2026年7月29日に発売の『Shards of Order』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「85 点」で「好評」という評価になっています。
2026年10月9日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは13件、最高は90点、最低は80点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
カードを切るたび時間が進む独特の戦術バトル

『Shards of Order』には、タイマーの数字が偶数か奇数かによってダメージを一切受け付けない敵が登場します。このルールひとつ取っても、本作の戦闘システムの思想がよく分かります。どのカードを切るかだけでなく、そのカードをどのタイミングで使い、相手が動くまでにどれだけの時間を費やしてよいのかまで見極めなければなりません。
一般的なターン制の概念はなく、マナやアクションポイントも存在しません。配られる6枚の手札にはそれぞれ時間コストが設定されており、敵の頭上には行動までのカウントダウンが表示されています。コスト2のカードを使えば全敵のカウンターが2減り、ゼロになった敵が予告どおりの行動を繰り出す仕組みです。敵の残り時間以上のコストを使うと超過分が次のカウントへ持ち越されますが、タイマーが残っている限り主導権はこちらにあります。手札次第では反撃を許さずに4手、5手と連打できますが、大技を切ったせいで敵の壊滅的な一撃を早めてしまう場面も多く、最も強いカードが常に正解とは限りません。
一見すると些細な違いに思えますが、実際のプレイでは一手ごとの損得を絶えず計算し続けることになります。高コストの強撃を叩き込んで被弾を覚悟するのか、搦め手を持つ低コストカードで刻むのか、あるいは敵のタイマーを巻き戻して行動を封じるのか、選択肢は実に多彩です。手札を引き直すRedrawにも時間が必要で、即座に回すと4ユニット消費します。ただ、カードを使うたびに必要な時間が減っていくため、手札事故の立て直しすら時間管理の駆け引きになります。デッキ構築型ゲームは競合の多いジャンルですが、本作を際立たせているのは時間コストであり、チェスのように没頭できる奥深い戦術性を生み出しています。
この奥深さを実感できるまでには少し時間がかかります。パーティは3人で共有デッキを使いますが、Soldier、Exile、Scholarの3人はそれぞれ異なる戦術エンジンを持っています。Soldierは怒りを溜めて強力な武器技につなげ、Exileは矢筒に矢を装填して一斉射撃を放ちます。Scholarは3色のエネルギーを集め、敵の行動を遅らせたりシールドを張ったりRotを付与したりできます。序盤は各ヒーローの役割を把握するのに苦労するものの、敵の行動順を読めるようになってくると、時間軸に合わせた戦略が気持ちよく機能し始めます。危険な敵を足止めしてSoldierが怒るのを待つか、Exileの一斉射撃を準備するか、あるいはRotでじわじわ削るかといった計画が立ち、序盤の苦労もしっかり報われます。
多彩な仕掛けで戦闘ルールを覆してくる敵たち

もし毎回の戦闘が同じパターンの繰り返しなら、時間システムもすぐに飽きられてしまうはずです。しかし本作では、敵が次々と独自のルールを押し付けてくるため退屈しません。偶数・奇数の仕掛けだけでなく、こちらのカードコストを勝手に変えたり、手札を奪い取ったりする敵も現れます。テンポよく新たなギミックが登場するため、手持ちのカードの使い道を常に考え直す刺激があります。
さらに「死」そのものもギミックとして機能しています。誰も完全に死ぬことができない世界観を反映し、倒した敵が少し経つと蘇るケースが多く、大型の敵と戦っている最中に横から起き上がってくることさえあります。そのため敵全体をほぼ同じタイミングで倒し切る立ち回りを求められる場面も多く、腹立たしくもあるものの、世界観と噛み合った戦術的な面白さを生んでいます。ボス戦でも段階移行や独自の小規模なメカニクスが用意されており、途中で作戦の練り直しを迫られます。
象徴的なのが、無数の腕を持つとあるボスです。ボスの巨大な手が画面上のRedrawボタンを直接覆い隠して引き直しを封じてくるため、その場の即興で手持ちのカードをやりくりしなければなりません。道中でアンロックしたカードを駆使して窮地を切り抜けた瞬間の快感は格別です。すべての戦闘がここまで劇的なわけではありませんが、約15時間のキャンペーンを通じて敵と戦略の幅広さが保たれており、戦闘が新鮮であり続けます。時間システムという土台の上に、序盤を過ぎてからも工夫を凝らしたバトルデザインが積み重ねられています。
共有デッキの編成といつでも振り直せるスキル

