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『MTG Arena』にCommander実装の可能性、ただし実現には大規模な開発が必要

2026年09月17日 | #発売情報 | IGN

『MTG Arena』にCommander実装の可能性、ただし実現には大規模な開発が必要

『Magic: The Gathering』で最も人気の高い対戦形式のひとつ、Commanderが、デジタル版のMTG Arenaに追加される可能性が浮上しています。Wizards of the Coastの担当者は「開発に取り組んでいる」と説明しましたが、実装時期は近くないとの見通しを示しました。4人対戦を前提としていなかったゲームの基盤を大きく変更する必要があり、単純な新モード追加では済まないようです。

Commanderが支持される理由

Commanderは、通常の1対1ではなく、3人から4人、場合によってはそれ以上の人数で遊ぶマルチプレイ形式です。各プレイヤーは100枚のデッキを用意し、同名カードを複数枚入れられるのは基本土地に限られます。デッキの中心には「統率者」と呼ばれるカードを置き、そのカードの色の組み合わせであるカラー・アイデンティティに合ったカードだけを採用します。

最大の特徴は、プレイヤーが好きな伝説のクリーチャーを統率者に選び、そのカードを軸にデッキや戦い方を組み立てられる点です。カードの物語やイラストを気に入って選ぶこともできれば、独特な能力やコンボを活かす構築を目指すこともできます。あらかじめ構築されたデッキを使えば、複雑なデッキ構築をせずに友人同士で遊び始められるため、カジュアルな対戦にも向いています。

また、Commanderは参加者を増やしやすい形式でもあります。3人で遊んでいるところに4人目が加わるといった形で、固定人数の1対1対戦よりもグループで楽しみやすいのが特徴です。一般的な対戦形式と比べて禁止カードの扱いも厳密に一律で決められているわけではなく、参加者同士で事前に合意して遊ぶ余地があります。Wizards of the CoastはCommander向けの構築済みデッキも展開しており、紙のカードゲームでは大きな存在感を持つ形式になっています。

Arenaで実装されていない背景

一方、現在のArenaはCommanderを正式にはサポートしていません。最大の課題と考えられるのが、プレイヤー人数の違いです。Arenaは基本的に2人対戦を想定して設計されましたが、Commanderを再現するには少なくとも4人が同じゲームに参加できる仕組みが必要になります。3人対戦から4人以上の対戦まで、人数の変動に対応するシステムも求められます。

Commanderのゲームが長時間に及ぶことも問題になります。Arena側には、同じ対戦を数時間にわたって維持できる仕組みや、途中離脱が起きた場合の処理、各プレイヤーの状態を正確に管理する機能が必要です。さらに、専用のデッキ構築画面、統率者によって与えられたダメージの記録、複数人のターン進行や優先権の処理など、通常の2人対戦にはない要素を新たに設計しなければなりません。

カードの扱いも大きなハードルです。Commanderを意識して作られたカードは数百枚に及び、ローテーションによって使用可能カードが入れ替わる形式ではありません。そのため、長期間にわたって蓄積されたカード群を、デジタル版でどの範囲まで使用可能にするのかを決める必要があります。過去のカードをArena内でどのように入手できるようにするかも、運営と収益の両面で解決すべき課題です。

Wizards of the Coastが示した見通し

Wizards of the Coastでデジタル製品を担当するシニア・デジタル・プロダクト・マネージャーのDave Finseth氏は、ArenaへのCommander追加について「開発に取り組んでいる」と説明しました。ただし、すぐに提供できる段階だとはしていません。Arenaの開発当初は、4人対戦を想定せず、StandardやDraftをどのように成立させるかが中心だったためです。

Finseth氏は、Commanderの導入には「巨大な作業」が必要になると指摘しています。ゲームデザインとエンジニアリングの両方に、現在は一見すると不可能にも思える問題を解決する作業が残っているとのことです。本人は本当に不可能という意味ではないと補足しつつも、それほど大規模な対応が必要だという例として説明しました。

また、Commanderで使われるすべてのカードをArenaに収録できるかどうかについても、Finseth氏は確約していません。目標は全カードの収録ではなく、まず4人対戦のゲームモードを実現することだとしています。Commanderを完全な形で再現するのか、利用可能なカードやルールを限定した形で導入するのかは、現時点では明らかになっていません。

マルチプレイで重要になるプレイヤー間のコミュニケーションを、Arena上でどう扱うかも未決定です。Commanderは複数人の会話や合意形成がゲーム体験の一部になりやすいため、対戦人数だけでなく、コミュニケーション機能の設計も実装の成否を左右する可能性があります。

別クライアントとしての展開も焦点に

HasbroのCEOであるChris Cocks氏は2024年、Bloombergに対し、同社がCommanderのビデオゲーム版をテストしており、Arenaとは別のタイトルとして展開する可能性があると語っていました。その構想では、2人を超えるプレイヤーが対戦できるゲームが想定されています。今回のFinseth氏の発言はArena内での実装に触れたものですが、独立したクライアントを含め、どの形で提供されるのかはまだ決まっていません。

Arenaでは直近にもAlchemyがフォーマットとして終了し、Wizards of the Coastはプレイヤーの50%がStandardを遊んでいる一方、ほかのプレイヤーはPioneerやBrawlを楽しんでいると説明しています。既存フォーマットを見直す大きな変更を実施できることは示されていますが、それがCommanderの追加につながるか、あるいは別タイトルとして切り離されるかは今後の判断に委ねられます。原文筆者は、紙のカードゲームでCommanderが広く遊ばれていることを踏まえ、今回の発言は興味深い動きだと受け止めていますが、実現時期や具体的な仕様についてはまだ発表されていません。