『Project Dream』のROMが公開、Banjo-Kazooieの原点となった幻のSNESプロトタイプ
2026年09月10日 | #ゲーム紹介 | GamesRadar+
『Banjo-Kazooie』の原点となったRareの幻のプロトタイプが、初めて広く入手できる形で公開されました。流出者が公開したのは、スーパーファミコン向けに開発されていた海賊RPG『Project Dream』のROMファイルです。発売に至らなかった作品の映像だけでなく、実際に解析可能なデータが保存されたことで、ゲーム史の重要な資料が新たに残されることになります。
SNESで開発されていた『Banjo-Kazooie』の原型
本作はRareが開発していた海賊RPGのプルーフ・オブ・コンセプトで、開発開始から16カ月が経過した1997年に中止され、その後に内容を作り直す方針へ移行しました。中止の大きな理由は技術的な問題だったとされています。最終的には企画や方向性が変化し、Banjo-Kazooieの基礎となりました。
公開されたアルファ版の映像では、ジャングルの環境と、画面上に登場する唯一のキャラクターモデルを確認できます。16ビット機向けのプロトタイプとは思えないほど作り込まれた表現で、原文筆者も、実際にスーパーファミコンで発売された作品より高度に見えると評しています。ただし、これは完成版ではなく、あくまで本編開発に向けた試作段階のデータです。
Rareは以前から本作について語ったり、映像を公開したりしていました。しかし、今回のROM公開によって、これまで一部の映像や情報に限られていた資料が、より広い範囲のユーザーや研究者によって調査できるようになりました。流出者は、ROMを「誰かから入手した誰かから、どこかで手に入れた」と説明しており、入手経路の詳細は明らかにしていません。
流出者が公開を決めた理由
流出者はFvckAsha&Philという名前で活動しており、Xbox部門の責任者Asha Sharma氏と、その前任者Phil Spencer氏を意識した名前とみられます。公開に際した声明では、現在のゲーム業界やMicrosoftによるRareなどの管理を強く批判し、長年眠っていた本作を保存することを優先したと説明しています。
声明では、業界がAI、レイオフ、保存に反対する動き、ユーザーが所有権を持ちにくい販売方式へ進んでいると批判。さらに、Microsoftによるガザでの大量虐殺への支持・承認にも言及し、「最後に残った美しいものを、ハードディスクの中から世に出そう」と呼びかけました。表現はゲーム保存の意義を訴えるものにとどまらず、MicrosoftとSonyを生活から排除し、Linuxを導入することや、Switchのゲームキーカードをボイコットすることまで求める政治的な内容になっています。
ほかの未公開プロトタイプにも言及
流出者は、今回の公開がほかの人物にも未公開データを発表するきっかけになればよいとも述べています。例として、N64向けに開発されていたTwelve Tales Conker 64のプロトタイプが、どこかに存在しているはずだと指摘しました。ただし、現時点で流出者が公開できるのは本作だけだとしています。
今回の動きは、Rareをめぐる近年の厳しい状況とも重なります。Microsoftでは大規模な人員削減が進められており、Rareの次回作として開発されていたEverwildも、6年間の開発を経て中止されました。原文では、2022年から2025年にかけてゲーム業界全体で約4万5000人の雇用が失われたと伝えています。そうした業界環境への抗議を含む公開ではあるものの、本作のROMが広く保存・解析できる状態になったこと自体は、過去の開発資料を後世に残すうえで大きな意味を持ちます。