本作に引き込まれるもうひとつの理由は、パーティ構築の面白さにあります。3人のヒーローがひとつの共有デッキを使うため、カードの取捨選択そのものが戦術的な判断になります。新しいカードを加えるほど目当てのカードを引く確率は下がり、手札が特定のヒーローに偏るリスクも生まれます。全員が攻守をバランスよくこなせるよう配分してもよいですし、1人を軸に据えて残り2人をサポート役に回すこともできます。明確な正解がないからこそ構築の幅が広く、手札破棄を軸にしたデッキからコスト軽減を重ねるデッキまで、多彩なアプローチを試せます。
カードの大半は、各ヒーローの大規模なスキルツリーからレベルアップ時のポイントを消費してアンロックします。選択肢が膨大で次々と新たな段階が開放されるため、最初は圧倒されるかもしれません。しかし本作では、アンロックしたカードや能力をいつでも個別に払い戻せます。ビルド全体を崩す必要も、序盤のミスを抱えたまま進む心配もなく、気軽に試行錯誤を楽しめる親切な設計です。
この柔軟なシステムのおかげで、周回プレイの楽しさもしっかり担保されています。1周目ではほとんど使わなかったScholarのRotカードを中心に2周目を組んだところ、どちらのアプローチもうまく機能しました。あらゆるビルドが成立する証明ではないものの、異なる戦略によって2周目も本当に新鮮な気持ちで楽しめます。
ただ、この自由度には限界もあります。選べるクラスは3種類に限られており、どんなにカードを工夫しても戦士、弓使い、魔法使いというおなじみの枠組みにとどまります。周回に向いたゲームだけに、クラスがもう少し多ければ周回ごとの違いをより際立たせることができたはずです。とはいえ、その限られた枠組みの中でのカスタマイズ性は十分に高くまとまっています。
戦術を変える装備と選択肢を狭める強力なアイテム

装備品もさらなる戦略の層をもたらしています。武器、防具、アーティファクトは単に数値を底上げするだけでなく、パーティの戦い方そのものを変えてくれます。たとえばSoldierの特殊攻撃は持たせる武器によって変化し、誰でも装備できるアーティファクトを誰に持たせるかによって戦闘の難易度も目に見えて変わります。
しかし実際のところ、選択肢の幅は期待ほど広くありません。特に序盤はその傾向が顕著で、戦闘開始時にシールドが満タンになる装備を一度手に入れてしまうと、他の装備へ乗り換える理由が見出しにくくなります。パッシブ効果を持つアイテムの「記憶」は種類こそ豊富ですが、装備する価値があるほど優秀なものはごく一部です。アイテムの種類そのものも乏しく、防具の強化システムにも選択の余地がほとんどないため、成長の実感は控えめです。装備は戦略を変えうるポテンシャルを持つものの、実際に採用に値するアイテムは、システムが期待させるほど多くありません。
緻密な計画を崩してしまう手札運と初見の洗礼

『Shards of Order』は綿密な計画にしっかり報いてくれるゲームですが、それだけに計画が台無しにされる瞬間が悪目立ちします。普段は共有デッキから配られる手札をどうやりくりするかが戦闘に活気を与えているものの、一部の戦闘では腕前以上にドロー運が勝敗を分けてしまいます。Soldierを守る必要があるのに、他の2人のカードばかり引いてしまうことがあります。Exileの一斉射撃の準備が整っても、それを放つカードが一向に出てこないことも珍しくありません。都合のよいカードが来るまで壁として立ちはだかる敵の存在は、例外的な場面とはいえストレスがたまります。
特にゲーム後半の強制戦闘では、これに関連した問題が生じます。事前の情報がないまま戦闘へ突入することになり、後半の戦闘ほど火力よりも特定のギミックへの汎用性が求められます。進行は一本道のため別ルートへ迂回することもできず、相性の合わないデッキで挑むと初見で全滅か降参を余儀なくされます。過去の戦闘を再プレイしても経験値は得られないため、レベル上げで強行突破することもできません。ただし死亡時のペナルティは軽く、近くの焚き火で全快して復活できるため、失敗から学んだ内容に合わせてデッキを調整し、すぐに再挑戦できます。
また、回復手段が手薄な点も気になります。防御の主力はシールドであり、HP回復の選択肢はそれに見合っていないため、デッキの多様性を狭めています。継続的な回復を活かしたいビルドでは、このアンバランスさが特に強く感じられます。
誤操作を招きやすいコントローラーの操作性とUI

