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『Urban Chaos』がGTA 3以前に示したオープンワールドの原型

2026年09月13日 | #ゲーム紹介 | DualShockers

『Urban Chaos』がGTA 3以前に示したオープンワールドの原型

オープンワールドゲームの歴史を振り返ると、転機としてGrand Theft Auto 3が語られがちですが、その数年前に同じ方向性を先取りしていた作品がありました。1999年に登場した『Urban Chaos』は、広い3D空間での探索、車の運転、銃撃戦、格闘、犯罪者の逮捕を1つのゲームに組み込んだ先駆的な作品です。現在の基準では古さも目立つ一方、後のジャンルに定着する要素をまとめて提示した点が注目されます。

GTA 3以前に実現していた都市型オープンワールド

本作を開発したのは、元Bullfrog Productionsのスタッフで構成されたMucky Foot Productionsです。同社は1997年から2003年まで活動し、合計3本のゲームを発売しました。パブリッシャーは、Tomb RaiderやLegacy of Kainで知られていたEidosです。本作は1999年にPC向けとして発売され、翌2000年には初代PlayStationとSega Dreamcastにも移植されました。

当時のゲーム業界では、広いフィールドを用意すること自体が大きな挑戦でした。まして、そこに車両操作、射撃、近接戦闘、複数の犯罪イベント、ストーリーを同居させるのは簡単ではありません。原文筆者は、本作がそれらを一度に成立させていた点を、後のオープンワールド作品へつながる重要な特徴として評価しています。

本作の舞台は、途切れのない1枚のマップではありません。エリアはいくつかの区画に分割されており、Grand Theft Auto 3のようなシームレスな都市とは異なります。それでも、ステージを終えたあとに再び街へ戻り、そのまま周囲を探索したり、犯罪を見つけて介入したりできる構造は、現代のオープンワールドに通じるものです。区画ごとに分かれていることが、ゲームへの没入感を大きく損なうわけではありません。

チュートリアルの作りも、当時の作品としては工夫されています。運転、射撃、格闘の基本を短時間で学べるうえ、最低限の操作を覚えるとすぐに本編の行動へ移れます。長い説明を強制されるのではなく、さらに高度な操作を学べる追加チュートリアルには別のボーナスも用意されていました。原文筆者は、チュートリアルの煩わしさを意識しながら、必要な導入だけを済ませてプレイヤーを街へ送り出す設計に本作の個性が表れているとしています。

犯罪を探して街を走り回る自由

本作の基本的な遊び方は、街を移動しながら犯罪を見つけ、犯人を止めることです。主要な目的は用意されていますが、ゲーム側がそれだけを急かすことはありません。プレイヤーは車で街を走り回り、偶然発生する事件に首を突っ込み、目の前の混乱を自分の判断で処理できます。

遭遇する事件は、通行人への強盗から車両強盗までさまざまです。ある場面ではひったくり犯を追い、別の場面では車を奪おうとする犯罪者を阻止することになります。こうしたサイド犯罪は、決められたミッションを順番にこなすだけでは得られない予測不能さを生み出していました。街の新しい区画へ入るたびに何が起こるか分からないことが、探索そのものの動機になっています。

犯罪者への対処方法も1つではありません。相手を倒して殺害することもできますが、殴り倒したあとで逮捕することも可能です。同じ状況でも、どのように解決するかをプレイヤーが選べる仕組みは、1999年の作品としては珍しいものでした。原文筆者は、犯人を制圧して逮捕する一連の流れに、本作ならではの荒唐無稽な楽しさがあると述べています。

戦闘とカメラ操作は、発売当時のゲームらしい癖を強く残しています。射撃や格闘の感触は現代の作品と比べて扱いづらく、カメラも慣れを必要とします。ただし、操作方法を理解すれば楽しめるようになるタイプで、古い作品に特有の不便さだけで終わっているわけではありません。

一方、運転は比較的好感触です。車は滑るようなルーズな挙動を見せ、厳密なリアルさよりもアーケードゲーム的な爽快感を重視しています。原文筆者は、その感覚をSega Rallyのような本格派ではなく、Crazy Taxiに近いものとして説明しています。犯罪を追うための移動手段でありながら、街を走ること自体が独立した楽しさになっている点は、本作の重要な長所です。

サ​​タイアと混沌が支える独自の世界

本作の価値は、ゲームシステムの先進性だけではありません。登場人物や一般市民は奇妙な言動を見せ、街全体が現実の都市を模倣した不安定な空間として描かれています。原文筆者は、その世界を「宇宙人が想像した人間社会のシミュレーション」のようだと表現し、風刺的でシュールな雰囲気こそが長く記憶に残る理由の1つだとしています。

タイトルが示す通り、街では混乱や災難が常に起こります。プレイヤーは正義のために行動する立場ですが、そこで展開される出来事は必ずしも重厚な犯罪ドラマではありません。犯罪者を追い、車を走らせ、街の騒動へ介入する過程には、意図的に大げさでばかばかしい感覚があります。運転、銃撃、格闘、逮捕という要素が、風刺的な世界観の中で一体化しているのです。

ただし、本作が当時から広く知られていたわけではありません。2001年にPlayStation 2向けのGrand Theft Auto 3が登場すると、オープンワールドというジャンルは一気に大きな注目を集めました。さらに、The Elder Scrolls III: Morrowindの登場も控えており、本作が示していた方向性は、より大規模で洗練された作品によって実現されていきます。

1999年の市場では、Gran Turismo 2も大きな存在感を放っていました。同作は発売から6カ月で100万本以上を出荷し、1999年後半の話題を占める存在になったとされています。その結果、本作は後続の大作に挟まれる形で、ゲーム史の表舞台から早くに押し出されてしまいました。

再評価を支えたソースコード公開

知名度を失った一方で、本作には現在も熱心なファンがいます。革新的なシステムだけでなく、風刺とシュールさに満ちた世界観を支持する人が多く、カルト的な人気を保ってきました。原文筆者もその魅力を高く評価しており、単なる技術的な先駆者ではなく、独特の空気を持った作品として本作を捉えています。

Mucky Foot Productionsでは、本作の続編も計画されていましたが、同社の活動末期に中止されました。その続編は、後にRocksteady Gamesが関わることになったとされています。Rocksteady GamesがBatman Arkhamシリーズで都市犯罪を題材にした作品を手がける数年前の出来事であり、本作の系譜が別の形で受け継がれる可能性もあったことが分かります。

2017年には、Mucky Foot Productionsの主要な創設者の1人であるMike Diskett氏が、本作のソースコードをGitHubで公開しました。これにより、ファンはソースポートの制作に取り組めるようになり、現代の環境で動作させるための活動も進みました。その後、本作はGOGとSteamで現行PC向けに遊べる形でも展開されています。

本作は、オープンワールドというジャンルを完成させた作品ではありません。マップは区切られ、操作やカメラには時代相応の難しさがあり、後年の作品と同じ規模や快適さを備えているわけでもありません。それでも、広い都市を自由に動き、犯罪に遭遇し、車や戦闘を使って複数の方法で問題を解決するという発想を、1999年の段階で形にしていました。Grand Theft Auto 3によってジャンルが大きく発展する前に、その原型を提示していた先駆者として、今なお掘り起こす価値のある1本です。