『Ritual Tides』元Rockstar開発者の新作ホラー、女性の視点で恐怖を描く
2026年09月06日 | #ゲーム紹介 | GamesRadar+
元Rockstar Games開発者が手がける新作ホラー『Ritual Tides』は、霧に覆われた海岸の町と、女性が感じる恐怖や危険を中心に描く作品です。Gamescomでは本来のデモが正常に動作しないトラブルが起きたものの、代わりに公開されたレベルデザイン用ビルドから、重い武器や耐久度、手掛かりを兼ねた環境表現などの特徴が明らかになりました。完成前のビルドでありながら、原文筆者は本作の不穏な世界観と細部へのこだわりを強く印象に残ったものとして紹介しています。
壊れたデモの代わりに披露された世界
開発を担当するのはVertpaintで、クリエイティブディレクター兼CEOのJames Macleod氏が作品を案内しました。Macleod氏は、Grand Theft Auto VやRed Dead Redemption 2の開発を終えた元Rockstar開発者です。今回の取材では、Gamescomの混雑などによって通常のデモビルドが根本的に動作しない状態になっており、メディア向けに用意されたものではないレベルデザイン用ビルドを使って本作を紹介したとのことです。
そのビルドで最初に示されたのは、灰色の空と重い霧に包まれた海岸地帯でした。舞台となるのは架空の町Hortusで、主人公は浜辺で目を覚ました女性です。彼女は自分の過去と、島に隠された歴史を調べていくことになりますが、知れば知るほど、その歴史が恐ろしいものだったと判明していきます。Macleod氏は、特に女性にとって過酷な意味を持つ物語だと説明しています。
対応プラットフォームはPC、PS5、Xbox Series Xで、発売時期は未定です。2024年に公開された短いティーザートレーラーでは、作品名とジャンル、インクで描かれた謎めいたアートワークしか示されていませんでした。今回のプレビューでも物語の詳細までは明かされていませんが、海岸、洞窟、島の過去、そして主人公の記憶が重要な要素になるとみられます。
女性の視点から描くボディホラー
Macleod氏によれば、本作の物語は「ある女性が暗い道を避けなければならないと感じる理由」を、男性とは異なる危険や安全の感覚として捉えたことから発想されたとしています。5人の姉妹と育った経験も背景にあり、同じ場所を歩いていても、性別によって危険の感じ方が大きく異なることを身近な会話から意識したそうです。
主人公は記憶を失っており、軍人のような戦闘能力を持っているわけではありません。そのため、ゲームプレイも大量の敵を正面から倒していく形式ではなく、必要なら逃げることを前提にしたサバイバルホラーとして設計されています。Macleod氏は、主人公が非常に重い銃を片手で軽々と扱うような表現にはしたくないと説明しており、武器の重量感が戦闘の手触りに組み込まれています。
ビジュアル面では、異形の生物や肉体の変質を連想させる表現が目立ちます。Macleod氏が取材時に見せた手描きの彫像「Agnes」は、ヒューマノイドのムカデや、後部が裂けたナメクジのような姿、巨大な赤ん坊の怪物を思わせる造形だったとのことです。原文筆者はこの彫像を「これまで見た中で最も美しく恐ろしい手描きの像」と表現し、肥大した肉体や捕食者のような印象から、本作が女性をめぐるボディホラーと深く結びついていると受け止めています。
近年は、女性の成長や身体を抽象的に描くサイレントヒル fや、身体変容を題材にした映画The Substanceなど、女性中心のボディホラーが注目されています。Macleod氏は本作もその流れに近い問題意識を持っているとしていますが、具体的な物語の展開や登場人物についてはまだ明らかにしていません。
重量感のある戦闘と逃走を前提にした設計
プレイでは、主人公が浜辺を進み、巨大な昆虫型の敵と遭遇します。原文筆者が確認した敵は、フェイスハガーとサソリを組み合わせたような外見で、手にしたバットで殴り倒すことができました。ただし、武器には耐久度が設定されており、近接武器を振り続ければいずれ使えなくなります。敵をすべて倒すことよりも、状況に応じて逃げる判断が重要になる設計です。
洞窟では銃器も試すことができました。武器は重量を感じさせる作りで、発砲時には強い反動が発生します。主人公が扱える武器であっても、軽快に連射して敵を一掃するタイプではなく、発砲のたびに身体へ負荷がかかるような感覚を目指しているようです。原文筆者は、会話に多くの時間を使ったため戦闘を長時間試すことはできなかったものの、武器ごとの反動ははっきり感じられたと記しています。
本作には、左右のトリガーを押して岩場の手掛かりをつかみ、離す操作を行う精密なクライミングも用意されています。単にボタンを押して自動的に登るのではなく、手掛かりをつかむか放すかを自分で管理する仕組みです。暗く圧迫感のある環境の中で、移動そのものが危険との対峙になることを狙ったシステムだと説明されています。
黄色いペイントに頼らない環境の手掛かり
画面上のHUDは少なく、探索中に常時多くの情報を表示する形式ではありません。その代わり、世界の中に存在するものを手掛かりとして利用します。たとえば、海水の塩分が残ったと考えられる白い跡が岩や大きな石の先端に付着しており、そこがよじ登ったり、横切ったりできる場所だと示します。
この白い跡は、サバイバルホラーで頻繁に使われる黄色いペイントの代替要素です。進行可能な場所を目立たせながらも、ゲームの世界から浮いた案内表示には見えないように設計されています。フォトリアルな環境テクスチャーと組み合わせることで、原文筆者は、近年見たホラーゲームの中でも特に細部まで作り込まれている作品のひとつだと評価しています。
今回のビルドは本来メディアに見せる予定のものではなく、敵が余分に出現する可能性もある不安定な状態でした。それでも、海岸や洞窟の空気、身体的な操作感、環境に溶け込んだ探索の手掛かりから、Vertpaintが目指す方向性は伝わったと原文筆者は述べています。製品版の内容や発売時期はまだ不明ですが、完成形がどのような恐怖を見せるのか、今後の情報が待たれる作品です。