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レベルファイブ、AI利用をめぐる批判を受け予告映像を修正へ

2026年09月18日 | #その他 | IGN

レベルファイブ、AI利用をめぐる批判を受け予告映像を修正へ

レベルファイブが、生成AIの利用と人為的な描き間違いをめぐる批判を受け、公開済みのゲーム紹介映像を修正する方針を示しました。問題視された要素の一部はAIではなく人間のミスだったと説明する一方、AIを使ったこと自体への不信は収まっておらず、同社の説明が新たな反発を招いています。

発端となった紹介映像と相次ぐ指摘

レベルファイブは9月10日、YouTubeで「VISION 2026 II: Dreams」と題した映像を公開しました。代表取締役社長の日野晃博氏をモデルにしたアニメーションキャラクターがナレーションを担当し、Yokai Watch 2: Haunted Domain、Decapolice、Professor Layton and the New World of Steamなど、同社の今後のタイトルを紹介する内容です。

しかし公開直後から、SNSでは映像内の背景やイラストを細かく検証する投稿やリアクション動画が相次ぎました。背景の描写に不自然な部分があることや、画面内の要素に生成AIによる加工を思わせる特徴があることを指摘する声が広がり、レベルファイブの映像を「AIスロップ」と批判する意見も出ています。

特に比較されたのが、9月9日のNintendo Directで公開されたYokai Watch 2の映像と、その翌日に公開された「VISION 2026 II」の映像です。同じゲームを扱っているにもかかわらず、描写の細部に違いがあり、AIで作られたように見える誤りがあると受け止められました。また、Nintendo Directで公開されたProfessor Layton and the Curious Villageの映像についても、Nintendo DS版の背景をAIで拡大したように見える箇所があるとの指摘が寄せられています。

レベルファイブが説明したAI利用の範囲

批判を受け、日野氏は「VISION 2026 II」の制作で、映像をより派手に見せたいという意図からAI処理の手法を試したと説明しました。ゲームのストーリー、キャラクターデザイン、舞台設定といった中核部分は人間が制作しており、AIツールはアーティストが作った素材をデジタル化する工程の短縮などに使ったとしています。

日野氏は、発売されるゲームの中核に単純なAI生成データを使用しているわけではないと説明しました。AIを使って作業効率を上げることで、開発者が創造的な作業に時間を割けるようになるとも述べています。さらに、主要タイトルの開発期間を現在の5年から2年へ短縮するため、AIの活用を含む試行錯誤を進めているとしています。

一方、こうした説明は批判を抑える結果にはなりませんでした。映像を派手に見せるためにAIを使うという姿勢について、SNSでは「予告映像の役割は派手さではなく創造性を伝えることではないのか」といった反応が出ています。AIによる表現上の問題だけでなく、そもそも生成AIを制作工程に導入すること自体に反対する意見が多く、日野氏の説明は「内容より見た目を優先している」と受け止められました。

生成AIがアーティストの著作物を学習に利用しているとされる問題や、無断利用、環境負荷といった倫理面を指摘する投稿も、日本語と英語の両方で広がりました。レベルファイブがAIの利用を効率化の手段として繰り返し説明することで、ファンとの信頼関係を損なっているという批判もあります。東京ゲームショウの同社ブース用コンセプト画像についても、生成AIで作られたのではないかと疑う声が上がり、批判がさらに広がりました。

人為的なミスとされた具体例

レベルファイブは9月17日付の声明で、AIの不慣れな利用と単純な人為的ミスによって制作工程への不信を招いたとして謝罪しました。そのうえで、ゲーム本編の内容にAIを直接使用していないと説明し、今後は制作物の正確さと品質により注意を払うとしています。

同社は、AIの利用による誤りだけでなく、AIによる誤りと誤解された人為的なミスも修正し、東京ゲームショウに合わせて予告映像を差し替えると発表しました。記事執筆時点では、DecapoliceとHoly Horror Mansionについて、東京ゲームショウ向けに更新された映像が公式YouTubeチャンネルへ投稿されています。

声明では、Yokai Watch 2の宣伝イラストについて、修正前と修正後の比較も公開されました。電話線が不自然に見えるという指摘について、担当アーティストは自分で撮影した実在の電話線を参考にし、背景に合わせるため意図的に簡略化して描いたと説明しています。ただし、その結果としてAIによる生成物と誤解されたため、今後の誤解を防ぐ目的で、より自然に見えるよう描き直したとのことです。

自動販売機や雨どいに関する指摘も、AIではなく細部の描き忘れが原因だったとしています。自転車のブレーキレバーについては、過去のYokai Watch 2では描かれていなかったものの、最新作ではより精密な描写に合わせて描くべきだったと説明しました。レベルファイブは、これらの修正がAIで生成した要素を取り除く作業ではなく、手作業で制作された部分を修正するものだとしています。

キャラクターモデルの違いと今後の方針

Nintendo Direct版と「VISION 2026 II」版で、Kenta/Nathanの顔が異なって見えるという指摘にも、レベルファイブは回答しました。同社によれば、Nintendo Directへの提出期限までにNathanのローポリゴンモデルを修正する時間がなく、自社の映像を公開するまでにモデルを更新したため、1日違いで公開された映像に差が生じたとのことです。ここにもAIによる変更や修正は行っていないと説明しています。

また、Professor Layton and the New World of SteamについてはAIを使用していないと明言しました。一方、Professor Layton and the Curious Villageのリメイク版について、AIを使ったかどうかは声明内で説明していません。この点を含め、すべての疑問が解消されたわけではありません。

レベルファイブは今後、AIの利用を効率化のために限定し、ファンへ直接公開する映像にAIを直接使用することは避ける方針を示しました。しかし、声明を受けても、批判の中心はAIによって生じた細かな描画ミスではなく、AIを利用することそのものだという反応が続いています。ある投稿者は、問題はAIのミスを隠すことではなく、AIを使うこと自体にあるとして、レベルファイブが利用を続けながら見つかりにくくしようとしているだけではないかと批判しました。

日本語圏の反応では、同社が人為的なミスを強調することで、責任を現場のスタッフへ移しているのではないかという指摘も出ています。生成AIの学習データに関する問題や環境負荷について正面から説明しないまま、開発効率や公開映像の見栄えを訴えていることが、批判の根本的な理由だとする意見です。

レベルファイブは少なくとも2023年から、ゲーム開発の効率化を目的に生成AIツールを試してきました。同年12月には、日本政府の研究会に向けてAIツールの利用に関する大規模な説明を行っており、Stable Diffusionで宣伝用のレイアウト案を作ったり、過去作の2Dモデルを3D化する際の参考にしたりしていると説明しています。妖怪ウォッチシリーズの古いモデルも、その対象に含まれていました。

当時の説明では、生成AIの出力は人間のアーティストが最終成果物を制作するための指針にすぎないとされていました。サッカーRPGのInazuma Eleven: Victory Roadでは、AIが生成した画像の一部とアーティストが作った素材を組み合わせ、スタジアムの観客や建物などのゲーム内背景を制作する例も紹介されています。

原文筆者は、今回の対応によってレベルファイブのAIに対する姿勢がプレイヤーの信頼にどれほど影響するのかは、今後も見極める必要があるとしています。修正版の映像公開によって個別の描画ミスは整理されても、生成AIの利用方針や著作権への考え方をめぐる不信まで解消できるかは、なお不透明です。