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『Chronicles Medieval』歴史考証とアクションを両立する中世戦略ゲーム

2026年09月12日 | #ゲーム紹介 | Eurogamer

『Chronicles Medieval』歴史考証とアクションを両立する中世戦略ゲーム

百年戦争期のヨーロッパを舞台に、軍勢を指揮する戦略性と自ら戦場に立つアクションを組み合わせた『Chronicles Medieval』が、歴史ファンのこだわりを前面に押し出した作品として注目を集めています。Gamescomで披露されたデモでは、実在の地理や中世の装備を再現した広大な世界と、プレイヤーが遠隔指揮から近接戦闘へ移行する独自の戦闘システムが紹介されました。開発チームは、史実の再現だけで遊びにくくならないよう、現実に基づく制約とゲームならではの選択肢のバランスを重視しているとのことです。

実在の地理と装備を再現した戦場

本作の舞台は、強大な軍隊が領土を奪い合った百年戦争期のヨーロッパです。Raw Power GamesのリードプロデューサーSam Millen氏とシニアゲームデザイナーGareth Bourn氏は、歴史好きのスタッフが多く、制作にあたって大量の調査を行ったと説明しています。Gamescomのデモでは、南イングランドを再現したマップ上をスクロールしながら、各地に配置された町や村が紹介されました。

マップには合計209の地域が存在し、まだ発見していない場所は羊皮紙を思わせるフォグ・オブ・ウォーに覆われています。町や村は当時の実在地点に合わせて配置され、ゲーム開始時の規模も歴史上の規模を基準に設定されています。単に中世風の景観を用意するのではなく、当時の地理的な関係まで世界の構造に組み込んでいる点が特徴です。

歴史考証へのこだわりは戦闘にも及びます。騎士の紋章は実在した人物のものに対応し、使用する武器や身につける鎧も時代に即したものとして設計されています。開発チームは歴史学者と協力して考証を進め、さらに社内にはHEMA、つまり歴史的ヨーロッパ武術の専門家も在籍しているとのことです。

こうした再現性について、Bourn氏は「この時代を正確に表現することは重要なので、徒歩でランスを使うような不自然な行動はできない」と説明しています。一方で、史実上は一般的でなかった選択肢も一定範囲で可能にするなど、プレイヤーの自由を完全に制限する方針ではありません。現実に存在した戦い方を土台にしながら、ゲームとしての意外性も残す設計が目指されています。

指揮と三人称アクションを切り替える戦闘

戦闘は、タクティカルストラテジーと三人称視点のアクションRPGを組み合わせた形式です。まず上空から戦場を見渡し、開始地点として設定された範囲内に部隊を配置します。この段階では、戦闘開始後に実行する移動や攻撃の手順をあらかじめ組み立てることも可能です。デモでは、騎兵に敵軍の側面を回り込ませ、背後から攻撃させる作戦が示されました。

準備が終わると視点は三人称に切り替わり、プレイヤーは自分のキャラクターを直接操作します。時間の流れが遅くなった状態では、部隊の位置を変更したり、敵の突撃に備えて槍を構えさせたりと、戦闘中の指示を追加できます。その後、戦いが本格化すると、指揮だけでなくプレイヤー自身も武器を手に戦場へ参加できます。

騎乗したまま武器を構えて高速の攻撃を繰り出すことも、馬から降りて敵と近距離で渡り合うことも可能です。Millen氏によれば、この仕組みは戦場における指揮官の二面性を表現したものです。軍全体を遠くから動かす立場でありながら、必要な場面では兵士とともに泥の中へ入り、直接戦うという体験を、視点と操作の切り替えで表現しています。

原文筆者は、この構造について、歴史上の戦闘から着想を得たものだと紹介しています。一般的なストラテジーゲームのように部隊の配置だけを考えるのではなく、戦場の状況を見ながら自分の腕前で局面を変えられるため、軍勢の運用と個人戦闘が分離していません。どのタイミングまで全体指揮に徹し、いつ自ら前線へ出るかが、戦闘中の判断になります。

勝利を重ねて軍と指揮官が成長

ゲーム開始時、プレイヤーは少数の硬貨を使って農民や戦闘に不慣れな兵士を集めることになります。指揮官自身の武器の扱いやリーダーシップも、最初から高いわけではありません。戦闘に勝利して経験を重ねることで、プレイヤーキャラクターは新たな攻撃を習得し、部隊も複数の戦場を生き残るほど成長していきます。

生存した部隊は結束力を高め、編隊がより密接になることで戦闘効率も向上します。したがって、勝利そのものだけでなく、どの兵士を生還させるかも長期的な軍の強さに影響します。序盤の未熟な兵士を使い捨てるのか、経験を積ませて主力へ育てるのかという判断が、戦役の進行に結びつく仕組みです。

この成長要素は、無名の指揮官が有力な軍事指導者へ近づいていくという本作のテーマを支えています。個人の戦闘能力と軍勢のまとまりが別々に強化されるため、プレイヤーが戦場でどの役割を担うかによって、成長の実感も変わると考えられます。

騎兵突撃に組み込まれた馬の拒否

歴史考証と遊びやすさの両立を象徴する要素として、騎兵突撃と、Millen氏が「horse refusal」と呼ぶ仕組みも紹介されました。ランスを持った騎士の部隊は、騎乗突撃によって大きな損害を敵に与えられます。しかし突撃を終えた後は、死体や流血が広がる戦場から騎士と馬を引き離し、再編成して次の突撃に備えなければなりません。

さらに、馬が常に命令どおり敵陣へ走り込むとは限りません。戦場の混乱や危険を前にして、部隊内の1頭が突撃から離れる可能性があります。馬が攻撃を拒むことは現実の戦闘でも起こり得たとされ、本作ではそれをゲーム中の出来事として再現しています。

この仕組みは、プレイヤーにとっては突撃の結果を完全には固定できない要素ですが、単なる不確定要素にとどまりません。Bourn氏は、こうした細かな仕様について「面白さやプレイヤーへの利点のために存在し、歴史に詳しい人なら、馬が突撃を拒んだこと自体を楽しめる」と説明しています。安価な傭兵は訓練された貴族より結束力が低いといった差も含め、身分制度や生活のあり方を部隊の性能として表現しているとのことです。

封建制度における家臣、男爵、伯爵、公爵、法律といった要素も、システムや機能を通して世界に反映されます。Raw Power Gamesは、こうした細部を積み重ねることで、史実をなぞるだけではない、中世社会の構造を感じられるゲーム世界を作ろうとしています。