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Double Fineが再びインディーへ Tim Schafer氏が語るGame Passへの期待とBrutal Legend 2

2026年09月11日 | #その他 | IGN

Double Fineが再びインディーへ Tim Schafer氏が語るGame Passへの期待とBrutal Legend 2

Microsoftから独立したDouble Fineが、再びインディー開発会社として次の段階に進もうとしています。『Psychonauts 2』やKiln、Keeperを手がけてきた同スタジオは、ゲームジャム形式の企画Amnesia Fortnightを軸にしたKickstarterを実施し、次の大型プロジェクトに向けた開発資金と時間を確保する考えです。スタジオ責任者のTim Schafer氏は、Microsoftとの7年間を有意義な経験だったと振り返る一方、Game Passについては「本当にうまくいってほしい」と話しました。

独立に戻ったDouble Fineの新たな活動

Schafer氏によると、Microsoftから離れて再び独立開発会社となった現在の心境は、刺激的であると同時に不安もあるということです。同スタジオはMicrosoftに買収される前の19年間、独立会社として活動しており、その間に企画を売り込む方法や、多くの人と協力関係を築くための経験を積んできました。業界では従来の資金調達手段が失われ、多くのベテラン開発者も現場を去っているものの、新しい資金源や出会いも生まれているため、さまざまな相手にアイデアを説明しながら次の協力者を探しているとしています。

現在のKickstarterで中心となっているのが、Amnesia Fortnightです。これはDouble Fineが主導するゲームジャムで、社内の開発者が短期間で新しいアイデアを試し、小規模なゲームとして形にする取り組みです。今回の企画は、単に資金を集めるためだけのものではなく、Microsoft傘下では難しかった活動を、独立した立場で再び実行できることの「お祝い」でもあるとSchafer氏は説明しています。

Microsoftのような大企業に所属していた時期は、イベントで大規模な単一ブースを展開する形が中心になりやすく、小さなゲームを個別に紹介したり、開発者とファンが密に交流したりする活動には制約がありました。独立後はPAXのような会場に複数の小さなブースを出し、自分たちでゲームの価格を決め、ファンと直接話せるようになります。短期間で制作する小規模作品やゲームジャム作品を発表するため、Double Fine Action Labsという専用レーベルも用意されました。

その一例として、Thank You Bus Driverという新プロジェクトも挙げられています。Schafer氏は、こうした小規模なアイデアを試し、完成したものを世に出し、反応を確かめられることに価値があるとしています。Double Fineが目指しているのは、完成までに莫大な費用と長い年月を要する大型作品だけではありません。遊び心のある実験的な作品を作り、開発者が創造的な挑戦を続けられる環境を維持することも、独立後の重要な方針になっています。

ファンとの関係と小規模ゲームへの挑戦

Double Fineにとって、Kickstarterは資金調達の手段であると同時に、ファンとの関係を確認する場でもあります。過去のBroken AgeのKickstarterは、スタジオに大きな経済的効果をもたらしただけでなく、開発者とコミュニティがどれほど密接につながっているかを明確にした転機でした。ファンは出資者として参加するだけでなく、作品のアイデアや創作そのものにも関心を持ち、ゲームがどのように作られるのかを知ろうとします。

Schafer氏は、Double Fineのファンには創造性を重視する傾向があると見ています。スタジオが奇抜な企画や実験的な作品を作ろうとする姿勢が、絵を描いたりプログラムを学んだり、ゲーム制作に挑戦したりする人々を刺激しているという考えです。そのため、独立後の活動でも、ファンから一方的に支援を受けるのではなく、制作過程や新しい試みを共有しながら作品を生み出していく関係が重視されています。

同氏は、Double Fineの活動を他社がそのまま手本にすべきだとは考えていません。従業員数が多く、医療保険などの福利厚生も整えた、いわゆるAA規模のスタジオであり、現在では同じ規模の会社自体が多くないためです。「自分たちの状況はDouble Fineと自分にしか当てはまらない」とSchafer氏は話しており、独立系スタジオだからといって、同じやり方が他社でも機能するとは限らないとしています。

近年増えている、友人同士で気軽に遊ぶ小規模なマルチプレイ作品についても、Schafer氏はゲームジャムとの共通点を指摘しました。Double Fineはこれまで多くのマルチプレイ作品を開発してきましたが、Amnesia Fortnightで行っているのは、社内の誰もが安全にアイデアを試せる環境を作ることです。すべての案に巨額の開発費を投じるのではなく、数週間程度の短い期間で制作して公開し、どの企画に可能性があるのかを確かめます。

