PS2のアドベンチャーゲームで悪役を演じる8作品
2026年09月08日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
アドベンチャーゲームの主人公といえば、世界を救う英雄や弱者を守る正義の味方が定番です。しかしPS2時代には、最初から邪悪な人物として描かれるキャラクターや、物語の進行とともに破滅へ向かう主人公を操作する作品も登場しました。今回は、プレイヤーが悪役、あるいは明確に英雄とは呼べない存在として物語を進める8本を、原文筆者の選出に沿って紹介します。
敵役との共闘から始まる物語
Crash Twinsanityでは、シリーズの宿敵だったDoctor Neo Cortexを操作する場面が用意されています。本作ではCrashとCortexが一時的に手を組み、Cortexが幼少期に実験を行ったオウムのVictorとMortiz、通称Evil Twinsに立ち向かいます。2人の目的は、Wumpa IslandsとCrash、そして何よりCortex自身を破壊しようとするEvil Twinsを止めることです。
CrashとCortexは意外にも有効なコンビとして機能しますが、共闘が終わるとCortexはすぐにCrashを殺そうとします。ところが計画は失敗し、Cortexは意図せずCrashの脳内へテレポートすることになります。完全な悪役だったキャラクターが主人公側に加わる一方、最後まで悪人としての性格を捨てきれないという、本作らしい立ち位置です。
Star Wars: Bounty Hunterでは、後にクローン兵のモデルとなるJango Fettを操作します。物語の舞台はStar Wars: Episode II - Attack of the Clonesの10年前です。JangoはCount Dookuから、かつての弟子であり、現在はBando Goraというカルト集団を率いるKomari Vosaを追跡・抹殺する依頼を受けます。この仕事は、JangoがKaminoのクローン軍を作る際の遺伝的な原型にふさわしい人物かを見極める試験でもありました。
ゲーム中のJangoは、標的を生死を問わず捕らえる賞金稼ぎとして活動し、ライバルの賞金稼ぎや犯罪組織のボスも排除していきます。最終的にKomari Vosaを倒し、Dookuから実力を認められたJangoはクローン兵のモデルに選ばれます。その選択が、のちにジェダイ・オーダーの崩壊へつながることを考えると、プレイヤーは銀河の歴史を大きく変える側の人物を演じていることになります。
ヒーロー作品の裏側にいる怪物たち
Ultimate Spider-Manは、Spider-ManだけでなくEddie BrockことVenomも操作できる点で、コミック原作のヒーローゲームとしては異色の作品です。Brian Michael BendisとMark BagleyによるUltimate Spider-ManコミックのVenom編の後を描き、プレイヤーはSpider-ManとVenomを定期的に切り替えながらニューヨークを駆け回ります。2人はSilver SableやTrask Industriesの傭兵、その他のヴィランたちから逃れながら、それぞれの目的を果たしていきます。
Venomのパートでは、Spider-Manとは異なる荒々しい能力を使えます。街中で他のヒーローと戦う場面もあり、Wolverineを相手にすることもあります。さらにVenomは人間を捕食でき、複数の市民を食べる描写も含まれています。セルシェーディングで描かれたコミック調の世界観とは裏腹に、操作する存在の行動は極めて凶悪です。原文筆者は、Venomを操作する感覚を、後年のMarvel's Spider-Man 2における怪物的なゲームプレイにも通じるものとして紹介しています。
Predator: Concrete Jungleでは、地球外の狩猟種族Yautjaに属するPredator、Scarfaceが主人公です。物語は主に2030年代を舞台とし、一部では1930年代の出来事も描かれます。Scarfaceは1930年代の狩りに失敗し、装備の多くを失ったうえ、New Way Cityを破壊して無防備な民間人を数百人殺害しました。その失態によって追放されたScarfaceは、100年の時を経て再び人類の世界へ戻ります。