コントローラーでプレイする場合、繊細なタイミング判断が求められる本作においてUIが足を引っ張ることがあります。キャラクターやカードの切り替えに複数回の入力が必要で、意図しない対象を選んだまま取り返しのつかない誤使用につながる事故が起こりがちです。敵の行動や状態異常を説明する情報欄は詳細で見やすいものの、画面下部からはみ出してしまい、スクロールする手段もないため必要な情報が隠れてしまいます。マウス操作であればアイコンにカーソルを合わせるだけで確認できるため、この問題はコントローラー特有の難点です。
評価が分かれる難易度調整と大きな代償を伴う救済

『Shards of Order』は粘り強く挑み続ける姿勢に報いてくれます。手強いバトルを数回の挑戦で解くパズルとして捉えれば、難易度のバランスは良好です。最初の主要エリアを抜けた後は特に手応えがよく、一部のボスはかなり手強いものの、数回のやり直しと戦略の修正で突破できるため、全体の起伏も適切に感じられます。アップデートによるバランス調整も施され、発売前の状態と比べて遊びやすくなっています。
ただし、強力な構成をどれだけ早く見つけられるかによってプレイ体験は分かれます。序盤の戦闘は慎重な立ち回りを要求し、中には悪い意味で難しく感じられるものもあります。逆にTime Counter Systemのコツを掴み、強力なデッキとプレイループを確立してしまうと、歯ごたえの多くが消えてしまいます。即座にリトライできる仕様も手伝い、敗北の緊張感が薄れることもあります。人によっては突然の難易度急上昇に戸惑うこともあるはずです。
また、戦闘を劇的に楽にする力も存在しますが、それには重い代償が伴います。戦闘中に1度だけ使える画面隅の巨大な目を発動すると、全員が全快で復活し、Death、Judgement、Wheel of Fortuneといった強力なカードが手札に加わります。終盤にはこの力に頼るほど性能が上がる防具も登場しますが、使いすぎるとグッドエンディングへの道が閉ざされ、最終盤にはバッドエンディングしか残らなくなってしまいます。戦闘を楽に進める選択には、ストーリー上の代償がしっかり用意されているわけです。
絵画のように美しく不気味なダークファンタジー世界

