全レビューで挙がっていて、「コンセプトは最高なのに実装が追いついていない」という声が大半を占めています。メカアクションと農業シムの融合が癒やしになるか苦行になるかは、プレイヤーの好みによってかなり分かれるところです。
「墓堀りクレム」の贖罪劇が想像以上に刺さる
本作最大の功績は、間違いなく主人公クレムの描き方です。本名クレメンタイン・マッキニー。かつて護衛していた町を壊滅させてしまい、住民の死体を自ら埋葬したことから「墓堀りクレム」という不名誉な二つ名がついた女性です。酒に溺れ、悪態をつき、チェーンスモーカー。典型的なヒーローとはほど遠い、壊れた人間として描かれています。
彼女は日記を通じてプレイヤーに内面を語りかけます。ミッションの後に綴られるジャーナルは、時に長すぎると感じるほど内省的ですが、自己嫌悪や後悔、そしてそこからの回復過程がリアルに伝わってきます。あるレビュアーは彼女を「ゴミ溜めのような人間」と表現していますが、それは同時に「だからこそ応援したくなる」という文脈で使われているのがポイントです。
声優の演技も非常に高く評価されていて、クレムの疲弊しきった話しぶりが作品の雰囲気を支えています。パワーファンタジーではなく、地に足のついた再生の物語。ここに心を掴まれれば、本作の体験は大きく変わるかもしれません。
カントリーミュージックが流れる、荒野のメカ生活
レッドエクスパンスと呼ばれる舞台の雰囲気作りも見事です。アメリカ南西部の砂漠をベースにしつつ、巨大な変異生物やネオンのように発光する植物が点在する独特の世界観。昼間は赤土が広がる荒涼とした風景ですが、夜になると紫色のバイオ蛍光植物が輝いて幻想的な空間に一変します。
サウンド面ではカントリーやウェスタン調の楽曲が全体を彩っていて、ギターの音色が荒野の寂しさをしっかり強調しています。自宅のガレージにあるジュークボックスでお気に入りの曲を流しながらメカを整備したり料理をする時間は、殺伐とした戦闘とのコントラストとしてかなり効いています。開発元のDINOGODはこれが初のビデオゲームとのことですが、世界観の構築力だけは間違いなくプロの仕事です。
熱管理とガンキャンセル、メカ操作にはちゃんと奥がある
愛機Desert Raptor MKⅡの戦闘システムも、核となる部分はしっかりしています。最大の特徴は熱管理システム。武器を使えば機体温度が変動し、さらに昼夜の気温差や時間帯によっても上下します。オーバーヒートすればシステムダウンして無防備になり、逆に冷えすぎても凍結して動けなくなる。温度帯によって近接攻撃速度や射撃レートにバフがかかるトレードオフもあって、単なるゲージ管理にとどまらない駆け引きが生まれています。
武装もチェーンソーソード、パイルバンカー系の打撃武器、ショットガン、スナイパーライフルと多彩で、近接攻撃中に射撃を挟むガンキャンセルというテクニックも存在します。隙を消しつつリロードも同時に行えるので、慣れてくるとスタイリッシュなコンボが決まる。あるレビュアーは本作を「1200キロの鋼鉄を操っている感覚」と表現していて、メカの重量感自体は好評です。
敵には3つの装甲タイプがあり、対応する武器で叩くのが基本。ロードアウトを2セット切り替えられる仕組みもあるので、装備選びにはパズル的な面白さがあります。
じゃあ何がマイナスなのかというと
ミッションが同じことの繰り返しすぎる
本作で最も批判が集中しているのがミッション構造の単調さです。基本的にはバウンティボードで依頼を受けて、指定された狭いエリアに行き、敵を全滅させて帰ってくる。これの繰り返しです。
採掘場や野球場跡地など、同じマップに何度も出撃させられるため中盤以降は既視感がすごい。護衛や防衛といったバリエーションもほとんどなく、「特定のオブジェクトを壊す」か「敵を倒す」の二択がずっと続きます。さらにストーリーを進めるために重要度の低い依頼をこなして時間帯を経過させる必要があり、これがプレイ時間の水増しだと批判されています。あるレビュータイトルにあった「All hat, no cattle(帽子だけで牛がいない=見掛け倒し)」という西部劇の慣用句は、まさにこのゲームの構造的な問題を突いています。
農業パートはほぼ飾り
「メカ×農業」というコンセプトに惹かれた人には少し残念な話ですが、農業パートはかなり浅いです。水やりや餌やりは指定ポイントでボタンを押すだけ。『Stardew Valley』的なシミュレーション性は皆無と言っていいレベルです。
しかもゲームが進むとショップから素材を直接買えるようになるので、畑を耕す意味がどんどん薄れていく。戦闘の報酬も潤沢なので、農業で小銭を稼ぐ必要性そのものがなくなります。結果として農業は「雰囲気を出すための飾り」でしかない、という評価が大勢を占めています。鶏の世話や水汲みといった生活感のある要素そのものは好評なんですが、ゲームシステムとしての深みがないのは痛い。
