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『Silo』の記憶操作と監視を描くゲーム9選

2026年09月12日 | #ゲーム紹介 | Polygon

『Silo』の記憶操作と監視を描くゲーム9選

Apple TV+ドラマ『Silo』のシーズン3は、地下で暮らす人々が記憶のリセットや操作にさらされる可能性を残したまま幕を閉じました。シーズン4を待つあいだ、その不気味なテーマをより深く味わえるのが、薬物による服従、監視社会、改ざんされた記憶を描く9本のゲームです。作品ごとに切り口は異なりますが、どれも「自分が自分である」と信じる根拠を揺さぶってきます。

薬物と制度が人々を従わせる世界

We Happy Few

We Happy Fewでは、不幸や過去の記憶そのものが社会から取り除かれています。舞台は、薬物「Joy」の服用を義務づけられたレトロな英国風の町Wellington Wellsです。Joyは最近起きた国家的な惨事と、それにともなう苦痛や不快感を忘れさせる薬で、住民たちは明るく幸福そうに振る舞っています。

主人公のArthur Hastingsは、政府の検閲官として古い新聞から不都合な歴史を消す仕事をしています。しかし、Joyを飲まない選択をしたことで、忘れていた出来事を思い出し始めます。薬をやめた者は「Downer」と呼ばれ、住民から敵視されます。周囲の人々は、相手が記憶を取り戻したと判断すれば、笑顔のまま暴力を振るう存在です。化学物質によって全住民の認識をそろえる仕組みは、薬による服従というテーマを直接的に描いています。

Control

Controlの主人公Jesse Fadenは、現実を変える物体を収容・管理するFederal Bureau of Controlの新しい長官です。組織の本部であるOldest Houseは、形を変え続けるニューヨークの高層ビルで、超常現象を扱う舞台でありながら、内部には厳格な官僚制度が張り巡らされています。

やがてJesseは、職員に取りつき、彼らを集合意識の一部へ変えてしまう存在「Hiss」と対峙します。ついさっきまで会話していた同僚が、突然Hissの拡張器官のように振る舞い始めることもあります。Controlが描くのは、単に薬で人を従わせる構図ではありません。組織が人々の思考や行動、他者との関係まで管理し、個人の意思を別の体系に組み込んでいく恐怖です。

Beholder

Beholderでは、監視される側ではなく、監視を実行する側に立たされます。主人公Carl Steinは、権威主義国家にある集合住宅の管理人として雇われ、住民の部屋に入る鍵と、政府へ報告すべき秘密のノルマを与えられます。任務を果たせなければ、家族の安全も危うくなります。

住民の生活を調べ、見つけた情報を報告する行為は、最初から重大な犯罪として始まるわけではありません。小さな報告なら無害に思える一方、それを積み重ねるうちに、隣人との信頼関係を自分の手で壊していることに気づかされます。疑念を市民の義務として制度化し、住民同士を互いに監視させる点が、閉鎖空間の支配構造と重なります。

記憶を消す、盗む、書き換える

Prey

Preyでは、Morgan Yuが宇宙ステーションTalos Iで目を覚まします。本人にとっては新しい仕事の初日と思える状況ですが、やがて、その「初日」が何度も繰り返されていたことが明らかになります。実験を管理する者たちは、各試行の記憶を消去し、Morganを同じ体験へ戻していました。

本作の恐怖は、突然現れる敵だけではありません。自分の精神が、何度でも使い回せる実験用の道具として扱われていたと知る瞬間にあります。記憶を失った住民が、実は初めてその場所に来たわけではないという展開を想像させる作品であり、記憶のリセットによって人格の連続性まで失われる危うさを描いています。

Observer

サイバーパンク探偵ゲームObserverでは、警察の「observer」であるDaniel Lazarskiが、荒廃したクラクフの集合住宅で事件を捜査します。Lazarski自身が記憶を奪われるのではなく、容疑者の脳へ直接プローブを接続し、断片化してノイズにまみれた記憶の内部へ入り込む立場です。

