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ゲームが「クィアタイム」の概念をいかに表現し、プレイヤーに人生の節目との関係性を再考させるか、注目のゲーム作品から読み解く

2026年06月30日 | #ゲーム | Eurogamer

ゲームが「クィアタイム」の概念をいかに表現し、プレイヤーに人生の節目との関係性を再考させるか、注目のゲーム作品から読み解く

ゲーム業界では、近年ますます多様な視点やテーマが探求されており、その中でも「クィアタイム」という概念が注目を集めています。これは、従来の社会が定めた人生の節目や時間軸とは異なる、クィアな人々が経験する時間感覚を指すものです。ビデオゲームがこのクィアタイムをどのように表現し、プレイヤーに新たな体験を提供しているのか、いくつかの作品を例に見ていきましょう。

『Life is Strange』に見る時間操作とクィアタイムのメタファー

Don't Nodが開発したアドベンチャーゲーム『Life is Strange』では、主人公のマックスが時間を操る能力を持っています。彼女は時間を巻き戻したり早送りしたりすることで、会話の選択肢を変えたり、事故を防いだりすることができます。特に、親友であり恋愛対象でもあるクロエを何度も救うシーンは印象的です。マックスのこの能力は、単にゲームシステムとして機能するだけでなく、クィアな人々が感じやすい「失われた時間」や「出遅れた感覚」のメタファーとして解釈できます。クィアフォビアによって自分のアイデンティティを受け入れるのに時間がかかり、人生の始まりが遅れたと感じる人々の心情が、マックスとクロエの関係性を通じて繊細に描かれています。

多様な作品に描かれるクィアタイムの表現

クィアタイムをテーマにしたゲームは『Life is Strange』だけではありません。Dreamfeelが開発したビジュアルノベル『If Found...』では、トランスジェンダーの女性カシオの経験が描かれます。彼女は家族にアイデンティティを理解されず、時間に対するプレッシャーを感じています。作中でカシオの感情的な崩壊が、「ブラックホールの中では時間は存在しない。すべての瞬間が、過去と現在と未来が、一つの終わりのない叫びの中で押しつぶされる」というセリフで表現されるなど、時間の概念が深く掘り下げられています。

Gritfishのビジュアルノベル『Killing Time At Light Speed』もまた、クィアタイムの孤独感を表現しています。主人公のジェイは惑星間旅行に出ますが、地球では29年が過ぎる間に、ジェイにとってはわずか30分しか経ちません。ソーシャルメディアを通じて地球の友人たちと交流するものの、彼らが次々と人生の節目を迎え、新しいプラットフォームに移っていく中で、ジェイは取り残される孤独感を味わいます。

一方、Anna Anthropy氏のハイパーテキストゲーム『Queers In Love At The End Of The World』は、わずか10秒という短いプレイ時間で、終末世界におけるパートナーとの最後の瞬間を描きます。ここでは従来の直線的な時間軸が否定され、何度も繰り返される10秒のサイクルを通じて、プレイヤーは登場人物たちの関係性を深く探求することになります。

これらのゲームは、いずれも「終末」や「時間不足」といった要素を内包しており、限られた時間の中で登場人物たちが自分たちの存在と向き合う姿を描いています。クィアタイムという概念は、1980年代のエイズ危機を背景に、多くのクィアコミュニティの人々が時間との関係を再構築した経験から生まれたものです。ゲームを通じて、プレイヤーはクィアな視点から時間という概念を再考し、自分自身の人生の節目や時間との関係性を探求するきっかけを得られるでしょう。