操作の硬さと全体的な粗さが気になる
戦闘の手触りにも不満が出ています。特に近接攻撃がとにかく硬い。追尾性能が不安定で目の前の敵に攻撃がスカることがあったり、敵の被弾リアクションが薄くて手応えを感じにくかったり。重量感のあるメカを操作している感覚を出したいのはわかるんですが、操作性の悪さと紙一重になっている場面が多いです。
全体的な作り込み不足も指摘されています。会話シーンではキャラクターが棒立ちで表情に乏しく、緊迫した場面でも人形が喋っているように見える。カットシーンで効果音が抜けている場面もあったようです。また、カメラが右肩越しに固定で左肩に切り替えられない点、PC版のキーコンフィグが不十分な点など、細かいストレスが積み重なっています。インディー規模ゆえの限界とはいえ、もう少し何とかならなかったのかと思う部分です。
癒やしなのか苦行なのか、ジャンル融合への賛否
メカアクションと農業シムの組み合わせ自体については、プレイヤーの受け取り方が真っ二つに分かれています。
肯定派は、激しい戦闘の合間に訪れる農業パートを「口直し」として楽しんでいます。殺伐とした戦場から帰ってきて、鶏に餌をやり、シチューを作って食べるというルーチンがクレムの精神的な回復とリンクしていて、ゲーム全体に心地よいリズムを生んでいるという意見です。
否定派は、これを「二つの未完成なゲームを無理やりくっつけただけ」と切り捨てています。戦闘を楽しみたい人にとって農業は強制される退屈な雑用、農業シムを期待した人にはシステムが浅すぎる。どっちつかずの中途半端な体験にしかなっていない、と。正直なところ、どちらの言い分にも一理あるのが本作の難しいところです。
戦闘バランスについても意見が割れています。敵の装甲タイプに合わせた武器選択と熱管理を駆使する戦略性を評価する声がある一方で、序盤のショットガンや中盤のランチャーが強すぎて属性相性を無視してゴリ押しできてしまうという指摘も。じゃんけんシステムが用意されているのに、高火力でなぎ倒す方が早いとなると、仕組みが形骸化していると言われても仕方ありません。
メディアレビュー紹介
高評価メディア
GameBlast — 85 / 100
魅力的な主人公と西部劇の世界観が光るメカアクション。カスタマイズや拠点管理も直感的で楽しいが、ミッションの繰り返しや敵配置のバランスには改善の余地あり。
→ レビューを読むVideo Chums — 81 / 100
メカ戦闘と孤独な雰囲気の表現が秀逸。段階的に解放されるキャンペーン要素も好印象だが、環境のバリエーション不足と序盤の展開の遅さがネック。
→ レビューを読むDigital Chumps — 78 / 100
世界観と物語の深さが際立ち、メカカスタマイズのモチベーションも高い。ただし戦闘テンポの遅さやサイドミッションの反復感が体験を削いでいる。
→ レビューを読む
低評価メディア
GamingBolt — 50 / 100
独創的な設定とクレムの造形は魅力的だが、戦闘の浮遊感、単調なミッション、底の浅い農業要素が重なり全体的に消化不良。サウンドトラックだけは良い。
→ レビューを読むXboxEra — 55 / 100
声優の演技と音楽は素晴らしいが、緩慢な戦闘と単調すぎる家事作業、説明不足の進行システムが足を引っ張る。脚本の良さがゲームプレイに殺されている。
→ レビューを読むZTGD — 60 / 100
メカ×農場という斬新なアイデアと雰囲気は評価できるが、操作の硬さとミッションの繰り返し、二つのゲームプレイ要素の繋がりの薄さが致命的。
→ レビューを読む
まとめると
- 主人公クレムの贖罪を描く物語と声優の演技は文句なしの出来
- カントリーミュージックと荒野が織りなす世界観の雰囲気が抜群
- 熱管理やガンキャンセルなど、メカ操作の核には確かな奥深さがある
- メカのカスタマイズ性は高く、武器や装備の組み合わせを考える楽しさがある
- ミッション構造が極めて単調で、中盤以降は同じことの繰り返しになりがち
- 農業・拠点構築パートはほぼシステムとして機能しておらず雰囲気止まり
- 近接攻撃の硬さやUIの粗さなど、全体的な作り込み不足が目立つ
- メカ×農業の融合が癒やしになるか苦行になるかはプレイヤー次第
- ダッシュや回避に癖があり、戦闘操作の快適さには慣れが必要
- コンセプトの魅力は確かなので、今後のアップデートに期待したい作品
製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Bounty Star |
| ジャンル | メカアクション / 農業 / 基地建設 |
| 発売日 | 2025年10月23日 |
| 対応機種 | PS5 / Xbox Series X |
| プレイ人数 | 1人 |










