2026年10月17日に発売の『Tenebris Somnia』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「79 点」で「好評」という評価になっています。
2026年10月15日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは5件、最高は90点、最低は70点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。
手作りの実写ホラー映像がドット絵の隙間を不穏に埋める

『Tenebris Somnia』のいちばんの強みは、ピクセルアートのゲームに組み込まれた実写ホラー映像です。カットシーンにセリフはなく、言葉を必要とすることもほとんどありません。どのシーンも構図を練った数カットで、特殊造形で作られた怪物との遭遇や物語の鍵を握る人物の姿など、その後の何時間にもわたって心に残る場面を見せてくれます。この功績は、監督のAndrés Borghiと少人数ながら優れた俳優陣にあります。クリーチャー造形と特殊メイクはすべて手作業で仕上げられており、確かな職人技が光ります。仮面をつけた意志ある内臓の塊や、膨れ上がった吐瀉物の袋のような怪物、二つの顔がある醜い老婆、顔に穴が開いた手足の長い女などが登場します。
この映像は、ゲームプレイそのものにも意味を持っています。角張った8ビットのキャラクターに人間や怪物の具体的な顔を与えてくれるため、画面がピクセルに戻っても、その隙間を想像で補うための不穏な材料が残るからです。実写への切り替え自体が軽いジャンプスケアとして働き、何が映っているのかを認識したところで本当の恐怖が襲ってきます。ドアを開けると口をだらりと開いた8ビットの怪物がいて、それが実写の姿に切り替わる瞬間には、しっかりと嫌悪感をかき立てられます。終盤のあるボスは実写映像の中で人間から触手のある怪物へと変身しますが、その後にジュリアを操作して戦い始めると、ピクセルで描かれた姿も実に見事です。ゲームが進むほど特殊効果はグロテスクさと色彩の豊かさを増していくため、どの映像も見終わるたびに続きを見たくなります。
ピクセルアートがもっとも力を発揮するのは、実写で描かれた世界を広げるときです。ジュリアとイヴァンの寝室など、映像に登場した場所が8ビットで再現されているため、映画の中を歩き回っているように感じられます。オカルト的な異変が入り込むと、日常世界の鮮やかで自然な色彩は不健康な色調と不安を誘う空間構造へと変わります。天井からドアがぶら下がり、部屋の色が反転し、物が異様な大きさに膨れ上がります。鏡にジュリアの姿が映り込むという現代的な細部も好印象です。ただし、これらは見せ場であって全編を通じた水準ではありません。色数を絞った場面ほど印象が強いぶん、その合間にある地味な区間はかなり平板に見えることもあります。
実写映像そのものは、少なく感じられることがあります。序盤のお披露目が済むと、多くは物語の重要な局面まで温存されるため、次の映像まで長い時間プレイが続く場合もあります。この間隔はもっと見たいという気持ちを募らせる一方で、一つひとつのシーンの重みも増しています。
ゲームプレイの難点を乗り越えてでも先へ進みたくなる神話体系

本作を遊ぶもう一つの大きな理由は物語にあります。ジュリアは元恋人のイヴァンにまつわる悪夢を見るようになっていました。かつて二人で暮らしていたアパートの鍵をまだ持っていたため、彼の様子を確かめて鍵を返そうと訪ねます。部屋は荒らされており、映画のポスターは引き裂かれ、フィルム缶が床に散乱し、大切なテープはオーブンに投げ込まれていました。そして書斎のドアは、深紅の結晶と刻まれた悪魔の紋様で封じられています。そのドアを開けたことで、ジュリアは知らぬ間にRelictaというカルト教団と契約を結び、彼らの世界へと引きずり込まれてしまいます。
その世界の設定は少しずつ明かされていきます。憑依や魂を捧げる儀式、霊的な領域といった概念が徐々に積み重なり、やがて神話体系が不穏な全体像を結びます。これこそが本作最大の求心力であり、ゲームプレイの難点を乗り越えて先へ進む一番の理由です。イヴァンが撮った短編映画Devoraは物語を貫く存在となっており、モノクロで撮影されたその映画には異界の獣や悪魔めいた者たちがひしめきます。舞台の多くは二人の過去に結びついた場所で、寝室や二人でDevoraを制作したスタジオ、月明かりに照らされた新婚旅行先などが登場します。
これらすべてに感情的な重みを与えるのがジュリアです。イヴァンとよりを戻したいわけではないものの、だからといって彼がこの地獄のような世界に囚われるのを見過ごすこともできません。別れは正しかったとわかっていても相手を大切に思う気持ちは残っており、本作はその複雑な感情をうまく捉えています。彼女の語りは物悲しく、ときにはユーモアもあり、調べられるほぼすべてのものに過去を補う彼女の思いが添えられています。地獄めいた世界の法則がわかり始めたところで新たな事実が明かされ、ジュリアとイヴァンの関係の見え方が変わっていくため、先へ進みたい気持ちが途切れません。
鏡や暗闇を巧みに利用するパズル的なボス戦と独創的な仕掛け

