『High Times』メタスコア79点、高く評価された点とちょっとした不満

,

2026年7月24日に発売の『High Times』のメディアレビューが公開され、Metacriticのメタスコアが集計されました。総合点数は「79 点」で「好評」という評価になっています。
2026年10月9日時点での集計内容となっており、採点対象のレビューは10件、最高は88点、最低は40点という結果でした。以下にレビューの総まとめを記載しているので購入の参考になれば幸いです。
※スコアは寄稿記事が増減して一定期間は上下しますが、大きく変動することは稀です。

79High Times好評 6|賛否 3|不評 1
PC79(5件)Nintendo Switch—(2件)PlayStation 5—(2件)Xbox Series X—(1件)

客の心理を読み解きながら最適なドーナツを推理する

客の心理を読み解きながら最適なドーナツを推理する

客がHotboxにやって来て自分の心境や欲しいものを語りますが、その見立ては外れていることが珍しくありません。『High Times』はこの認識のずれの上に成り立っており、本人が求めるものと本当に助けになるものは必ずしも一致しないのが特徴です。プレイヤーは客の気分に耳を傾け、自己診断とは異なる結論を導き出してぴったりのドーナツを提供できます。ゲーム側も言葉の裏を読み取るプレイスタイルを想定しているため、相手の心理を正しく察知できればきちんと報われます。グレーズ、フィリング、トッピングには感情への効果が設定されています。バニラは幸福、ブルーベリーは誠実さ、レッドベルベットは勇気をもたらすため、レシピ選びはちょっとした推理パズルになります。日数が進んで食材棚が充実するにつれて、この推理はより複雑で奥深くなっていきます。

調理中に注文に追われる心配はありません。大半の日は来客が2、3人程度にとどまるため、注文票をさばく作業ではなく会話そのものにじっくり集中できます。ドーナツは1個ずつ仕上げていく形式で、カウンターに行列ができることもタイマーに急かされることもありません。プレッシャーを感じずに心地よいリズムで進められる設計になっており、大きな失敗につながる余地もほとんどありません。

もっとも、このパズルが常に明快とは限りません。注文の意図を汲み取りにくい客も存在し、たとえばNovaはトッピングや味ではなく色を基準に語るため、見当違いな品を出してしまう場面もあります。ただし、こうした曖昧さは一部の客や注文に限られますし、失敗の代償も小さく抑えられています。ドーナツ作りに失敗してもゲームオーバーにはなりません。会話の流れによっては、欲しいものを具体的に言うよう客に頼むことも可能です。もっとも、すべての会話で聞き返せるわけではなく、元恋人たちからは「それくらい察して当然だ」とたしなめられる場面もあります。多少の読み違いに気まずさは残るものの、その日全体の営業が台無しになる心配はありません。

注文のやり取りを通して描かれる元恋人や常連客の深いドラマ

注文のやり取りを通して描かれる元恋人や常連客の深いドラマ

ドーナツの提供をきっかけに客が胸の内を語り始め、その人間模様こそがプレイを続ける大きな原動力になります。恋愛対象となる6人の元恋人は、ただ席を埋めるだけのありふれた常連客とは一線を画しています。それぞれの恋愛ルートに独自の魅力があり、見捨てられる恐怖や家族の問題、就職のプレッシャーや居場所から踏み出す難しさなど、驚くほど多彩で個人的な悩みに深く踏み込みます。脇役たちの描写も非常に丁寧です。恋人との関係に折り合いをつけようともがく客がいれば、ネットに入り浸るBreadditorが自暴自棄になった幼少期の原体験を打ち明ける場面もあります。軽妙なジョークの裏で、人生につまずき救いを求めている生身の人間として温かく描き出されています。

登場人物たちの物語はいずれもしっかりとした結末を迎えますが、中にはあえて滑稽な形で幕を引くエピソードもあります。『High Times』はプレイ時間が長い作品だからこそ、こうした決着がしっかりと用意されている点は大きな意味を持ちます。ストーリーは情感豊かで、ゲーム内の数か月にわたって飽きさせない楽しさが持続します。テキストの質も終始安定しており、当初はあまり興味を持てなかったキャラクターとのやり取りにさえぐいぐい引き込まれます。