『Shards of Order』の世界観は、戦闘システムに勝るとも劣らない大きな魅力です。ダークファンタジーとコズミックホラーを融合させたアートワークは、安易な脅かしや過度なゴア表現に頼らず、じわじわと続く不安を丁寧に積み重ねていきます。その荒涼とした世界を進む感覚は、まるでZdzisław Beksińskiの絵画の中をさまよっているかのようです。
コミック調のタッチで描かれた暗い質感のグラフィックは、キャラクターやモンスターのデザインを印象的に際立たせています。歪んだ風景と闇に覆われたステージは、パーティが深淵に取り残されたような心細さを感じさせます。ボイス付きのカットシーンも手描きの質感にあふれ、ダークファンタジーコミックのコマを見ているかのようです。音楽も各エリアの個性を豊かに彩っています。Purged Villageではゴシックな音色、Breathless Sandsでは中東風の旋律が響き、戦闘ではケルティックメタルが激しく場を盛り上げます。
記憶に残るほど奇妙な世界設定も秀逸です。かつて現実を支えていた法則が砕け散ったため、死は正しく機能しなくなり、光ももはや輝きません。サイドクエストはこの前提を猟奇的な極みにまで推し進めます。たとえば鍛冶屋を救出するクエストでは、彼の首を切り落として弟子のもとへ届け、あとから胴体を回収してつなぎ合わせる方法を探すことになります。陰惨で不条理な展開ですが、誰も死んだままでいられない世界では完全に筋が通っています。にらめっこでさえ戦闘に発展し、勝負の最中に相手を攻撃すると手に入るCheaterカードで開かないはずの宝箱が開けられるなど、ユーモラスな仕掛けもあります。謎めいた設定には一貫性があり、この奇妙さそのものが先へ進みたくなる原動力になっています。
筋書きの弱さを補って余りある独特の空気感と選択肢
カードゲームの奥には、軽めのロールプレイング要素が用意されています。会話には選択肢があり、キャラクターたちが次第に思惑を明かしていく中で、プレイヤーの選択が冒険の大小さまざまな部分に影響を及ぼします。複数の解決法が用意されたサイドクエストもあり、エンディングも事前の告知なしに選択やプレイ内容に応じて変化します。ささやかな変化として受け止められるなら、世界が生きている臨場感を味わえますが、物語を根本から覆すような自由度を期待すると肩透かしを覚えるかもしれません。その選択の規模はBaldur's Gate 3には遠く及びません。
また、物語は独特の雰囲気に比べるとやや追いにくさが目立ちます。世界観があまりにも奇妙なため会話の内容を把握しづらいことがあり、雰囲気に引き込まれつつも、現在の目的や大筋における位置づけを見失うことがあります。ある程度進むと大まかな展開は読めるようになり、語り口そのものは巧みなものの、メインの筋書き自体は語り方に比べて弱く感じられます。本作の物語は、緻密なプロットとして楽しむよりも、独特の空気感や謎、そしてささやかな選択の積み重ねとして味わうのが向いています。
時間管理の醍醐味と重厚な世界観が光る意欲作
『Shards of Order』は、どのカードを切るかと同じくらい「いつ使うか」が問われる戦術的なデッキ構築を楽しめる人なら、誰にでもおすすめしやすい一本です。時間コストのシステムがすべての戦闘をタイミングの駆け引きに変え、ルールを乱す敵が絶え間なく現れることで新鮮な刺激が保ち続けられます。いつでも振り直せるスキルツリーが試行錯誤を促して周回プレイに意義を与え、絵画のように荒涼とした世界観が放つ不安がゲーム全体を特別な体験に仕立て上げています。
一方で、購入判断に関わる懸念点もいくつか存在します。一部の戦闘ではドロー運や初見殺しによって結果が左右されることがあり、素早くやり直せるとはいえ理不尽さを感じる場面があります。強力すぎる少数のアイテムが装備の選択肢を狭めており、クラスが3種類にとどまる点も人によっては物足りない部分です。コントローラーでプレイする場合は、選択ミスを誘発しやすい操作性やスクロールできない情報パネルを覚悟しておく必要があります。明快で意外性のあるプロットや、物語を大きく左右する選択の自由度を求める人にとっても、本作のシナリオは好みが分かれるところです。難易度曲線が適切に調整されているのか、それとも急上昇があり、強いデッキができると歯ごたえが薄れる歪なものなのかについては、メディアの間で意見が分かれました。物語の選択が冒険や結末を実際にどこまで変えるのかについても、各メディアの見解は異なっています。
しかし、こうした欠点はいずれも本作の大きな達成を損なうものではありません。『Shards of Order』は、費やす一秒一秒が重要な決断になるときにこそ真価を発揮し、実際のプレイの大部分はその輝きに満ちています。粗が目立ってしまうのは、入念な戦略に報いてくれる場面があまりにも多いからこそです。プレイ体験に多少の水を差す要素はあるものの、本作を見送る決定的な理由にはならず、多くのプレイヤーにとって十分に遊ぶ価値のある意欲作です。








製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル名 | Shards of Order |
| 原題名 | Shards of Order |
| ジャンル | アドベンチャー, インディー, RPG, ストラテジー |
| プラットフォーム | PC(Steam) |
| 発売日 | 2026年7月29日 |
| 価格 | Steam ¥1,350 |
| 公式サイト | — |
| 開発元 | Fardust |
| 発売元 | Awaken Realms |
ストアページ
| ストア名 | URL |
|---|---|
| Steam | https://store.steampowered.com/app/3432480/ |










