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『Fury of Dracula』第5版は新要素を加えた緊張感ある追跡ゲーム

2026年09月05日 | #レビュー | IGN

『Fury of Dracula』第5版は新要素を加えた緊張感ある追跡ゲーム

ドラキュラと吸血鬼ハンターの追跡劇を描くボードゲーム、Fury of Draculaが第5版として復活しました。基本システムは過去の版を受け継ぎながら、5人目のハンターや短時間で遊べる新モードを追加しています。一方で、原文筆者はアートワークについて、過去の版から後退したと厳しく評価しています。

ドラキュラを追う非対称のかくれんぼ

本作は、1人がドラキュラ、最大4人が吸血鬼ハンターを担当する1対多のボードゲームです。ドラキュラはヨーロッパの地図上を移動し、現在地と過去の移動先をロケーションカードで伏せたまま記録します。ハンター側はその痕跡をたどり、逃走先を予測しながらドラキュラを追い詰め、最後には討伐を目指します。

1ラウンドは昼と夜に分かれて進行します。ハンターは移動するだけでなく、道具やイベントカードを入手したり、移動用のチケットを購入したり、怪しい場所を調査したりできます。昼の行動は比較的安全ですが、夜に補給を行うと、ドラキュラを利する危険なイベントが発生する可能性があります。安全に準備を整えるか、危険を承知で手がかりを求めるかという判断が、追跡の流れを左右します。

ハンターが夜の行動を終えると、ドラキュラが次の場所へ移動します。ドラキュラは移動先のカードに加えて、そこへ仕掛ける遭遇カードも伏せて配置します。遭遇カードの内容は、敵を出現させるもの、ハンターの移動を妨害するもの、追跡を別方向へ誘導するものなどさまざまです。ハンターがその場所を調査するまで内容が分からないため、単に移動先を探すだけでなく、過去の道筋にどんな危険が残されているかも考えなければなりません。

遭遇カードが一定の条件を満たしてボード上から押し出されると、それは「成熟」した状態となり、絶望トラックが上昇します。絶望が限界に達すればドラキュラの勝利です。そのため、ハンターはドラキュラを直接追うだけでは不十分で、放置された遭遇カードが勝利条件に近づく前に処理する必要があります。ドラキュラ側にとっては、追跡から逃れながら各地に危険を残し、ハンターが対応に追われる状況を作ることが重要になります。

単純な戦闘が生む読み合い

本作は移動と探索だけでなく、ドラキュラとハンターが接触した際の戦闘も特徴です。戦闘では双方が手札から行動や装備に関するカードを選び、同時に公開して効果を解決します。ハンター側には聖なる弾丸やピストルなどのカードがあり、ドラキュラ側にも攻撃や逃走につながる選択肢があります。

ルール自体は複雑ではありませんが、原文筆者はこの仕組みが極めて緊張感のある場面を生み出すとしています。相手が逃げると読んで攻撃を選ぶのか、逆に攻撃を警戒して防御や離脱に備えるのか。カードの選択を誤れば、あと一撃で倒せるドラキュラを取り逃がすだけでなく、反撃によってハンターが倒されることもあります。

原文筆者は、ドラキュラが瀕死の状態で逃走すると予想したところ、相手が攻撃を選び、ハンターを戦闘不能にしたという印象的な経験を紹介しています。その敗北によって絶望トラックが限界を超え、ドラキュラの勝利が決まったとのことです。本人にとっては非常に腹立たしい結末でしたが、こうした予想の裏切りこそ、単なる追いかけっこではない本作の魅力だと評価しています。

純粋な隠された移動のゲームでは、追う側と逃げる側の位置取りが中心になります。本作ではそこに戦闘時の心理戦が加わるため、ドラキュラを発見した瞬間が必ずしもハンターの勝機になるとは限りません。追い詰めた側が最後の判断を誤れば、一気に形勢が変わります。原文筆者は、この戦闘の存在が本作を他の同ジャンル作品と分ける要素だと見ています。

第5版で追加された2つの遊び方

第5版では、既存のルールを大きく作り替えるのではなく、経験者向けの変化として新たなハンターと短時間モードを加えています。過去の版を知っている場合、Fantasy Flight Gamesの第3版やWizKidsの第4版とゲームの土台はおおむね共通しているとのことです。

新たに選択できるハンターはJonathan Harkerです。以前は味方カードとして登場していた人物ですが、第5版では他のハンター1人と入れ替えて、プレイヤーが操作できるようになりました。ドラキュラに攻撃を命中させた際に追加ダメージを与えられるほか、Minaと同じように、隣接する場所にJonathanがいるかどうかをドラキュラに宣言させる能力を持っています。追跡に直結する能力が多く、ハンター側の手がかり集めを強化する存在です。