かつてのNew Way Cityは復興と発展を遂げ、Neonopolisと呼ばれる都市になっています。Scarfaceがそこで追うのは、Borgia一家という犯罪一族です。Borgia一家は、Predatorから得た技術を利用してメカ、身体のサイバネティック強化、プラズマ兵器を作り上げています。主人公は被害を生んだ側でありながら、その技術を悪用する犯罪組織を狩る立場でもあります。贖罪を目指す物語であっても、Scarfaceの狩りが血なまぐさいものであることに変わりはありません。
主人公自身が破滅へ向かう3作品
初代God of WarのKratosは、後年の作品で描かれる「息子を導く父親」や「北欧の世界を救う存在」とは大きく異なります。彼はAthenaに導かれ、ギリシャ神話の戦神Aresを追います。AresはKratosの怒りを利用してスパルタ兵を戦わせ、アテナイの村々を破壊させたうえ、Kratos自身の妻と娘まで殺させました。家族の遺灰を身体にまとったKratosは、Ghost of Spartaと呼ばれるようになります。
復讐の理由そのものは理解できるものの、初代のKratosは英雄とは言い難い行動を繰り返します。Aresの怪物たちにアテナイの人々が殺される場面でも、彼は何度も救助を拒み、助けを求める人々を見捨てます。Aresが極悪な神として描かれている一方で、Kratosもまた目的のために他者を犠牲にする人物です。物語の最後には、彼自身が容赦のない新たな戦神となります。この時期の人物像は、God of War 2で描かれる出来事にもつながっています。
Jaws Unleashedでは、全長35フィートのホホジロザメを操作します。Steven SpielbergによるJawsシリーズを原作とし、最初の映画から30年後、サメは人々でにぎわうAmity Islandへたどり着きます。そして上陸直後から、人間も動物も区別せずに捕食していきます。プレイヤーが体験するのは、海の脅威から逃げる人間側ではなく、島の住民を襲う捕食者側の視点です。
このサメは、人間が捕獲や殺害を試みても簡単には倒れません。ボートや爆発物との遭遇を生き延び、別のサメと戦い、島の海洋テーマパークにいるシャチとも対決します。原文筆者は、現代のサメゲームとしてManeaterが評価される一方、PS2時代に人食いザメを直接体験したい人にとっては本作が有力な選択肢だったとしています。主人公に正義や贖罪はなく、ひたすら捕食を続ける存在です。
世界を壊す側に立つ主人公
Destroy All Humans!は、1950年代後半のアメリカを舞台に、エイリアンのFuron族Cryptosporidium-137を操作します。Cryptosporidium-137と仲間のOrthopox-13は、行方不明になったCryptosporidium-136を探すため地球へ向かいます。しかし目的は捜索だけではなく、Furon族による地球侵略の準備でもあります。人類を守るのではなく、異星人による侵略を進める側が主人公です。
Cryptosporidium-137は、人間に変装して社会へ紛れ込みます。さらに念動力で人間や動物、物体を投げ飛ばし、Disintegrator Rayで人間を溶かし、空飛ぶ円盤を操って建造物を破壊します。古典的で大げさなエイリアン映画を思わせる設定に、こうした破壊的な能力と皮肉なユーモアを組み合わせた作品です。原文筆者は、PS2時代に悪役を操作できるゲームのなかでも、特に楽しく混沌とした作品として挙げています。
Shadow of the Colossusの主人公Wanderは、表面上は最も英雄らしい目的を持っています。彼はDamselを救うため、巨大なColossus16体を倒す旅に出ます。序盤だけを見れば、囚われた女性を救うために怪物へ挑む、典型的なファンタジーアドベンチャーに見える構成です。
しかし終盤、WanderはDorminという邪悪な存在に利用されていたことが明らかになります。Colossusたちは単なる討伐対象ではなく、Dorminの力と怒りから世界を守る役割を担っていました。Wanderはその真実を知らないまま、Dorminの力を封じる存在を次々に殺していきます。その結果、DorminはWanderの身体を乗っ取り、Damselを蘇らせますが、代償としてWanderは破滅へ向かいます。
この展開によって、プレイヤーが英雄的な行動だと思っていた16体の討伐は、世界を守っていた存在を排除する破壊の旅へと意味を変えます。原文筆者は、Wanderが最初から悪人として振る舞うのではなく、誰かを救いたいという願いを利用されることで、結果的に悪役側の計画へ加担してしまう点を本作の特徴として扱っています。PS2には、悪役を直接操作する作品だけでなく、主人公の正義そのものを物語の終盤で問い直す作品も存在していました。