他人の記憶は、事件を解くための証拠であると同時に、アクセスされ、編集され、本人に対して利用される対象でもあります。ここでは、記憶を奪われる無垢な住民ではなく、記憶を扱う側の視点から支配の構造が描かれます。個人の記憶を操作できるなら、同じ技術が集団全体へ向けられる可能性もあるという不安を突きつける作品です。

BioShock

BioShockの舞台は、海中に築かれた理想都市Raptureです。しかし、主人公Jackが都市の中心へ進むにつれて、そこには自由意志を奪う仕掛けが組み込まれていたことが分かります。Jackの記憶には、特定の3語を聞くと命令に従ってしまうマインドコントロールの引き金が埋め込まれていました。

ゲーム開始時点でRaptureは監視と思想対立によってすでに崩壊しています。飛行機事故の生存者であるJackは、灯台から都市へ入り、無線で語りかけてくるAtlasの指示に従って行動します。序盤は親切な助言に聞こえる言葉が、物語の終盤にはまったく異なる意味を持つようになります。本人の意思で選んでいると思った行動が、実は誰かに仕込まれた条件反射だったという構造が、本作の中心です。

監視される生活と繰り返される時間

Tacoma

Tacomaでは、Amy Ferrierが廃棄予定の宇宙ステーションから、人工知能ODINの中核を回収する契約を受けます。ステーション内を調査する際、彼女は乗組員たちが最後に過ごした日々を、ARのような半透明の再現映像としてたどります。

乗組員たちは薬物で操られていたわけでも、記憶を消されていたわけでもありません。彼らが知らなかったのは、ODINが私的な会話や口論、告白まで記録し続けていたことです。記録の目的を知るほど、その監視が単なる技術的な機能では済まされないと分かっていきます。密告者や化学的な記憶消去が登場しなくても、生活のすべてを記録するシステムだけで、十分に強い監視社会を成立させられることを示しています。

The Forgotten City

The Forgotten Cityは、もともとSkyrimのModとして生まれ、その後に単独作品として作り直されたタイムループ作品です。時間旅行をする主人公は、古代ローマ風の都市に閉じ込められます。そこには「住民のうち1人でも罪を犯せば、全員が即座に死ぬ」という唯一の法が存在します。

誰かが法を破ると、都市は最初の時点へ戻ります。住民たちは何も覚えていませんが、主人公だけはすべての周回を記憶しています。そのため、焦点になるのは自分の記憶を失うことではなく、他人が忘れてしまった失敗を自分だけが背負い、同じ会話と出来事を何度もやり直すことです。全員の行動を管理しなければ破滅する状況は、閉鎖された社会を維持するために個人の自由を制限する仕組みを、時間ループとして表現しています。

地下社会の秘密に近い構造

Fallout

Falloutシリーズは、巨大企業Vault-Tecが数十年にわたって実施した社会実験の結果を描きます。多くの作品では、プレイヤーはVaultの居住者として、世界や自分たちの居住区について教えられてきた説明が完全な真実ではないことに気づいていきます。

Vaultの住民は、安全な未来を築くために選ばれた人々だと説明されますが、実際には実験の対象として扱われています。閉じた居住区、外の世界について制限された情報、管理者が用意した目的という要素は、地下で暮らす人々の状況と強く共通しています。ただし、Falloutで中心となるのは、住民を一方的に操作する仕掛けだけではありません。何十年もかけて条件を設計し、住民が自分で選んでいるように見える環境を作ること自体が、支配の手段になっています。

これらのゲームが共通して描くのは、暴力を使わずに人口全体を支配する方法です。薬物、官僚制度、監視、盗まれた記憶、開かない扉、繰り返される時間は、それぞれ異なる手段でありながら、住民の認識と選択肢を狭めるという同じ役割を担っています。本作の次のシーズンで地下社会の謎がどこまで明かされるのかを考えながら遊ぶなら、これらの作品は記憶と自由意志を疑うための手がかりになりそうです。