本作の想像力はボス戦にも及んでいます。あるボスは姿が見えず、周囲にあるすべての光源、つまりすべてのろうそくを消して初めて姿を捉えてダメージを与えられます。別の怪物は弱点である触手の塊が鏡の中にしか映らないため、その反射像を通じて戦う必要があります。
こうした戦闘は、2Dの空間が狭くても際立っています。ボスは単に弾を撃ち込めば倒せる相手ではありません。ダメージを与えるには周囲の環境を利用したり特定の場所を避けたりする必要があるため、各戦闘が位置取りとタイミングのパズルになります。二つの主要なエンディングに用意された最終決戦は見応え十分のスペクタクルで、映像とゲームプレイを融合させる本作の巧みさがよく表れています。
ボス戦以外の優れた場面にも、メタ的な仕掛けから生まれるものがあります。ビデオデッキを使うパズルがあり、中盤には限られたセーブポイントを三つ消去するという目標も課されます。画面の中にしか姿を見せない敵に対して、ジュリアのいる部屋側から攻撃しなければならない場面もあります。自分の世界では見えない敵を見るために鏡の中へ入ったり、ブラックライトで物の色を反転させたりすることもあります。こうした仕掛けによって操作や画面の見え方が左右反転することもあり、あるボス戦ではその状況にぴったり合った形で操作方法が変わります。ゲームプレイのすべてがこれほど独創的なわけではないものの、もっとも優れた場面では、この世界がジュリアだけでなくプレイヤー自身にも作用してくるように感じられます。
移動時の引っかかりと立ち止まりを強いる戦闘のぎこちなさ

そのボスたちが、本作最大の問題でもある移動と戦闘の粗さを浮き彫りにします。ジュリアの通常の歩行速度は遅いため、ゲームの大半でダッシュボタンを押し続けることになります。移動はレトロな仕様で縦・横・斜めの方向に限られており、あらかじめ決められた狭い経路ではジュリアが背景の物によく引っかかります。戦闘を避けようとしているときや追跡される場面では特に困り、地形に引っかかるせいで理不尽に感じられます。
戦闘も同様に融通が利きません。ジュリアはパイプやレンチ、リボルバー、ショットガンを使えますが、どれを使うにも完全に立ち止まらなければならないからです。武器を構えてから振る、あるいは撃つまでの間がもどかしいほど長く、素早い敵を相手にすると苦労します。通常のリロード操作は命取りになるほど遅いため、実用的な回避策はインベントリ内で弾薬と武器を組み合わせることになります。敵の攻撃モーションに巻き込まれてそのまま抜け出せなくなることも多く、一部の敵には理屈の上では回避できても実際にはかわすのが非常に難しい即死攻撃があります。操作がこれほどぎこちないと、Somnium Aeternumの死亡画面を何度も見ることになります。
こうしたストレスがもっとも強く出るのがボス戦です。ゲームの大半では戦闘の腕を磨く必要がないため、ボス戦で突然精密な操作を求められると面食らってしまいます。特に厳しいのが二体目のボスです。戦う場所は小さな部屋で、ボスが床に次々と設置してくる魔法を踏むと、ジュリアは操られて自分に武器を向けてしまいます。倒すまでにかなりのダメージを与える必要があるため終盤には床が罠で埋め尽くされ、ほんの少し足を踏み外しただけで、ジュリアは自分のショットガンで頭を吹き飛ばすことになります。終盤にある、特定のタイミングでボスを特定の地点へ誘い込む戦闘も非常にいら立ちます。ただし、こうした戦闘は例外でありボス戦の大半は楽しめます。それでも、ボスが要求する工夫を凝らした攻略こそぎこちない操作の影響をもっとも受ける部分であり、本作の最良のアイデアと最大のストレスはしばしば同時に現れます。
慎重なやりくりを促す物資バランスと回復アイテム不足の緊張感

慎重にプレイすれば物資のバランスは良好です。必要になった頃合いでまとまった補給が見つかることが多く、弾薬もすべて使わずにため込む必要はない一方で、銃が強すぎると感じさせない程度に不足します。回復アイテムを惜しまず使うと、往年のバイオハザードやサイレントヒルのように乏しい物資をやりくりする試練に近づきます。弾薬よりも回復アイテムのほうが乏しいため、体力が半分ほどの状態で長く過ごすことも珍しくありません。本当に危険なのは二体目のボスと、その直後に現れるCarnitosという脚の生えた虫状の生物の群れです。Carnitosはいくら倒しても次々と現れるため、回復アイテムの予備がないままこれらの戦闘に入ると、最初からやり直す羽目になる可能性もあります。回復手段はある程度残しておきたいところです。
隅々まで調べる探索パズルの楽しさと理不尽な解法による足止め

