PS5向けJRPGで主人公を上回る存在感を放つ敵役10選
2026年09月14日 | #ゲーム紹介 | DualShockers
JRPGでは、世界を救おうとする主人公よりも、対立する敵役のほうが強く印象に残ることがあります。悲劇を否定するために時間へ干渉する人物、主人公の理想を正面から否定する人物、そして別の作品なら主人公になっていたと思わせる人物まで、その理由はさまざまです。原文筆者が選んだPS5向けJRPGの10作品から、特に物語を動かす敵役たちを紹介します。
悲劇と運命に抗う敵役
『Scarlet Nexus』で取り上げられているのは、Karen Traversです。彼の目的はAliveを救うことですが、そのために時間へ大きく干渉し、現在だけでなく無数に存在し得た未来まで破壊しかねない行動に踏み込みます。単純な悪意や計略から世界を壊そうとしているのではなく、避けられなかった悲劇を受け入れられず、感情のままに過去を変えようとしている点が特徴です。
この人物を通じて描かれるのは、運命と自由意志の関係、記憶や人格の同一性、過去を変えることが現在を犠牲にしても許されるのかという問題です。原文筆者は、義務感や正義感から行動する主人公よりも、取り返しのつかない結末を招くと分かっていても悲劇を拒み続けるKarenのほうが、感情的な説得力を持つと評価しています。
『Visions of Mana』のDaelophosは、もともとMana Goddessに仕える英雄でした。しかしCeruliaの死を経験したことで、その仕組み自体に反旗を翻します。喪失、裏切り、復讐を経て、世界を支えるシステムそのものを拒絶する人物であり、仕組みの内側を知っているからこそ、それが何をもたらすのかも理解している存在です。
Daelophosは、主人公Valが同じ世界の理想を信じる人物だとすれば、その理想に傷つけられた後の姿ともいえます。原文筆者は、設定の魅力に対して実際の描写が十分に応えられていないとしながらも、「もしこの前提がより深く描かれていたら」という可能性を強く感じさせる点で、主人公以上に興味を引かれる敵役だとしています。
『Digimon Story: Time Stranger』では、Chronomonが運命に抗う存在として挙げられています。主人公のAgentが状況に反応しながら物語を進めるのに対し、Chronomonはあらかじめ定められた運命から逃れ、自分自身の選択を得ようとします。その試みは最終的に失敗へ向かうものですが、どうにもならない結末を知りながら抗う姿勢が、主人公の比較的平凡な物語よりも魅力的に映るとのことです。
主人公の理想を映し返す存在
『Like a Dragon: Infinite Wealth』のMatasaka Elbinaは、主人公Ichibanの思想を反転させたような人物です。Ichibanが他人を助け、やり直す機会を与えようとするのに対し、Elbinaは人を罰することを望みます。楽観的で共感力があり、周囲から好かれるIchibanとは正反対に、Elbinaは世界を冷笑し、憎悪と復讐を行動の原動力にしています。
重要なのは、Elbinaが単なる悪人として配置されているわけではない点です。彼はIchibanの哲学によって自分が傷つけられたと考えており、その経験から復讐を選び取っています。主人公には物語上の成功が約束され、他者を救う姿勢も肯定されますが、もしその立場を取り除いたら、Elbinaのほうが現実を正しく見ているのではないか。原文筆者は、彼を通して主人公の理想が招くかもしれない負の結果を考えさせられるとしています。
『Final Fantasy XVI』のHugo Kupkaは、Cliveとは対照的な方法で強い存在感を示します。Cliveは、責任感と名誉を胸に次々と問題へ向き合い、感情を抑えながら解決していく人物です。内側には優しさを秘めていますが、基本的には動じないタイプとして描かれています。
一方のHugoは、感情をむき出しにし、政治的な野心を隠さず、圧倒的な体格と派手な言動で周囲をねじ伏せます。彼が何を望み、なぜそれを望み、目的のためにどこまで行動するのかが明確です。原文筆者はCliveをお気に入りの主人公の1人だとしつつも、Hugoは登場するだけで状況を破壊していく「巨大な鉄球」のような人物であり、その破壊力を見届けたくなるほど魅力的だと述べています。
