2001年9月11日の同時多発テロがゲーム業界に与えた影響とは? ポストモダンゲームの台頭とその後のゲーム表現の進化を読み解く
2026年08月05日 | #ゲーム | DualShockers
2001年9月11日の同時多発テロ事件が、その後のビデオゲーム業界に大きな影響を与え、特にポストモダン的なストーリーテリングの台頭に繋がったとされています。この出来事は、ゲーム制作の現場に倫理的な配慮を促し、作品の内容や表現方法に大きな変化をもたらしました。当時の開発者たちは、テロ事件の犠牲者やその家族への配慮から、ゲーム内の表現を慎重に見直す必要に迫られたとのことです。
大作ゲームに起きた表現の変更
9月11日の同時多発テロ事件直後、多くのゲームで表現の変更や発売延期がありました。例えば、当時発売を控えていた『グランド・セフト・オートIII』は、警察車両の色がニューヨーク市警の車両に似ないよう変更されたほか、テロリストを連想させるミッションや不適切な会話が削除されたとされています。Rockstar Gamesの創設者であるサム・ハウザー氏とダン・ハウザー氏は、ゲームの発売中止すら検討していたとのことです。また、『Command & Conquer 2: Red Alert』のパッケージアートは、世界貿易センタービルに飛行機が衝突する描写があったため修正され、『スパイダーマン2 エンターエレクトロ』も、ツインタワーの画像を削除するために発売が延期されたとされています。これは業界全体が、ゲームがこれ以上の精神的苦痛を与えないよう、細心の注意を払っていた状況を示しています。
ポストモダンゲームの台頭
9月11日の同時多発テロは、ゲームにおけるポストモダン的な表現の台頭にも繋がったと見られています。ポストモダンとは、伝統的な物語のスタイルや手法を解体しようとする作品を指し、メタストーリーテリング、信頼できない語り手、そして真実の基盤を揺るがすキャラクターなどが特徴です。このスタイルの最も顕著な例として挙げられるのが『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』で、この作品も同時多発テロの影響を大きく受けました。小島秀夫監督と開発チームは、アーセナルギアがニューヨークに墜落するシーンや、摩天楼に映る世界貿易センタービルを削除することに奔走したとのことです。『サンズ・オブ・リバティ』は、シミュレーションやバーチャルリアリティといったテーマを核に据え、ゲームそのものが持つ「物語であること」を意識させるような表現が随所に散りばめられています。この作品がきっかけとなり、『Killer7』や『BioShock』といった、同様の物語スタイルを持つゲームが続々と登場したとのことです。
現代におけるポストモダンゲームの進化
2000年代後半から2010年代にかけて、ポストモダンゲームはさらに進化を遂げました。『Spec Ops: The Line』は、戦争の恐怖をゲームという枠組みの中で探求し、ゲームにおける暴力のあり方を問いかける作品として高い評価を受けています。『Portal』とその続編『Portal 2』も優れたポストモダン作品として知られ、プレイヤーの旅が、伝統的なストーリーテリングを拒絶するかのような破壊的なAI、GLaDOSによって複雑にされる点が特徴です。GLaDOSはプレイヤーの存在を敵対的なゲームとして扱い、その続編では企業の過剰な介入への皮肉が強調されています。
2010年代から2020年代にかけては、『NieR:Automata』、『The Stanley Parable』、そしてその名も『YIIK: A Postmodern RPG』といった作品が、ポストモダンゲームの典型として登場しました。これらの作品は、物語の枠組みを問い直し、プレイヤーに深い考察を促すものとなっています。同時多発テロという悲劇が、ゲーム業界における表現の多様化を促し、今日の豊かなゲーム文化に繋がった側面もあるとのことです。