ゲーム進行の中心となるのは、昔ながらのアドベンチャーゲーム式のアイテムパズルです。XをYに使う、あるいはZと組み合わせるといった形式で進みます。基本的には戸棚をすべて開け、シャワーカーテンの裏まで確かめるように隅々まで調べれば、パズルは取り組みやすくかなり素直に解けます。解法の多くにも納得がいき、たとえば鋭いハサミで鍵穴の鍵を押し出し、あらかじめ拾っておいたレントゲン写真の上へ落とすといった工夫は好例です。
ただし、一部のパズルはうまく成立していません。サバイバルホラーを数多く遊んできたプレイヤーでも思いつかないような、アイテムの使い方や組み合わせを要求するものがあるためです。あるパズルでは暗闇が強調される地獄めいた世界で薬を月明かりに当てるよう指示されますが、ランプや窓、ステンドグラスや写真を試してもどれもうまくいきません。エリアを行き来しながら復活した敵と戦い、物資を浪費しているうちに、あっという間に40分を失いかねないのです。また別の場面では、解き終わったように見えるパズルをもう一度調べると突然次の段階へ進み、まったく別の道が開きます。状況から読み取れる手がかりが乏しすぎるうえに、調べる地点にぴったり立っていなければアイテムが反応を示さないため、自力で考えて進めたという手応えが薄れてしまいます。外部の攻略情報に頼る以外に突破口が見つからない場合もあります。
こうした問題をさらに悪化させるのが、同じ場所を何度も行き来することです。しらみつぶしの探索が好きな人なら探索範囲自体は限られており、舞台はアパートの狭い4フロアと地獄めいた地下室だけです。Devoraの世界が現実へと染み出すにつれて建物も変わり続けるため、この小さな空間はエンディングまで興味を保たせてくれます。一方で、正しい場所に使う正しいアイテムを探して行き詰まると、繰り返される往復が進行の勢いを削いでしまいます。わかりにくい手順が一つあるだけで、一時的な戸惑いにとどまらない時間や物資を失いかねません。
四つのエンディングが促す周回プレイと一度の体験で十分な側面

エンディングは四つ用意されており、そのうち一つはNew Game+で見つかる隠しエンディングです。ルートによって最終ボス戦の内容も大きく変わるため、物語に引き込まれたプレイヤーにとって複数のエンディングは再び遊ぶ強い動機になります。そのうち二つに到達するとそれぞれ異なる形で納得のいく結末が得られ、残る二つも追いたくなります。ただし、一度のプレイで十分だと感じる人や操作のぎこちなさに疲れてしまった人にとっては、評価が変わるかもしれません。繰り返し遊ぶ作品というよりも、一度体験して語り合うための印象的な実験作として受け止めるほうが合っています。
ぎこちない操作やパズルを受け入れてでも触れる価値のある実写ホラー

『Tenebris Somnia』は、実写ホラーやオカルトの神話体系、そして葛藤を抱えるジュリアの物語に惹かれるならおすすめしやすい作品です。セリフのない実写カットシーンや特殊造形によるクリーチャーの表現、徐々に明かされるRelictaの設定が、本作ならではの個性を生み出しています。暗闇で敵を探し出したり鏡越しに戦ったりするボス戦やメタ的な仕掛けは、その独創的な想像力をゲームプレイそのものへと広げています。往年のバイオハザードやサイレントヒルのようなサバイバルホラーが好きで、こぢんまりとした空間を隅々まで探索するのが楽しい人にも向いています。
ただし、遊びにくさについては覚悟が必要です。移動中は背景の物に引っかかりやすく、特に敵から追跡される場面では深刻なストレスになります。戦闘でも素早い敵が迫ってくる中で完全に立ち止まることを強いられます。二体目のボスを筆頭に一部の戦闘は楽しさよりも理不尽さが勝り、いくつかのパズルは意図を読み取りにくい理屈に頼っています。
なお、パズル用のアイテムを求めて同じ場所を行き来する仕様がコンパクトな探索に収まっているのか、それとも進行の勢いを削ぐ停滞なのかについてはメディアの間で評価が分かれています。物資についても、昔ながらのシビアな管理を求められるとする意見と、要所での補給によって負担が和らいでいるとする見解でメディアごとに評価が異なっています。複数のエンディングが周回プレイの動機として十分かどうかについても、メディアによって意見が割れているところです。
ぎこちない操作やわかりにくいパズルに我慢できない人や、回復アイテムをすぐに使い切ってしまう人は、購入前に慎重になる必要があります。実写映像が頻繁に流れることを期待している人にとっても、こうした懸念点は見逃せません。一方で、実写ホラーと重厚なオカルトの物語を目当てに遊ぶ人にとっては、多少の粗さを受け入れてでも触れる価値のある豊かな想像力が詰まった一作です。








製品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル名 | Tenebris Somnia |
| 原題名 | Tenebris Somnia |
| ジャンル | アドベンチャー, インディー |
| プラットフォーム | PC(Steam), Xbox Series X|S |
| 発売日 | 2026年10月17日 |
| 価格 | Steam ¥2,550 / Xbox ¥2,320 |
| 体験版 | あり |
| 公式サイト | — |
| 開発元 | Andrés Borghi, Saibot Studios |
| 発売元 | New Blood Interactive |