ただ、キャラクターへの愛着が芽生えるまでには時間がかかります。序盤の数週間はどこか表面的に映りやすく、心に染みるドラマが本格化するまでは他愛のない軽口や際どい下ネタばかりが続きます。人間関係に心から惹きつけられるのは15〜18日目あたりを迎えてからになりがちです。そこまで進めば物語の良さを十分に実感できるものの、序盤の長い助走期間を乗り切る辛抱が求められます。

感情豊かなフルボイスと鮮やかなアメコミ風のアートワーク

感情豊かなフルボイスと鮮やかなアメコミ風のアートワーク

登場人物たちがこれほど魅力的に映るのは、優れた演出の力に負うところが大きいです。会話はすべてフルボイスで収録されており、メインの元恋人6人だけでなく脇役の掛け合いまで声が充てられています。声優陣は担当キャラクターの個性を深く理解しており、誇張された性格にリアルな感情を宿らせながら、コミカルな掛け合いと同じくらい説得力をもって脆さをさらけ出す場面を演じきっています。唯一の難点は、あるキャラクターが真相の判明後も過剰な訛りで喋り続ける点で、その背景を知った後だと少々耳障りに聞こえてしまうのが惜しいところです。

ビジュアル面も活気ある演出に引けを取りません。『High Times』はコミック風の手法を前面に押し出しており、吹き出しやコマ割りを模した画面、感情表現が豊かな手描きのキャラクターが目を引きます。主要な人物には専用の派手な登場演出が用意され、ふらりと立ち寄る一般客とは明確に区別されています。店内の装飾をダークな色調で統一しても、鮮やかな色彩が画面全体から浮き上がって映えます。重要なイベントではさらに凝った演出が入り、アメコミの1ページのようなレイアウトや全画面の一枚絵が劇的な転機を華やかに盛り上げます。BGMは明るい曲調でありながら出しゃばらず、会話の邪魔にならない心地よい背景音に徹しています。テキスト量の膨大な作品だけに、この控えめなバランス感覚は好印象です。

一方で、1080pを超える解像度のディスプレイで遊ぶ際は画面のぼやけに注意が必要です。本作の対応解像度は最大1080p止まりのため、4Kなどの高解像度環境では映像が引き伸ばされて粗さが目立ち、せっかくのキャラクターや背景のディテールがぼやけてしまいます。

皮肉屋な主人公の強い個性と好みが分かれる会話の選択肢

皮肉屋な主人公の強い個性と好みが分かれる会話の選択肢

主人公であるMood Confectionerの外見や名前は自由にカスタマイズできますが、その性格までは選べません。主人公には辛辣なユーモアや皮肉、冷めたアイロニーを基調とした強烈な個性が最初から設定されており、過去を知る知人たちが現れるにつれて独自のドラマが描かれます。ドライなブラックユーモアを好む人なら、この癖の強さが会話に独特の味付けをもたらし、主人公への感情移入もスムーズに進むはずです。接客業の立場としてはあまりに冷笑的な発言も飛び出しますが、それもこのキャラクターならではの持ち味として楽しめます。

しかし、人当たりの良い親しみやすい主人公像を期待していると、このトゲのある性格が強い反発を招く恐れがあります。客に対して上から目線で自己中心的に振る舞う場面が散見され、会話の選択肢の大半も単に「辛口」か「冷淡」かの言い回しの違いに感じられてしまいます。さらに、恋愛対象のほとんどが元恋人という設定上、プレイヤー自身のあずかり知らぬ過去の別れの遺恨を引きずった状態で関係が始まります。毒舌な主人公をどうしても好きになれないプレイヤーにとっては、本作を遊ぶうえで大きなハードルになりかねません。

会話の選択肢自体も好みが分かれます。ゲーム全体のユーモア感覚と波長が合えば、笑いを誘う返答、色気のある軽口、場を引っかき回す悪ノリのいずれかを選んで楽しめるはずです。一方で、相手に寄り添う誠実な返答や意図通りの言葉を返そうとすると、選択肢のニュアンスが曖昧で思い通りの意思表示ができないもどかしさを覚えます。たとえば序盤にConnorから自分に心を開いてくれるかと問われる場面がありますが、どちらの回答を選んでも実際に心を開いている実感が湧きにくいのは惜しいところです。

