『Hot Wheels Infinite Rush』が描く4つの島は子どもの空想を巨大な遊び場に変える
2026年09月06日 | #レビュー | DualShockers
『Hot Wheels Infinite Rush』が注目を集める理由は、ミニカーを使ったレースゲームの枠を超え、子どものころに思い描いた「ホットウィール専用の世界」をそのまま遊び場にしている点です。4つの島を舞台に、150台以上の車両、極端なスピード感、収集要素、自由度を高めたトラックビルダーを組み合わせています。原文筆者は、進行の深さや長期的なコンテンツには物足りなさを感じつつも、シリーズの魅力を大規模に再現した作品だと評価しています。
4つの島に広がるホットウィールの世界
本作の舞台は、Wheelswood、Tentacle Bay、Gearville、Drifty Templesという4つの島です。それぞれ異なるテーマと景観を持ち、都市のようなインフラに巨大な生物の模型や奇妙なオブジェクトが組み合わされています。現実の街を舞台にコースを敷くのではなく、最初から最後までミニカーのために作られたテーマパークへ放り込まれる構成です。
原文筆者は、この世界を一般的なオープンワールドというより、「大量のホットウィールとトラックのパーツを床に広げ、そこへ命を吹き込んだもの」に近いと表現しています。建物や道路のスケール感に対して車体が極端に小さく、周囲にはループ、ジャンプ、障害物、派手な仕掛けが並びます。各島を走り回るだけでも、現実には存在しないミニチュアのテーマパークを眺めているような感覚を味わえるとのことです。
この方向性は、実在する車やコースを精密に再現するタイプのレースゲームとは大きく異なります。ホットウィールの魅力は、小さな車をオレンジ色のレールへ乗せ、ジャンプや爆発、巨大な生物の模型に向かって走らせる想像力にあります。本作はその魅力を、単なるレースコースの装飾ではなく、世界全体の設計思想として押し広げています。原文筆者にとっては、子どものころに床へトラックを組み、車を走らせていた記憶を、ひとつのゲーム世界として再現した点が最大の評価ポイントです。
4種類の車両クラスと収集要素
本作には発売時点で150台以上の車両が収録され、Speeders、Drifters、Titans、Versatilesの4クラスに分類されています。クラス分けは単に最高速度や加速力の数値を変えるだけではなく、ブーストの使い方やコーナーでの操作感そのものに影響します。
Speedersは速度維持を重視した車両です。高いスピードを保つことでブーストを活用しやすく、直線を多く含むレースで力を発揮します。Driftersは名前の通りドリフトを軸にしたクラスで、コーナーを滑らかに抜けながらブーストを再充填できます。Titansは最高速の一部を犠牲にする代わりに、強いパワーを備えています。Versatilesはその中間に位置し、特定の性能に尖らない扱いやすさが特徴です。
クラスごとの差は、破壊可能な障害物への対応にも表れます。Titanは障害物を押しのけて進めるため、進路を遮られて速度や視界を失う場面で有利です。一方、Drifterは正確なスライドを維持できるプレイヤーほど性能を引き出せます。操作自体は比較的入りやすい一方、経験を積んだプレイヤーにはクラスごとの違いを使い分ける余地が残されています。
活動内容によって有効な車両が変わるため、気に入った1台だけでゲーム全体を進める設計ではありません。通常のレースで強い車が、タイムアタックでは扱いにくく感じられる場合もあります。イベントによっては特定のクラスが指定されることもあり、状況に合わせた車両選びが求められます。探索中はRush Squadを編成し、選んだ車をいつでも切り替えられるため、車両変更の制約は比較的少なくなっています。
車両をアンロックした後は、アップグレードによって操作感を多少調整できます。システムは決して深いものではないものの、プレイヤーの得意な操作や走り方に合わせて車を整えられる仕組みです。さらに、収録車両にはホットウィール独自のデザインだけでなく、実在する自動車をモデルにしたものも含まれています。各島のDaredevilレーサーを倒しながら車を集め、隠されたディーラー限定車を探すことも、長く遊ぶ動機になります。
