選択が本当に意味を持つゲーム3選 物語の分岐を超えてプレイヤーの行動まで変える作品
2026年09月06日 | #ゲーム紹介 | Polygon
ゲームの選択肢というと、分岐した物語の先にあるエンディングの数や、登場人物の生死が注目されがちです。しかし、選択の意味は大きな結末だけで決まるものではありません。原文筆者は、プレイヤーの判断がキャラクターの人格や見える世界、さらには次に起こる出来事を予測できない状態まで変えてしまう3作品に注目しています。
3位 選択によって主人公を演じるZero Parades: For Dead Spies
Zero Parades: For Dead Spiesは、選択がストーリーの展開だけでなく、主人公がどのような人物として行動するかまで形作る作品です。主人公のハーシェルは元スパイで、壊滅的な出来事の後に解任され、昏睡状態の人物とともに部屋に取り残されています。自分がなぜそこにいるのかも分からないまま、舞台となる架空の町ポートフィロで起きている危険な計画を探り、場合によっては自分自身の救済を目指すことになります。
本作には、説得や知識といった一般的なCRPG風の能力値や判定があります。ただし、それらは鍵を開けたり、相手をだましたりするためだけのものではありません。会話で特定の能力値が高ければ、通常とは異なる判定に成功し、事件に対する新しい見方や別の情報にたどり着けます。新たな物語の道筋が開くこともあれば、設定や背景をより深く知るだけで終わることもありますが、原文筆者は本作の優れた文章によって、その追加情報さえも新しい展開を見つけたときと同じほど価値があると評価しています。
さらに、精神状態に関わる能力値が物語の進行そのものを危険にさらします。たとえば、妄想の数値が上がると、同じ妄想を共有する酔った実業家と親密になるような展開へ進むことがあります。しかし、その数値が最大まで上昇すれば主人公は死亡します。疲労や不安も同様に、単なる会話の補正値ではなく、行動の結果を左右する危険な要素です。
そのため、極端な選択ばかりを重ねるのではなく、比較的穏当な判断とのバランスを取る必要があります。もっとも、本作は選択を失敗として処理して終わらせるのではなく、ほぼどのような判断にも「それなら次に何が起こるか」を用意しています。間違った判断が致命的な結果につながっても、そこで完全に行き止まりになるとは限りません。ただし、その先は当初想定していたものとは大きく異なる道になる可能性があります。
正解が分からないまま、その場の判断に頼って進むしかない状況は、主人公ハーシェル自身の立場と重なります。原文筆者は、選択肢を通してプレイヤーにキャラクターの内面や不安定さを体験させる点で、精神的な後継作とされるDisco Elysiumさえも含め、ここまで徹底した作品はほかに思い当たらないとしています。
2位 同じ結末でも意味が変わるSlay the Princess
Slay the Princessは、プレイヤーの行動が予想外の形で物語を広げていく作品です。プレイヤーは勇敢な戦士として、森の小屋に入り、地下室に閉じ込められた王女を殺すよう命じられます。語り手は、王女は人間ではなく、無害な少女の姿を借りた危険な怪物だと説明しますが、その情報を信じるかどうかも含めて、判断はプレイヤーに委ねられます。そもそも小屋に入らないという選択さえ認められており、そこから別の物語の枝が始まります。
選択が重要なゲームについて語るとき、話題は何種類のエンディングがあるかに向かいがちです。もちろん本作にも多くの分岐が存在しますが、原文筆者が評価しているのは、最終的な結末だけでなく、そこに至る各ルートの内容がそれぞれ異なる点です。同じ結末にたどり着く道であっても、王女の正体、プレイヤー自身の認識、状況を説明する語り手の存在など、新しい側面が浮かび上がります。
本作でプレイヤーを導くのは、明確な正解や能力値ではありません。過去のやり取りから得た印象と、その場の直感をもとに判断します。たとえば、ある周回で王女に無残に殺されれば、次の周回では彼女の無実を訴える言葉を信じにくくなります。プレイヤーが得た経験そのものが、次の選択に影響する仕組みです。
この構造によって、単に「誰が生き残るか」「どのエンディングに到達するか」を選ぶだけでは生まれない緊張感が生まれています。異なるルートは、結果を変えるための手段というだけではなく、同じ状況を別の角度から見直す機会でもあります。分岐の多さと、各ルートで明らかになる事実の変化を両立させていることが、本作の選択を印象的なものにしています。
なお、同じBlack Tabby Gamesが手がけるScarlet Hollowにも触れられています。原文筆者は、同作についても独特のホラー表現や文章、アート、ロマンスへの新しい取り組みを評価していますが、5つの大規模なチャプターが公開されている一方で、まだ完成していないため今回の3作品には含めていません。
1位 1つの判断がすべてを壊すThe Hundred Line: Last Defense Academy
1位に選ばれたThe Hundred Line: Last Defense Academyは、選択肢の数そのものは多くありません。しかし、プレイヤーが選んだ1つの行動に、極端なまでの影響力を持たせています。物語の序盤では、ぬいぐるみのような姿をした殺人モンスターが東京を襲い、子どもたちが奇妙な学校へ連れ去られます。彼らを救った幽霊のような存在が校長兼軍司令官となり、生徒たちは授業の代わりに、超能力を与える血の魔法を使って敵と戦うことになります。
最初の約30時間、物語は分岐せずに直線的に進み、いったんゲームが終わったように見えます。ところが、最初からやり直す段階で、出来事の流れを変える選択が可能になります。そこで示されるのは、単に別の会話を読む程度の変化ではありません。たった1つの行動が物語全体を変え、学校にいる人物たちの人生や進む道まで変化させます。しかも、その結果が必ずしも良い方向に働くとは限りません。
本作には100種類のエンディングがあり、公式の正史にあたる結末は設定されていません。深刻で悲惨な展開だけでなく、「ユーモア」に分類された一連のルートにある突拍子もない結末も、同じように成立する物語として扱われます。原文筆者は、場合によっては冗長に感じられるユーモアのルートもあるとしつつ、誰が生き残るのか、誰が死ぬのか、幸福な結末になるのかという従来の関心が、やがて「次に何が起こるのか分からない」という感覚に置き換わる点を特徴として挙げています。
通常の分岐型ゲームでは、選択によって結果をある程度コントロールできることが期待されます。しかし本作では、プレイヤーが選ぶことと、何が起きるかを支配することが切り離されています。重大な選択をしたのはプレイヤーでも、その先で誰が傷つき、どんな展開に転ぶのかは予測できません。原文筆者は、この予想を裏切る設計によって、ゲームとプレイヤーの関係を大きく変えている点を高く評価し、3作品の中で最も優れた例として位置づけています。