こうした小規模作品は、成功した例だけが注目されがちですが、実際にはうまくいかないものも多数あります。Schafer氏は、どの作品が人気を得るかは事前に分からないため、1つのアイデアに会社の将来を賭けるべきではないと説明しています。友人同士で集まり、気軽なテンポで遊ぶことを重視する作品群についても、成功作だけでなく試行錯誤の積み重ね全体を見る必要があるとの考えです。

Microsoft時代の経験とGame Passへの見方

Double FineがMicrosoft傘下で過ごした7年間について、Schafer氏は全体として素晴らしい経験だったと振り返っています。Microsoftは同社に多くの投資を行い、Game Passや関連プロジェクトを支援するという目的のもとで両社は一時期、近い方向を向いていました。しかし、Microsoft側の目標が変化したため、最終的に両社は別々の道を進むことになったとしています。

一方で、Xbox Game Studios内の他スタジオと交流できたことは大きな学びになりました。Compulsion、Ninja Theory、Obsidian、inXileなどのスタジオ責任者と意見を交わし、プログラマー同士も技術やアイデアを共有しました。独立会社は基本的に孤立した存在になりやすいものの、一時的に複数のスタジオとつながったことで、他社がどのように開発を進め、組織を運営しているのかを知る機会になったということです。

Game Passについては、Schafer氏は現在も可能性を感じています。サブスクリプションによってゲームを始めるまでの心理的、金銭的なハードルが下がれば、プレイヤーは一見しただけでは内容が分からない、奇妙で創造的な作品にも挑戦しやすくなります。すでに料金を支払っているサービス内に作品が含まれていれば、キービジュアルを見て内容が分からないと感じるゲームでも、試してもらえる可能性が高まるという説明です。

ただし、Schafer氏はGame Passが期待どおりに機能しなかった理由を理解しきれていないとも話しています。映像配信サービスのNetflixが成功した一方で、Game Passが同じような成果を上げられなかった理由は、自分には分からないと率直に認めました。そのうえで、ゲームを手に取ってもらう方法はサブスクリプションだけではなく、価格を下げて購入しやすくする手段もあるとしています。独立後のDouble Fineは、作品をより手に取りやすい価格で提供する方向にも目を向けています。

Brutal Legend 2と厳しいゲーム業界

Kickstarterでは、一定額の資金を集められればBrutal Legend 2を制作するという趣旨も示され、大きな注目を集めました。冗談として書かれた部分ではあるものの、Schafer氏は条件を満たせるなら本当に制作すると明言しています。Jack Black氏の参加について本人を説得できることが前提になりますが、実現するなら現在の仕事をすべて脇に置いて続編に取り組みたいとしています。

ただし、その目標額を実際に達成できる可能性は高くないとも話しており、今回の発言は続編制作が決まったというニュースではありません。Schafer氏は、もしBrutal Legend 2を望む資産家がいるなら支援してほしいと冗談めかして呼びかけました。少なくとも現時点で、続編の制作資金や具体的な計画が確保されたわけではありません。

ゲーム業界全体の状況について、Schafer氏は非常に厳しい見方を示しています。スタジオの閉鎖や開発者の離職が続く状況は少なくとも4年間悪化し続けており、これほど深刻な落ち込みを見たことはないということです。これまでは業界には好況と不況の周期があり、いずれ回復するとチームを励ましてきたものの、現在の不況は過去に経験したものより長く、底も深いとしています。

AIが開発者の仕事をすべて置き換えたわけではなく、ゲームを作るために人が必要である状況も変わっていません。それにもかかわらず、なぜ多くの雇用が失われているのか、ゲーム自体は作られ続けているのに仕事がどこへ消えたのかについて、Schafer氏は明確な答えを持っていないと話しました。ゲーム制作を志す人々の多くは、技術企業でより高い収入を得られる可能性があっても、ゲームが好きだからこの業界にいるとしています。

そのため、開発者にはゲームを作ること自体を楽しんでほしいというのがSchafer氏の考えです。ゲーム制作は難しい仕事であり、好きという気持ちがなければ続けるのも容易ではありません。Microsoftから独立したDouble Fineは、厳しい業界環境のなかで大型作品だけに依存せず、小規模な実験とファンとの交流を重ねながら、次の大きなプロジェクトへ進むための道を探っています。