軽快なアーケードレースとブースト重視の操作
走行システムの中心にあるのは、現実的な車両挙動ではなく、軽く反応の速いアーケード操作です。ドリフトと空中制御が速度維持に直結し、ジャンプ中に車体の向きを修正して着地を狙う場面も多くなっています。特にブーストの存在感が大きく、直線だけでなく、ほぼすべてのコーナーや加速区間で使いどころを考える必要があります。
本作は車ごとの重量移動を精密に再現したり、実車に近い物理挙動を追求したりするタイプではありません。高速のままコーナーへ突入し、ランプから飛び出し、空中で車体を修正しながらコースへ戻るという、無茶な走りを楽しむための設計です。リアルさを求めるプレイヤーには扱いにくく感じられる可能性がありますが、原文筆者はこの割り切りこそホットウィールの個性に合っていると見ています。
一方で、高速走行時の操作には苛立ちを覚える場面もあるとのことです。速度が高い状態ではわずかな入力ミスが大きなコースアウトにつながり、空中での修正や着地の成否にも不安定さが残ります。スピード感を優先した結果として許容できる範囲ではあるものの、操作が常に気持ちよく決まるわけではありません。
トラックビルダーが広げる遊び方
本作で特に将来性を感じさせる要素として、拡張されたTrack Builderが挙げられます。オープンワールドの環境を利用してトラックを作成でき、地形に沿ってパーツを配置しながら、建物の周囲や高低差のある場所へコースを伸ばせます。各パーツをひとつずつ手動で調整しなくても、地形に合わせたコースを作りやすい仕組みです。
作成したコースにはアクションマーカーも追加できます。これはAIの対戦相手に、コース上でどのように走るべきかを教えるための要素で、完成したトラックを自分だけで試すのではなく、AIを走らせて調整できます。作成物をコミュニティへ共有できるため、プレイヤーがコースを作り続ける限り、用意されたキャンペーン以外の遊びも広がっていきます。
ただし、原文筆者はゲーム全体の長期的なボリュームについて慎重な見方も示しています。Forza Horizonのように巨大な世界と膨大なコンテンツ、継続的なアップデートを備えた作品と比べると、本作の活動量や進行システムは控えめです。島を探索してイベントや収集物をこなしていくうちに、一部の活動が繰り返しに感じられる可能性もあります。
それでも、本作が規模の大きさだけで競う必要はないと原文筆者は考えています。現実に近い広大な世界を作るよりも、角を曲がるたびに車が衝突し、派手な仕掛けが作動し、予想外の出来事が起こる密度の高い遊び場を作ることが重要だからです。4つの島は広さを誇示するためだけの空間ではなく、ホットウィールらしい混沌を詰め込むための舞台として機能しています。
子どもの空想を再現した作品としての評価
原文筆者は、本作が完璧なゲームではないとしながらも、ホットウィールを好きだった理由を正面から理解していると評価しています。魅力の中心にあるのは、車そのもの、無茶なトラック、圧倒的なスピード、そして想像力を自由に働かせられる感覚です。収集要素や車両クラスは、長く遊ぶための仕組みであると同時に、実際のミニカーを集めていたファンの記憶にもつながっています。
一方で、進行システムの深さやゲーム終了後に遊び続けるためのコンテンツには改善の余地があります。イベントの種類によっては同じ流れを繰り返す印象が強まり、高速走行中の操作に不満を覚えることもあります。車両のアップグレードも、プレイスタイルを大きく変えるほど複雑ではありません。
それらの弱点を踏まえても、原文筆者は、子どものころの自分に見せたかったゲームだと結論づけています。リアルなレースゲームとしての完成度や圧倒的な物量ではなく、ミニカーを床で走らせていたときの自由な発想を、巨大でカラフルな世界に変えたことが本作の価値です。オンラインマルチプレイとローカルマルチプレイにも対応しており、作り込まれたトラックや派手な衝突を複数人で楽しめる構成になっています。