主人公より明確な意思を持つ敵役
『Granblue Fantasy: Relink』では、主人公がプレイヤーの分身として意図的に無個性に作られています。プレイヤーが判断やロールプレイを投影できる一方で、主人公自身の感情や行動は薄くなります。その結果、敵役であるIdのほうが物語上の人物として際立っています。
Idはプレイヤーの操作を待つだけではなく、自ら行動し、Lyriaとの感情的なつながりもはっきり示します。対立、トラウマ、執着を抱え、それらが互いに矛盾しながら人物像を形作っている点も特徴です。評価が分かれる人物ではあるものの、原文筆者は、好き嫌いを巡って長く議論できること自体が、平均的で印象の薄いキャラクターにはない魅力の証拠だと見ています。
『Final Fantasy VII Rebirth』のSephirothは、過去作での積み重ねをすでに持っているため、登場時点から多くの情報と印象を備えています。さらに、リメイクチームは本作でSephirothの登場場面と物語への関与を強め、行動する人物としての存在感を高めました。
対するCloudは、物語上の重要な理由から自分が何者なのか確信を持てない状態にあります。この不確かなアイデンティティは物語を面白くする一方、人物としての主体性ではSephirothに及びにくい要因にもなっています。Sephirothの印象的な演出やテーマ曲を差し引いても、彼は自ら物語を動かし、Cloudはその行動に反応する構図が目立ちます。原文筆者は、この違いからSephirothのほうがより興味深いキャラクターに見えるとしています。
『Fairy Tail 2』では、NatsuとZerefが対比されています。Natsuは仲間を守り、敵を倒し、世界を救うという、分かりやすく前向きな主人公です。決して悪い人物ではありませんが、その動機はJRPGで繰り返し描かれてきた英雄像に近く、感情面での複雑さには欠けると原文筆者は指摘します。
Zerefは不死の呪いを受け、何世紀にもわたって愛する人々の死を見続けてきました。その経験が彼に背負わせたものは、Natsuのまっすぐな勇気よりもはるかに重く、複雑です。原文筆者はZerefを、別の結末を迎えていればNatsuになっていたかもしれない存在として捉えています。主人公がたどらなかった可能性を敵役が体現しているからこそ、より強く惹かれるという評価です。
悲劇を背負う人物と、別作品なら主人公になれた人物
『Clair Obscur: Expedition 33』からはRenoirが選ばれています。本作の主要キャラクターはそれぞれ独自の魅力を持っているため、誰か1人だけを上位に置くのは難しいとしつつ、原文筆者はRenoirがその中でも抜きん出ていると評価しました。
Renoirは、Canvasの外側にある「現実世界」の問題と、Canvasの内部で起こる問題の双方に関わり、物語の複数の階層で対立を抱えています。謎が残っている段階でも、すべての事情が明らかになるAct 3でも興味を失わせません。彼の物語は、喪失をどう受け止めるか、前へ進むことにどんな価値があるのか、悲劇が人間関係にどのような深い亀裂を生むのかを描きます。
原文筆者は、Maelleがなぜその行動を取るのかは理解できる一方で、現実世界で生きるほうがよいと主張するRenoirの考えには、自分自身を重ねられるとしています。超人的な使命よりも、悲しみを抱えながら現実を受け入れようとする姿勢に現実味を感じたことが、Renoirを高く評価する理由です。
『Metaphor: ReFantazio』のLouis Guiabernは、物語の中心に位置する強烈な敵役です。彼は自身の政治的な優位性と人気を利用し、望むものを手に入れようとします。善人ではなく、残酷な人物であることも原文筆者は明確に認めています。
それでもLouisが魅力的なのは、目的、欲望、行動、思想がすべてはっきりしているからです。主人公Willにも物語上の紆余曲折はありますが、Louisは明確な世界観を持ち、結果を伴う決断を下し、世界の舞台で自ら事態を動かします。原文筆者は、Louisならもっと暗い作品の主人公にもなれたはずだと考えており、主人公ではなく敵役として登場することが、かえって本作の物語を際立たせているとまとめています。