『Waste The Fallen』はラヴクラフト系の脱出シューターを目指すもアルファ版では独自性に課題
2026年09月08日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
ラヴクラフト的な宇宙的恐怖と脱出シューターを組み合わせた新作が、ジャンルの定番に新たな方向性を持ち込もうとしています。韓国のRoyalCrowが開発する基本プレイ無料のFPS『Waste The Fallen』は、異形の存在に支配された世界を舞台にしますが、アルファ版をプレイした原文筆者は、現時点ではゲームプレイもホラー表現も物足りないと評価しています。独自の題材には可能性がある一方、PUBG: BattlegroundsやMarathonとの差別化には大幅な改善が必要な状況です。
異形の存在に滅ぼされる近未来
本作の舞台は、人類が地中深くを掘り進めた結果、複数のラヴクラフト的な存在を目覚めさせてしまった近未来です。目覚めた存在は世界を破壊し、人類は絶滅寸前まで追い込まれています。プレイヤーは、異形の存在が持つ怪物的な力を宿した生存者「Deviant」のひとりとして、荒廃した地域から資源を回収し、変異した怪物や敵対するDeviantと戦うことになります。
ゲームの基本ループは、廃墟となった建物を探索し、箱や棚などからランダムな資源を集め、脱出用の不気味なポータルから持ち帰るというものです。単独で挑むことも、3人チームで行動することもできます。回収に成功した資源は装備の製作や強化などに利用でき、作業台でギアを整える要素も用意されています。
ただし、原文筆者によれば、アルファ版では世界設定の説明が十分ではありません。物語の大部分は冒頭のカットシーンで提示されるものの、ゲーム中のNPCやチュートリアルからは、なぜ人々が怪物へ変異したのか、プレイヤーがどのように異形の力を得たのか、なぜ存在たちが地球を支配するに至ったのかがほとんど説明されないとのことです。NPCの台詞と字幕が一致していない場面もあり、設定そのものが固まっていないのか、翻訳上の問題が起きているのか判然としない状態だとしています。
もっとも、脱出シューターでは、プレイヤーを危機の真っただ中へ放り込み、アイテム説明や環境描写を通じて世界を理解させる構成も珍しくありません。そのため、現時点で説明が少ないことだけが致命的とは限りませんが、本作の場合は宇宙的恐怖を題材にしているだけに、背景設定がゲームプレイと結び付いていない点が目立つ形になっています。
ルートと脱出を軸にしたプレイ感
原文筆者は、実際のプレイ感について、本作はラヴクラフト風の外見をまとったPUBG: Battlegroundsに近いと説明しています。建物を調べて資源を探し、敵や他の危険を避けながら帰還を目指す構造自体は脱出シューターとして理解しやすいものの、銃撃戦には硬さがあり、マウスとキーボードのみの操作に限られる点も含めて、手触りが無機質だと評しています。アルファ版ではコントローラーに対応していません。
プレイヤーはDeviantの腕から、超能力のような「core」を解放して使用できます。しかし、その能力は本作独自の恐怖を表現するものというより、Destinyに登場するGuardianの能力を思わせるものだと原文筆者は指摘しています。宇宙的な存在から力を得たという設定に対して、能力の見せ方や使い方が十分に異質ではなく、目新しい要素として印象に残りにくいとのことです。
敵の種類も、現段階では大きく変化するとはいえません。確認できるのは、走って接近するゾンビ、脚を失っても動き続けるゾンビ、近接攻撃の威力が高い頑丈なゾンビ、銃を使うゾンビといったタイプが中心です。ボスも存在しますが、ラヴクラフト系ホラー作品に期待される理解不能さや不気味な個性より、既存のゾンビ系敵を強化した存在として機能しているとされています。
その結果、原文筆者は複数回の探索を、回復アイテムを使わず、敵に遭遇することすらなく終えられたと報告しています。敵が少ないことは必ずしも悪いとは限りませんが、敵を警戒しながら資源を持ち帰る緊張感を中心に据えた作品としては、現在の遭遇頻度や敵の行動が十分な脅威になっていないようです。敵はMarathonのロボットより戦いやすいものの、それは比較対象のハードルが高くないという厳しい見方も示されています。今後は敵のデザインだけでなく、経路探索や行動パターンの複雑化が求められます。
クラフト要素と今後の課題
現時点のゲームプレイに肯定的な部分がないわけではありません。作業台で装備を製作・強化できるため、探索で集めた資源を次の出撃に生かす流れは用意されています。また、自分の拠点をクラフトする要素も存在します。ただし原文筆者は、この拠点作りが脱出シューターの中心部分から切り離されており、Fallout 4の居住地システムを簡略化したもののように感じられるとしています。ルート、戦闘、脱出を求めるプレイヤーにとって、拠点作りがどれほど魅力になるかは不透明です。
本作はまだアルファ版で、完成形を示す段階ではありません。発売日は決まっておらず、今回確認された要素が最終仕様になるとも限りません。しかしRoyalCrowが、ARC RaidersやPUBG: Battlegrounds、さらには1人用のホラー作品と競うには、ラヴクラフト要素をゲームの中心へ押し出す必要があります。
原文筆者は、現状の本作が重視しているのは、宇宙的恐怖よりもルート収集とシューター部分だと見ています。廃病院などの建物で簡単に倒せるゾンビと戦うだけでは、ラヴクラフト系ホラーを求めるプレイヤーの期待には届きにくく、そうした層は別の1人用ホラー作品を選ぶ可能性が高いとのことです。一方で、PUBG: BattlegroundsやMarathonのような脱出・対戦シューターのファンには、現時点でも関心を引く部分が残されています。今後、敵の設計や異形の能力、世界設定がどこまで本作固有の恐怖として結び付くかが、プレイヤーを長く引き留められるかを左右しそうです。