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『Usual June』は10月28日に発売、青春ドラマと高速アクションを融合したFinjiの新作

2026年09月10日 | #発売情報 | Polygon

『Usual June』は10月28日に発売、青春ドラマと高速アクションを融合したFinjiの新作

幽霊、歩き回るカニ、100年前の墓地の地下にある異次元の渦。『Usual June』は、普通の夏休みを望んでいた若者が、町の存続を揺るがす超常現象に巻き込まれていくアドベンチャーゲームです。青春映画のような会話劇と、Devil May Cryを思わせるスタイリッシュな戦闘を組み合わせた本作は、10月28日にWindows PC向けに発売されます。

Finjiが手がける異色のアドベンチャー

開発を担当するFinjiは、ミシガン州を拠点とするゲーム会社です。Tunic、Chicory: A Colorful Tale、Night in the Woodsといった作品をパブリッシングしてきたほか、自社開発にも取り組んでいます。本作は、同社が次に手がけるオリジナルゲームにあたり、探索や物語を中心としたインディーゲームの雰囲気に、アクションゲームらしい手触りを加えています。

舞台は、アメリカ中西部にある架空の大学町フェン・ハーバーです。主人公のジューンは、この町で暮らす若い女性。見た目は穏やかな大学町ですが、物語の背景には、地域の産業や人々の暮らしが大富豪の都合に左右されるという現実的なテーマが置かれています。Finjiの共同創業者でゲームディレクターを務めるAdam Saltsman氏は、中西部では大富豪が資源を収穫し終えると地域を離れ、町がその後も同じ道を歩めるかどうかが、外部の支援者に握られてしまう状況があると説明しています。

Finji共同創業者兼CEOのRebekah Saltsman氏によれば、同社は2020年から2021年にかけて次の作品を検討していました。当初はどうぶつの森を題材にした釣りゲームを作る案も話題に上がったものの、最終的には、成長物語としての探索と、激しい近接アクションを組み合わせる方向に決まったとのことです。

墓地で始まる超常現象と青春の会話

ジューンの誕生日である6月17日、彼女と友人たちは地元の墓地を訪れます。ゲーム内のメニューとして機能するスマートフォンに、この日付が表示されます。そこで一行は幽霊と遭遇し、霊的なカニと戦い、古い霊廟に閉じ込められることになります。霊廟の内部で発見するのは、フェン・ハーバーそのものを消し去る可能性があるアストラル・プレーンです。

原文筆者がプレイしたデモは、ゲーム開始から約25分が経過した場面から始まりました。前半では、霊廟から脱出する方法を探しながら、ジューンと友人たちの会話を聞く時間が多く用意されています。大学の寮を離れ、夏の町を友人と歩き回るような、気楽で少し気だるい空気が特徴です。

ゲームディレクターのAdam Saltsman氏は、大学生の夏休みには、子どもの頃の休暇とは違う感覚があると語っています。家賃を払う必要があったり、夏期講習を受けていたり、友人の家に居候して何もせず過ごしていたりする一方で、町から人がいなくなっていく。その静けさのなかに、何かが迫っているような感覚が残るのだといいます。

会話は20代の若者同士のやり取りを意識した、短くテンポのよいものになっています。物語面では、God of War Ragnarökなどに携わったCara Ellison氏がナラティブ面の方向性を監修しています。リードライターのDavid Pinckney氏によると、こうした静かな場面は単なる戦闘の合間ではなく、キャラクターを掘り下げると同時に、ゲーム全体が戦闘と推理だけにならないようにする役割も担っているとのことです。

ボイスではなく加工音声で表現するキャラクターたち

本作には声優が参加していますが、一般的な意味でのフルボイスの会話は採用されていません。登場人物の声は、意味のある台詞を読み上げるのではなく、独特のアートハウス風の加工音声として表現されます。Finjiはデトロイトを拠点とする俳優たちとともに、キャラクターごとの声色やアクセントを作り上げ、その素材を独自開発のVocaloidシステムで変換しています。

このシステムの制作には、オーディオデザイナーのAdam Hays氏が約3年を費やしたとRebekah Saltsman氏は説明しています。通常の吹き替えとは異なる音声表現によって、会話の内容を直接聞き取るのではなく、キャラクターの性格や場面の雰囲気を感じ取る仕組みになっています。

先読みできる戦闘と探索のバランス

戦闘が始まる直前には、緑色のスクリーンがアリーナへの入口をふさぎます。ここからは戦うことになる敵を事前に確認できるため、相手の構成を把握してから攻撃方法を考えられます。突然戦闘に突入するのではなく、準備の時間を設けることで、プレイヤーが状況を見て計画を立てられる設計です。

戦闘の操作は高速かつ滑らかで、パリィも用意されています。ただし、中心となるのは敵の攻撃を受け流すことよりも、回避です。ジューンの回避は短距離のダッシュになっており、適切なタイミングで使うとスーパーメーターがたまります。メーターを消費すれば、より強力な攻撃を繰り出せます。

David Pinckney氏は、本作の戦闘について「始めるための難度は低く、極めようとすると奥が深い」という趣旨で説明しています。原文筆者も、Gamescom 2026でPinckney氏が同じ戦闘をほぼ完璧に攻略する場面を見た一方、自身のプレイではジューンの体力をより多く失ったとしています。戦闘後には体力が回復するため、次の戦いのために温存するより、目の前の戦闘で積極的に攻めることが推奨される仕組みです。

画面には、コミックブックのようなフレームレート表現も使われています。映像の印象はSpider-Man: Into the Spider-Verseを思わせるものです。原文筆者はSteam Deckでデモを試し、設定を低くする前にゲームがクラッシュしたと報告しています。なお、本作はSteam Deck向けに正式認証されていません。

本作が特徴的なのは、戦闘の間隔を短く固定していない点です。アクションゲームでありながら、次の戦いまで長い会話や探索の場面が続くことがあります。ジューンと友人たちの関係を描く時間と、巨大な霊的カニと戦う時間が同じように重視されています。物語をもっと見るために戦闘を進めたくなり、逆に会話が続くと次の戦いに戻りたくなるような配分を目指しているとのことです。

Cara Ellison氏は、レベルや戦闘の合間に、4人の主要キャラクターが発見したものをどう受け止め、それが何を意味するのかを描く余地を残したと説明しています。青春ドラマとしての会話、町が抱える現実的な問題、異次元の脅威、そして回避を軸にしたアクションがどのように結び付くのかが、本作の大きな見どころになりそうです。