もっとも、プレイヤーの選択がその後の展開にまったく影響しないわけではありません。ただ、その反映度合いにはムラがあります。登場人物たちは過去のやり取りを覚えており、以前の選択を踏まえて台詞を返してくれる場面も用意されています。しかし、すべての決断が事態を大きく動かすわけではなく、実質的には一本道で見せかけにすぎない選択肢も混ざっています。

ランダムな来店システムと遅いアンロックが進行の足かせになる

ランダムな来店システムと遅いアンロックが進行の足かせになる

人間関係を進展させるテンポの悪さは、『High Times』が抱えるもっとも大きな課題です。店を訪れる客は多数の候補からランダムに選ばれるため、目当てのキャラクターがいつ来店するかは誰にもわかりません。店内の内装を工夫して特定の客の来店確率を上げる仕組みはあるものの、最終的には運任せになります。意中の相手の顔を見たいと願いながら、他愛のない雑談とドーナツ作りで単調な毎日を延々と消化した挙句、お目当ての人物がまったく現れないことすらあります。このランダム要素のせいでゲームプレイが作業化してしまい、もともと長大なボリュームが必要以上に間延びして感じられます。

各種のアンロック要素も進行の遅さに拍車をかけています。より魅力的なキャラクターや本格的なデートイベントを解禁するには、膨大な数のドーナツをひたすら作り続けなければなりません。その結果、物語が大きく動く重要なシーン同士の間隔が開きすぎてしまい、進行全体が無意味に間延びしているように感じられてしまいます。先述した物語自体は見届ける価値のあるものですが、そこへたどり着くまでの冗長な道のりこそが不満の大半を占めています。

なお、すべてのルートが同じように停滞するわけではありません。親友であるConnorは数少ない例外といえます。彼のイベントは比較的スムーズに解禁され、客としても好みを満たしやすいため、成り行きのように彼との関係ばかりが進み、心の拠り所になることも珍しくありません。ただ、この快適なペース感はあくまでConnorのルートに限られた話であり、他の登場人物全員に期待できるものではありません。

気軽に楽しめる一方で歯ごたえには欠けるドーナツ作り

気軽に楽しめる一方で歯ごたえには欠けるドーナツ作り

ドーナツ作りのサイクルには序盤のうちこそ夢中になれます。しかし数時間も遊んでいると注文のパターンが出尽くしてしまい、新しい材料や調理技法も早々に頭打ちを迎えます。ストーリーに進展がないまま営業日だけが何日も流れていくと、同じ作業の繰り返しがどうしても単調に思えてきます。

この単調さをどう受け止めるかは、プレイスタイルによって評価が分かれます。落ち着いた気持ちでシンプルな作業を繰り返したい人なら、客からの細かな注文のバリエーションが退屈さを和らげてくれます。レシピ帳に載っていない特注品を頼まれたり、左右で異なるアイシングや模様の絞り出しを細かく指定されたりと、レシピフォルダーをめくって確認しながら仕上げる楽しさも残されています。ゆったりとした気分で向き合えるプレイヤーなら、最後まで飽きずに調理をこなせるはずです。

反対に、本格的で歯ごたえのあるクッキングゲームを期待していると肩透かしを食らいます。客の求めるドーナツが判明してしまえば、あとは指定のタイミングでボタンを押し、スティックを傾けてアイシングを塗るだけの簡素な操作にすぎません。プレイヤーの腕前が試されるような制限時間や、マルチタスクをこなす忙しさは一切ありません。この手軽さのおかげでストレスフリーな癒やしの空間が保たれている反面、ミニゲームとしての奥深さに欠けるのも事実です。

店内の模様替えやSNSのチェックは気分転換の域を出ない

店内の模様替えやSNSのチェックは気分転換の域を出ない

閉店後には、自分好みの内装に仕上げたり特定の客を呼び寄せたりするためにHotboxを自由に模様替えでき、インテリアのテーマもアニメ風からオカルト風まで多彩に揃っています。気晴らしとしては十分に楽しめる要素ですが、本格的に家具が揃い始めるのはドーナツの選択肢を一通り買い終えた後になります。そのため、キャラクター同士の会話を目当てに遊んでいるプレイヤーにはやや物足りなく映るかもしれません。

