PlayStationのディスク生産は2028年に90%減ではなく10%減へ
2026年09月06日 | #その他 | Eurogamer
PlayStationの物理ディスク生産が2028年に「10%まで縮小する」と報じられていた件について、Sony Digital Audio Disc Corporation(DADC)が誤解だったと説明しました。実際には、2028年の全体的な製品量が10%減少する見込みだとしています。物理版の行方をめぐる不安が広がるなか、ソニーは生産縮小の規模を明確にした形です。
2028年の生産量は「10%減」
今回の混乱は、DADCの責任者Dietmar Tanzer氏が7月にオーストリアの放送局で語った内容が、PlayStation向けディスクの生産量が現在の10%にまで落ち込むという意味で受け取られたことから生じました。報道機関GameがDADCに確認したところ、広報担当者は「誤解を招く情報を避けるため明確にすると、Dietmarが予測したのは製品全体の数量が10%減少することであり、10%まで減ることではありません」と説明しています。
ただし、DADCは2028年以降に生産量がどう推移するのかについては説明していません。ディスクの追加発注に関する質問についてはPlayStation側の広報担当に問い合わせるよう案内しましたが、Gameの問い合わせには回答がなかったとのことです。
ソニーは7月、新作ゲームの物理ディスクを2028年1月以降は生産しない方針を発表しています。一方で、すでに発売されているタイトルや、2028年1月より前にディスク版の発売が予定されている作品は対象外です。既存タイトルについては、その後も追加発注が続けられるとされています。今回のDADCの説明は、こうした方針と、ディスク生産全体が90%削減されるという報道が混同されたものとみられます。
デジタル移行で再販市場にも影響
Microsoftは、出版社との契約に基づいて第三者の「Authorised Replicators」にXbox向けディスクの製造を認めています。これに対してソニーは、製造工程を外部工場に開放せず、DADCを通じて自社で管理してきました。そのため、2028年以降に新作の物理版を作らない方針が、単なる生産拠点の変更ではなく、PlayStationにおける物理ソフトの流通そのものに影響する可能性があります。
Niko PartnersのアナリストDaniel Ahmad氏は、ディスクの削減によって中古販売市場が事実上なくなり、消費者の支出が小売店での販売からPlayStation Storeへ移ると指摘しています。デジタル販売では、パッケージ版の小売販売よりソニーの利益率が高いとされており、今回の方針は販売コストや収益構造を重視した判断とも受け取れます。
一方、物理版には購入後に売却できることや、パッケージを手元に残せること、限定版の特典を集められることなど、ダウンロード版にはない価値があります。ディスクがなくなれば、購入したゲームを他人に譲ったり中古市場で売却したりする選択肢も失われます。ゲームを「所有する」とは何を意味するのかという問題が、今回の方針によって改めて浮かび上がっています。
Shawn Layden氏がブランドへの影響を懸念
元SIE Worldwide Studios会長のShawn Layden氏は、ディスクのない将来について「気が滅入るが、解決できる問題だ」とGameに語っています。ただし、物理版を継続するためのライセンス契約などが実現する可能性については、現時点で具体的な見通しを持っていないとのことです。
Layden氏は、カセットテープやレコード、紙の本が消滅すると予測されながら現在も残っている例を挙げ、物理メディアが完全に消えるとは限らないと指摘しました。ゲームについても、プレイヤーにとって収集は重要な文化だとし、Crash Bandicootでダイヤを集めたり、Marioでスターを集めたりする感覚と同じように、ゲームそのものや関連商品を集める行為が楽しみの一部になっていると説明しています。
特に、スチールブック、複数枚組のFinal Fantasyセット、フィギュアなどを含むコレクターズエディションは、デジタルデータだけでは置き換えられません。Layden氏は「ゲームを2本買い、1本はシュリンク包装のまま保管して、もう1本を遊ぶ人もいる」と述べ、物理版を集めるユーザーの存在を強調しました。
また同氏は、物理版をなくす判断を財務上の計算だけで評価すべきではないとしています。収益が増えるとしても、ブランドへの影響を検討する必要があり、ユーザーが「良い判断だ」と受け止めるのか、それとも企業への反感を強めるのかを考えなければならないとのことです。企業の判断によって短期的な収益が得られても、ブランド価値が大きく下がる可能性があると警告しています。
代替策とユーザーの反発
コレクターズエディションで知られるパブリッシャーiam8bitは、物理版のPlayStationゲームを作り続ける方法を見つけたいとGameに伝えました。記事では、2025年に設立され、UniversalおよびWarner Brosのホームエンターテインメント販売部門SDSを買収したメンフィス拠点のディスク製造会社Conectiv Supply Chain Solutionsも、将来的な選択肢の候補として触れられています。ただし、Gameは同社と最高経営責任者から回答を得られなかったとしています。
ソニーの方針には、ユーザーからすでに強い反発が出ています。State of PlayのYouTube配信では、配信開始から終了までライブチャットに「NO DISC NO BUY」「WE WANT DESTINY 3」といったメッセージが大量に投稿されました。TwitchでもDestiny関連のエモートや、物理版を求める投稿が繰り返されたとのことです。
この反応には、物理ゲームの終了方針だけでなく、BungieによるDestiny 2への大規模なサポート終了と人員削減への不満も重なっています。今回の騒動は、ディスク生産の数字をめぐる誤解に加え、デジタル販売への移行とDestinyシリーズをめぐる問題という、複数の批判が同時にソニーへ向けられている状況を示しています。