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『グランド・セフト・オートIII』が現代オープンワールドの原型を築いた理由

2026年08月28日 | #レビュー | IGN

『グランド・セフト・オートIII』が現代オープンワールドの原型を築いた理由

2026年の視点で振り返ると、『グランド・セフト・オートIII』は遊びやすさに多くの古さを感じさせながらも、オープンワールドアクションの基本形を決定づけた作品だったことが分かります。運転、銃撃、物語、探索をひとつの3D空間にまとめ上げた設計は、後続作が改良を重ねるための土台になりました。原文筆者は、現在プレイすると不便さが目立つ一方、2001年当時に本作が成し遂げた革新性は今なお特別だと評価しています。

3D化でシリーズの立ち位置を一変

1990年代のGTAシリーズは、見下ろし視点の街を舞台に、自由に動き回れるサンドボックス型のゲームとして支持を集めていました。しかし当時は、3D空間を活用したゲームが広がり始めた時期でもあり、従来のトップダウン方式は新しい時代の表現と比べると古く見えつつありました。そこへ2001年に登場した本作は、シリーズを完全な3Dオープンワールドアクションへと作り替えます。

前作GTA 2には、実写映像を使った印象的な導入ムービーがありました。ニューヨークを思わせる荒々しい街と犯罪映画のような雰囲気を描いていたものの、ゲーム本編は準未来的な世界観で、その映像とはあまり結び付いていませんでした。本作は、そのムービーからプレイヤーが期待した世界を、2年後に実際のゲームとして提示した作品だったと原文筆者は説明しています。

本作の舞台は、初代GTAから続くニューヨークのイメージを受け継いだLiberty Cityです。前作にあった、風変わりなラジオCMやエルヴィス・プレスリーへのこだわり、任意で選べるトップダウン視点などは残されています。一方で、時代設定が曖昧な世界やレトロフューチャーな車両は切り捨て、現代的で現実感のある都市と乗り物へ方向転換しました。この判断によって、犯罪映画の舞台に入り込むような本作独自の感覚が生まれています。

Liberty Cityそのものが主役に

本作にはFrank Vincent、Michael Madsen、Joe Pantoliano、Robert Loggia、Michael Rapaport、Kyle MacLachlan、Debi Mazarら、犯罪映画で知られる俳優が多数参加しています。それでも、彼らが演じるキャラクターがゲーム全体の主役として強く印象に残るわけではありません。主人公は台詞を話さず、周囲の登場人物も大きく分類された単純な犯罪者像にとどまっています。原文筆者は、結果的に最も存在感を放つキャラクターはLiberty Cityそのものだと見ています。

街はストーリーの進行に合わせて3つの地区へ分かれていきます。序盤のPortlandは、薄汚れた工業地帯といかがわしい歓楽街が特徴です。次に訪れるStaunton Islandはマンハッタンを思わせる商業地区で、高層ビルが並び、中央には緑の多い公園があります。最後のShoreside Valeは、空港やダムを抱える郊外の住宅地です。

3地区はそれぞれ異なる景観を持ちますが、完成度には差があります。Portlandには荒々しい個性があり、Staunton Islandには建物が密集した都市らしさがあります。それに対してShoreside Valeは、前2地区ほどの密度や特徴がなく、移動した際の変化がやや物足りません。原文筆者は、飛行が難しいことで知られるDodoが登場する点には触れつつも、3つの地区の中では最も印象が弱いとしています。

現代の基準では、Liberty Cityの規模は後年のGTA IVや近年のオープンワールド作品と比べてかなり小さく見えます。しかし2001年当時、この街はそれまでに見たことのない種類のゲーム世界でした。立ち止まっていても交通が流れ、歩行者が行き交い、時間が昼から夜へ変わり、晴天が雨へ移り変わります。現在では珍しくない要素でも、街がプレイヤーの操作とは無関係に動き続ける感覚は、当時としては非常に新鮮でした。

自由な移動と、現代では厳しい操作性

本作では、運転パートとアクションパートが別々のステージに分けられていません。徒歩でも車でも同じマップを移動し、ミッション中に特定の車を要求される場面を除けば、どの車両に乗るか、どの道を進むかをプレイヤーが決められます。ゲーム内に明確な「レベル」が並ぶのではなく、1つの都市を舞台に行動の自由を優先する構造です。

この仕組み自体は、現在のオープンワールドゲームでは一般的になりました。しかし当時は、PlayStation 2の性能によって、トップダウン視点の混沌とした犯罪劇を、プレイヤーがその場にいるような3D体験へ変えたことに大きな意味がありました。玩具の車を上から動かすような距離感ではなく、車を運転して街を突き進み、事故や銃撃に巻き込まれる世界として成立していたのです。