ただし、原文筆者はJonathan Harkerを完成度の高い追加要素とは見ていません。ほかのハンターと異なり、専用のイベントカードが用意されておらず、入れ替えたハンターのイベントカードをそのまま使用します。また、JonathanとMinaの両方を登場させると、2人の追跡能力によってドラキュラの逃走がかなり難しく感じられたとしています。追加要素としては楽しめるものの、毎回使う予定はなく、通常の編成を選ぶことが多くなりそうだというのが原文筆者の見解です。

もう1つの追加要素は、プレイ時間を短縮するための新モードです。本作はゲームによっては4時間を超えることがある一方、このモードでは通常のゲームの途中、およそ1週間が経過した時点に近い状態から始めます。マップの一部地域を使用できない状態にし、ハンターには開始時からいくつかのアイテムを与え、ドラキュラにはダメージを負わせ、絶望トラックもある程度進めます。さらに、水上移動を即時に処理し、価値が1つだけの列車チケットをなくすなど、複数のルール調整が行われます。

原文筆者は、この短時間モードを平日の夜でも遊びやすくする実用的な選択肢と評価しています。通常より狭い地域で始まることや、水上移動の変更によって、ドラキュラは隠れ続けるのが難しくなります。展開が大きく振れやすい面もあるため、Jonathan Harkerと同様に、バランス調整がどの程度行われたのか気になるとしています。それでも、4時間級のゲームを短時間で遊びたい場合に、選択肢が増えた点は第5版の大きな利点です。

アートワークは過去の版から方向転換

第5版では、ゲームシステムだけでなく外観も刷新されています。マップには、ブラム・ストーカーの小説で重要な意味を持つWhitbyが新たに含まれました。一方で、原文筆者が最も大きな変更と見ているのは、カードやキャラクターのビジュアルです。

ドラキュラのロケーションカードを除き、イベントカード、遭遇カード、アイテムカード、戦闘カードは、過去の版にあった劇的で情報量の多いフルカラーイラストから、ビクトリア時代の新聞に載っていそうなモノクロの挿絵風デザインへ変更されました。新しい方向性そのものが機能していないわけではないものの、原文筆者は以前のイラストが持っていた迫力を失っており、一部は安っぽく見えると批判しています。

たとえばDark Callのカードでは、ドラキュラが月を見上げ、その前を数匹のコウモリが飛ぶ構図になっています。過去の版では、嵐の空を背景に、大量のコウモリに囲まれながら夜をたたずむような姿が描かれていたため、新版の表現はより単純に感じられるとのことです。Misdirectのカードも、以前の霧の中に潜むシルクハットの謎めいた人物ではなく、アニメ版Batmanのように見えるデザインになったと評されています。

ハンターとドラキュラのキャラクターカードも、従来の肖像画からセピア調の写真へと置き換えられました。原文筆者は、吸血鬼を写真に撮れるのかという疑問を冗談交じりに挟みつつも、全体として新版のアートが旧版の魅力を上回っているとは感じていません。ゲームのルールを遊ぶうえで致命的な問題ではありませんが、所有欲や作品世界への没入感に関わる部分だけに、過去の版を知るファンほど気になる変更になりそうです。

第5版の評価

本作は出版社が何度も変わってきたタイトルで、WizKidsが手がけた最後の版は2021年のものでした。その後、ライセンスを失ったことで流通している旧版の価格が中古市場で上昇したと原文は説明しています。第5版は、入手しづらくなっていたこのゲームを再び遊べる形にした点でも意味があります。

原文筆者は、Jonathan Harkerや短時間モードが絶対に必要な追加要素だとは考えていません。また、アートワークについては明確に過去の版より後退したとしています。それでも、ドラキュラの位置を隠しながらハンターを翻弄し、ハンター側は限られた情報から追跡を続けるという中核部分は、現在でも強い緊張感と戦略性を保っています。偶然や読み違いによって、納得しがたいほど悔しい敗北を味わうこともありますが、その理不尽さを含めて魅力だと評価されています。

隠された移動を扱うゲームが好きな人、旧版を傷めることなく遊び続けたい人、そして超自然的な追跡劇をテーマにしたゲームを探している人にとって、第5版は有力な選択肢です。追加要素やビジュアルには賛否があるものの、ドラキュラとハンターがヨーロッパを舞台に繰り広げる駆け引きそのものは、今なお本作の中心的な価値だと原文筆者は結論づけています。