『PSOne』が家庭用ゲーム機の小型化競争を広げた理由
2026年09月12日 | #その他 | DualShockers
現在では、現行ゲーム機の発売から数年後に、より小型で扱いやすいモデルや、性能・機能を調整した派生機が登場することは珍しくありません。その流れを象徴する存在のひとつが、初代PlayStationを大幅に小型化した本作です。次世代機の登場を控えた時期にもかかわらず、既存のゲームライブラリを求める新規ユーザーを取り込み、後のハード展開にも影響を与えました。
初代PlayStationを小型化したモデル
ソニーは1994年に初代PlayStationを発売し、家庭用ゲーム機市場へ本格参入しました。任天堂との対立を経て始まった事業でしたが、PlayStationは大きな成功を収め、1994年から2000年にかけて家庭用ゲーム機市場で強い存在感を示したと原文筆者は振り返っています。
一方で、2000年にはPlayStation 2の登場が控えていました。新型機への移行が近づくなか、ソニーは初代機にもまだ需要が残っていると判断し、外観とサイズを大きく変えた小型モデルを投入しました。それが本作です。原文では、初代PlayStationを「赤ちゃんのような」サイズにしたモデルと表現されており、従来機よりも親しみやすい外観が印象に残る存在として紹介されています。
本作は単なる縮小版というだけでなく、PlayStationブランドに初めて触れる人にとっての入口にもなりました。原文筆者は、1998年から1999年にかけて、学校の友人たちからMetal Gear SolidやFinal Fantasy 7の話を聞き、PlayStationを欲しがっていたものの、当時はNintendo 64しか持っていなかったと説明しています。その後、家族から旅行の最後に本作を買ってもらった経験が、現在まで続く愛着につながったとのことです。
次世代機を前にしても続いた需要
注目されるのは、本作がPlayStation 2の発売を控えた時期に登場しながら、発売後数か月の販売でPlayStation 2を上回ったとされている点です。次世代機が発表されれば旧機種の需要はすぐに失われるという単純な流れにはならず、初代機向けのゲームや周辺機器を含む環境に、なお大きな市場が残っていました。
PlayStationのゲームライブラリには、すでに多くのユーザーが関心を持っていました。新作ハードの性能を求める層とは別に、手元にあるゲームを遊び続けたい人や、これまでPlayStationを持っていなかった人が存在していたためです。本作は、そうした需要を小型化と新しい外観によって掘り起こす役割を担いました。
さらに、本作には専用アクセサリーも用意されました。なかでも、コンソール本体に取り付けられるLCDスクリーンは、携帯型ゲーム機そのものではない本作に、持ち運びやすさを意識させる独自の魅力を加えています。原文ではこのLCDスクリーンを特に印象的なアクセサリーとして挙げており、本体だけでなく周辺機器を含めて商品展開を広げていたことが分かります。
初代PlayStationの発売から6年が経過した時点でも、そのゲームソフトと周辺環境には十分な価値が残っていました。本作の予想以上の成功は、発売直後の新型機だけでなく、時間を経たハードを別の形で売り直すことにも可能性があると示しました。
各社へ広がった小型モデルの発想
小型化したハードを後から投入する手法は、本作をきっかけに家庭用ゲーム機市場でより一般的なものになりました。ソニーはその後もPlayStation 2で同様の展開を行い、2000年の発売から数年後に、2004年にはスリムモデルを発売しています。以降のPlayStationでも、発売から時間が経った後に、何らかの改良版や小型モデルが登場する流れが続きました。
他社もそれぞれの形でこの方法を取り入れています。Microsoftは初代Xboxでは更新モデルを発売しませんでしたが、2010年にはXbox 360の小型版であるXbox 360 Sを投入しました。任天堂も2012年に、Wiiをさらに小さく、親しみやすい形にしたWii Miniを展開しています。いずれも、本体の世代交代だけではなく、既存のブランドやゲーム環境を別の売り方で再提示する動きといえます。
近年もこの考え方は形を変えて続いています。Nintendo Switch LiteはSwitchファミリーに加わる別モデルとして展開され、ソニーは2018年にPlayStation Classicを発売しました。前者は既存ハードの系譜に新しい選択肢を加えた例、後者は過去のPlayStationを振り返る商品として位置づけられています。
ただし、現在はゲーム機の製造コストも購入価格も高くなっており、本作のように外観を小さくして新鮮さを演出することは、以前ほど簡単ではないと原文筆者は指摘しています。小型化によって得られるインパクトと、製品を作るための費用を両立させる難しさが増しているためです。
新しいユーザーを招いた存在
本作が残した意味は、単に初代PlayStationを小さくしたことだけではありません。PlayStation 2が迫るなかで、初代機のソフトや周辺環境にまだ大きな需要があることを示し、ゲーム機は発売時の一度きりの形だけで売られるものではないと印象づけました。小型化、外観の変更、専用アクセサリーの追加によって、すでに知られたハードを新たな層へ届ける道を開いたのです。
原文筆者は、本作を過去のゲーム業界を思い出させる存在だとしています。当時は現在とは市場の状況も、プレイヤーと開発者が重視するものも異なっていました。それでも、本作が新しい世代のプレイヤーをPlayStationの世界へ導いたことは否定できないと評価しています。次世代機の陰に隠れて消えていくのではなく、世代の境目でブランドを広げた小型モデルとして、現在のハード展開を考えるうえでも印象的な一台です。