運転操作は、後年のシリーズ作品よりも車体が滑りやすく、浮いているような感触があります。派手なJターンを安定して決められるほどの重量感や慣性はありませんが、原文筆者は2026年に遊んでも十分に受け入れやすい操作性だとしています。過去25年間に発売されたオープンワールドのアクション・ドライビングゲームの中には、本作よりも反応が過敏で、操作が粗雑で、内容が表面的に感じられる作品も少なくないとのことです。

車に乗ることには、移動手段以外の意味もあります。車内ラジオでは、奇妙なCMやChatterbox FMの個性的な電話出演者を楽しめます。シリーズを象徴するラジオの存在は、本作の街にユーモアと生活感を加える重要な要素でした。犯罪や銃撃を扱う重い世界観の中に、突拍子もない放送を差し込むことで、Liberty Cityは単なるミッションの舞台ではなく、何気なく滞在したくなる場所になっています。

一方、三人称視点の銃撃戦は、発売当時から本作の弱点とされていた部分です。自由に照準を動かせる武器は、M16系アサルトライフル、ロケットランチャー、スナイパーライフルに限られ、それ以外の武器はオートロックに頼ることになります。敵を優先して狙うとは限らないため、激しい銃撃戦では、攻撃している敵ではなく近くの一般人や味方、救急隊員へ照準が移ってしまうことがあります。

この仕様は、現代の基準ではかなり苛立たしい問題です。原文筆者は、敵との戦闘中に照準が意図せず別の対象へ移り、その結果として長い距離を再び移動することになった経験を紹介しています。また、ミッションにチェックポイントが存在しないため、失敗すると開始地点まで戻って最初からやり直さなければなりません。遠くから敵を少しずつ倒す、安全で効率的な方法を選びたくなる設計であり、街中で自由に暴れ回るゲーム性とは相性がよくありません。

後続作が受け継いだゲームデザイン

本作は大きな論争を巻き起こした作品でもありましたが、その影響もあってか商業的には極めて大きな成功を収めました。累計販売本数は1450万本を超え、そのうち1160万本がPS2向けです。PS2では、最終的に同ハードで5番目に売れたゲームになったと原文は伝えています。

ただし、本作の重要性は販売本数だけでは測れません。広大な探索可能エリアにミッションを配置し、寄り道要素を用意し、多様な車両を登場させ、街を歩く多数のNPCやラジオ局を配置する。さらに、プレイヤーが世界へ干渉すれば、警察や住民などから反応が返ってくる。本作がまとめ上げたこの構造は、現在のオープンワールド作品に通じる基本モデルになりました。

True Crime、Saints Row、Watch Dogs、Sleeping Dogsなど、その後の作品は、本作が作り上げた考え方を借用したり、別の方向へ発展させたりしています。もちろん、本作もそれ以前のゲームから影響を受けています。RockstarのSam Houserは当時、本作を「ゼルダの伝説とGoodfellasを組み合わせたもの」と説明していました。オープンワールドやドライビングゲームの流れが、本作の登場を待って初めて始まったわけではありません。

Driver 2の発展形としてDriver 3が登場することは予想できましたし、Mafiaは1998年末から開発が進められていました。The Getawayも、もともとは初代PlayStation向け企画として始まり、後にPS2用へ移行しています。つまり、3Dの運転ゲームに徒歩でのアクションを組み合わせる試みは、本作以前から存在していました。

それでも原文筆者は、運転、アクション、物語、探索をこれほど勢いよく結び付けた作品は、当時ほかに見当たらないと評価しています。本作の成功は偶然ではなく、プレイヤーが抗いがたいと感じる公式を見つけ、ひとつの作品として成立させた結果でした。そのため、本作は25年にわたって同ジャンルの基準であり続けています。

古さを抱えながらも失われない意義

原文筆者は、2026年にオリジナル版を遊ぶ場合、ミッションマーカーへ自力で戻り、失敗時に最初からやり直す仕組みが大きな負担になると結論付けています。自由な世界を舞台にしているのに、実際のプレイでは慎重で保守的な行動を促されます。銃撃の照準も扱いにくく、無口な主人公を含めて登場人物はシリーズの中でも印象が薄い部類です。

初期の3D作品同士で比べても、Vice Cityにはより強いスタイルと勢いがあり、San Andreasには大幅に広がった規模とスコープがあります。しかし、それらは本作を改善した作品ではあっても、本作そのものではありません。後続作がどれだけ洗練されても、最初に3Dの都市へプレイヤーを放り込み、現在につながる遊び方を成立させた事実は変わらないからです。

本作は、現代のオープンワールドゲームを構成するすべての要素を最初に発明したわけではありません。それでも、複数の要素をひとつの動的な都市に統合し、プレイヤーが世界を歩き回り、乗り物を奪い、ミッションを選び、騒ぎを起こす体験として提示しました。原文筆者は、本作がGTAシリーズの方向性だけでなく、ゲーム業界そのものを変えた作品だと位置付けています。オープンワールドとは何かを示しただけでなく、それが何になり得るのかを示したゲームだった、という評価です。