作中に登場するFacenookやマッチングアプリのTenderといったSNSのパロディ要素は、登場人物たちの近況を把握したり、見落としたストーリーの補足を確認したりするのに重宝します。ただ、毎日の営業終わりに逐一チェックするのは次第に骨の折れる作業になってきます。ゲームを進める主目的として気負うのではなく、気が向いたときに覗く振り返り用のツール程度に捉えておくのが賢明です。

操作の引っかかりから進行停止まで頻発する不具合の存在

操作の引っかかりから進行停止まで頻発する不具合の存在

『High Times』では不具合の発生頻度が比較的高く、その深刻さも軽微なものから致命的なものまで様々です。軽度な例を挙げると、Steam版自体は全体としてスムーズに動作するものの、目に見えるバグが頻出します。ただし、それらによってゲームが進行不能に陥るわけではありません。調理の最中に奇妙な挙動や画面のカクつきが起き、操作の入力判定にゲームの処理が追いついていないように感じられる場面があります。

より深刻なケースでは、ゲーム内で数か月にわたって同じ2つのイベントがほぼ毎晩繰り返されたり、クラッシュで再起動を余儀なくされたりすることもあります。すべてのプレイヤーが遭遇するわけではないものの、物語の進行が魅力の大半を占める作品においてイベントがループしてしまうと、プレイの目的そのものが失われかねません。

テンポの悪さや不具合を許容できるなら味わう価値のある人間ドラマ

『High Times』は、シビアな調理アクションを求めず、キャラクターの魅力に浸りながらのんびり楽しみたい人には自信を持っておすすめできる一本です。客の心情を読み取り、本当に求めているものを見極めてドーナツを仕立てる作業は、穏やかで心地よいパズルとしての達成感があります。そこから広がるストーリーは設定の印象以上に多彩で個人的なテーマに踏み込んでおり、感情豊かなボイスと鮮やかなコミック風アートが人物たちを生き生きと引き立てています。こうした魅力はプレイヤーの忍耐にしっかりと応えてくれますが、裏を返せば本作を遊ぶには相応の我慢強さが求められます。人間関係の進展にはムラがあるうえ、客の来店がランダムなため目当ての人物に何日も会えないことも珍しくありません。さらに、軽微な表示崩れからクラッシュや進行停止のループまで、バグの幅広さも懸念点です。テンポの悪さに苛立ちやすい人や、ルーティンワークに飽きやすい人は注意が必要です。本格的なクッキングアクションを期待する人や、1080pを超える高解像度環境で遊びたい人も、購入前にこれらの要素をよく検討してください。

主人公の皮肉屋で冷笑的な性格が痛快な個性として機能しているのか、それとも単に反感を招く嫌味な人物に映るのかについては、メディアの間でも賛否が分かれました。ドーナツ作りの繰り返しが時間とともに単調になるのか、それとも多彩な注文と心地よいリズムで魅力を保てるのかについても評価が割れています。また、会話の選択肢で自分の意図を過不足なく表現できるかどうかについてもメディアの間で意見が分かれました。それでもなお、全体として見れば本作は独自の魅力を備えた作品に仕上がっています。『High Times』におけるドーナツ作りとは、本質的に相手の声へ耳を傾けることに他なりません。腰を据えて辛抱強く客の言葉を聞き届けられるプレイヤーなら、本作が秘める最高のドラマへ辿り着けるはずです。そして、その感動へ至るまでの足取りの重さこそが、プレイヤーが差し出すべき最大の代価といえます。

製品情報

項目内容
ゲームタイトル名High Times
原題名High Times
ジャンルカジュアル, インディー, シミュレーション
プラットフォームPC(Steam), Xbox Series X|S
発売日2026年7月24日
価格Steam ¥2,600
体験版あり
公式サイトhttps://hightimes.yangyangmobile.com/
開発元Yangyang Mobile
発売元Yangyang Mobile

ストアページ

ストア名URL
Steamhttps://store.steampowered.com/app/2251220/

メタスコアについて

Metacriticで集計されているゲーム評価のスコアです。大手メディアに投稿されたレビューのスコアを平均された数値になります。メタスコアは大きく変わる機会は少ないですが、集計サイトが増えるにつれて頻繁に変動します。

9080706050
神ゲー良ゲー凡ゲー低評価爆弾持ち